海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
お酒の席で「自分は強いほうだ」とか「すぐ顔に出ちゃうんだ」と話題になること、ありますよね。
そんな「お酒の強さ」を表す「hold one’s liquor」は、酔いつぶれずに飲んでいられることを意味します。『ビッグバン★セオリー』シーズン3第2話、ペニーの部屋のバスルームで、飲みすぎたレナードを介抱する場面から、一緒に見ていきましょう。
「hold one’s liquor」の意味とニュアンス
hold one’s liquor
意味:酒に強い、酔いつぶれずにいられる
liquor は「(強い)酒」、hold は「持ちこたえる・保つ」。直訳すると「酒を持ちこたえる」となり、お酒を飲んでも乱れたり酔いつぶれたりせずにいられる、つまり「酒に強い」ことを表します。
実際の会話では、否定形の can’t hold one’s liquor(酒に弱い、すぐ酔ってしまう)の形でよく使われます。one’s の部分は his / her / your などに変わり、誰の話かに合わせて使い分けます。お酒の量そのものではなく、「飲んだあとに自分を保てるかどうか」に焦点があるのがこの表現の特徴です。日本語の「ザルだね」「すぐ出来上がっちゃう」に近い、ややくだけた響きを持っています。
【ここがポイント!】
- 核は「酒(liquor)を持ちこたえる(hold)」=酔いつぶれないイメージ
- 否定形 can’t hold one’s liquor で「酒に弱い」を表すことが多い一言
- 飲んだ量ではなく「自分を保てるか」に焦点があると読み取るのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S03E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ワインにペパーミントシュナップスと飲み進めた2人。すっかり飲みすぎたレナードがトイレで吐いてしまい、ペニーが介抱します。あきれ半分、心配半分のペニーが口にするのがこのフレーズです。やせ我慢するレナードと、その直後の展開が、なんともいえないおかしさを生みます。
Penny: Oh, sweetie. You really can’t hold your liquor, can you?
(ああ、もう。あなた、本当にお酒に弱いのね?)Leonard: I’m okay. Just a little mouthwash, and then I’m gonna rock your world.
(大丈夫だよ。ちょっとうがいをしたら、君を夢中にさせてみせるから)The Big Bang Theory Season3 Episode2(The Jiminy Conjecture)
シーン解説と心理考察
トイレで吐いた直後の人物に向けられる can’t hold your liquor が、状況とぴったり重なって響くのが見どころです。ペニーの sweetie(ねえ、あなた)という呼びかけには、あきれながらも突き放さない優しさがにじんでいて、責めるというより、ほほえましく見守るトーンが伝わってきます。
直後にレナードが I’m gonna rock your world.(君を夢中にさせてみせる)と精一杯のやせ我慢を見せ、そのすぐあとに今度はペニー自身が吐いてしまう——という落差が、このシーンの笑いを作っています。お酒に弱いのはレナードだけではなかった、というオチによって、can’t hold your liquor の一言が場面全体に軽妙に効いていると言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
両手でいっぱいの水を抱えて、こぼさないように運ぶ姿を思い浮かべてみてください。hold(持ちこたえる)が利く人は、お酒という中身をこぼさず保てる人。利かない人は、すぐにこぼして崩れてしまう——それが can’t hold one’s liquor の感覚です。
レナードのように、飲んだあと自分を保ちきれずに崩れてしまう様子と結びつけると、「酒を持ちこたえる」という直訳が、そのまま意味として頭に残ります。お酒を抱えて運ぶイメージで覚えておきましょう。
例文で覚える「hold one’s liquor」
お酒の席の話題で活躍する、ややくだけた表現です。3つの場面で使い方を見ていきましょう。
He can really hold his liquor — he had five drinks and seemed totally fine.
(彼は本当にお酒に強い。5杯飲んでも全然平気そうだった)
誰かの酒の強さに感心する場面です。肯定形で「酔いつぶれずにいられる」と表しています。
I can’t hold my liquor, so I usually stop after one glass.
(私はお酒に弱いから、たいてい一杯でやめておくの)
自分の体質を説明する場面です。否定形 can’t hold my liquor で「すぐ酔ってしまう」と伝えています。
A: Are you sure you’re okay to drive?
B: Yeah, I only had one beer. I can hold my liquor.
(A:本当に運転して大丈夫?)
(B:うん、ビール一杯だけだし。お酒には強いから)
飲み会のあとの会話です。「自分は酔っていない、お酒に強い」と安心させるニュアンスで使われています。
あわせて覚えたい関連表現
be a lightweight
(酒に弱い人、すぐ酔う人)
「軽量級」から転じて「少しの酒で酔ってしまう人」を指す口語表現です。can’t hold one’s liquor が状態を表すのに対し、こちらは「そういうタイプの人」と人物像で言い表します。
get drunk easily
(すぐ酔っぱらう)
文字どおり「簡単に酔う」を表す、いちばん素直な言い方です。can’t hold one’s liquor のような比喩を使わず、ストレートに伝えたいときに便利です。
be able to handle one’s drink
(お酒をうまくこなせる、酒に強い)
handle(うまく扱う)を使った、hold one’s liquor とほぼ同じ意味の表現です。イギリス英語でよく耳にする言い方で、drink が「酒」を指している点も覚えておくと役立ちます。
Note|「酒に強い」を英語はどう言うか——飲酒をめぐる表現
hold one’s liquor を入り口に、英語圏で「お酒の強さ」がどう語られるかを少し見てみましょう。
日本語では「ザル」「お酒に強い・弱い」「すぐ顔に出る」など、お酒との付き合い方を表す言葉が豊富にあります。英語も負けていません。酒に強い人は can hold their liquor のほか、have a high tolerance(耐性が高い)とも言われます。逆に弱い人は a lightweight(軽量級)と呼ばれ、これは体重の軽い人がボクシングで軽量級に入ることになぞらえた、ユーモラスな言い回しです。飲みすぎた状態にも tipsy(ほろ酔い)、buzzed(いい気分)、wasted(べろべろ)と段階的な語彙があり、酔いの深さを細かく言い分けられます。興味深いのは、hold one’s liquor も a lightweight も、お酒を「持ちこたえる対象」や「重さ」になぞらえている点です。英語では、酔いに耐えることを一種の「重さに耐える力」としてイメージする発想が根づいていると言えそうです。
この広がりを知っておくと、hold one’s liquor が単なる決まり文句ではなく、「酔いという負荷を、自分の中で支えきれるか」という英語的な発想の一つだと見えてきます。
お酒を持ちこたえる力——その言い方一つに、文化の感覚がにじんでいるのです。
まとめ|お酒を「持ちこたえる」力
hold one’s liquor は、お酒を飲んでも酔いつぶれず、自分を保っていられること——つまり「酒に強い」を表す表現でした。否定形 can’t hold one’s liquor で「酒に弱い」を言うことが多い、という点もおさえておきたいところです。
お酒の席で誰かの強さに感心するときも、自分の体質を打ち明けるときも、この一言があれば、量ではなく「自分を保てるかどうか」という観点で語れます。レナードの飲みすぎっぷりを思い出しつつ、会話の引き出しに加えてみてください。


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