海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
気が重い予定を前にして、とにかくこの期間さえ乗り切れば楽になれると自分に言い聞かせた経験はありませんか。
そんな気持ちにぴったりの「get through something」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン12第2話の後半、見合い結婚を報告するラージの決意表明から、一緒に見ていきましょう。
「get through something」の意味とニュアンス
get through something
意味:困難な過程やイベントを何とか乗り切る、最後までやり遂げる
get through somethingは、単に「通過する」という物理的な意味に加えて、試練や困難な期間・出来事を「何とか耐えて乗り切る」という意味でよく使われる口語表現です。throughという前置詞が持つ「通り抜けて向こう側へ」というイメージが、そのまま困難を乗り越える過程を表しています。
数量や回数を伴って「〜回のデート」「〜日間」のように具体的な過程を示すこともでき、試験や面接、辛い時期、長丁場のイベントなどを乗り切る場面で幅広く使われます。
somethingの部分には、具体的な出来事だけでなく、抽象的な期間や状況を当てはめることもできます。何を乗り切るのかを具体的に示すほど、聞き手には状況の大変さが伝わりやすくなる表現です。
【ここがポイント!】
- 「get through something」の核は、困難を通り抜けて向こう側にたどり着くイメージ
- 数量や期間を伴って「〜回・〜日間を乗り切る」のように具体的に使える
- 試練の内容よりも「何とか終える」という達成感に重点がある表現
『ビッグバン★セオリー』S12E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
仲間たちが集まっているところで、ラージが突然結婚の報告をします。まだ会ったこともない相手との見合い結婚だと明かした後、ラージ自身の心構えが語られます。
All: Huh? What?
(え? なんだって?)Penny: No.
(嘘でしょ。)Raj: Well, I-I-I haven’t met her yet, but her name is Anu. My father says she comes from a good family. She’s in her 30s. She works in hospitality management. So, as long as I can get through six to ten dates without revealing my true self… this is happening.
(いや、まだ会ったこともないんだけど、名前はアヌっていうんだ。父さんによると良い家柄の出身らしい。30代で、接客業のマネジメントの仕事をしているそうだよ。だから、本当の自分を明かさずに6回から10回のデートを乗り切れさえすれば……この結婚は実現するんだ。)Sheldon: I know just what we’re giving them for a wedding gift.
(結婚祝いに何を贈るべきか、もう分かったよ。)The Big Bang Theory Season12 Episode2 (The Wedding Gift Wormhole)
シーン解説と心理考察
突然の結婚報告に、居合わせた面々は「え? なんだって?」と驚きの声を上げ、ペニーは「嘘でしょ」と困惑を隠せません。予想外の展開に対する周囲の反応の大きさから、この報告がいかに唐突だったかが伝わってきます。
ラージは動じることなく、「まだ会ったこともないけど、名前はアヌっていうんだ」と見合い結婚の詳細を淡々と語り、「本当の自分を明かさずに6回から10回のデートを乗り切れさえすれば、この結婚は実現するんだ」と続けます。相手のことをほとんど知らないまま結婚に踏み切ろうとする姿勢が、この場面ではっきりと示されています。
家柄や職業といった条件を淡々と並べながらも、本当の自分を明かさずに乗り切るという言い方には、期待と不安の両方を抱えたまま前に進もうとする複雑な心情がにじんでいます。すぐさま「結婚祝いに何を贈るべきか、もう分かったよ」と話をずらすシェルドンの反応も、この場の空気を軽くする一手として機能しています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
throughという単語から、長いトンネルの中を進み、苦労しながらも向こう側の出口(get)にたどり着くイメージを思い浮かべてみましょう。トンネルの中にいる間は大変でも、抜け出せば目的を達成できるという感覚が、この表現の核心です。
ラージが「6回から10回のデートを乗り切れさえすれば」と語った場面も、まさに先の見えないトンネルの出口を数えながら進んでいくイメージそのものでした。数字で区切られた道のりを一歩ずつ進んでいく感覚を持っておくと、試練の大きさに関わらず自然に使いこなせるようになります。トンネルの長さがあらかじめ分かっているだけで気持ちの持ちようが変わる、という感覚まで思い浮かべておくと、数量を伴う使い方にも自然に馴染めます。
例文で覚える「get through something」
試練や忙しい時期を乗り切る場面で使えるget through somethingを、3つの例文で確認していきましょう。
I don’t know how I got through finals week without sleeping.
(寝ずに期末試験週間をどうやって乗り切ったのか自分でも分からない。)
大変だった時期を振り返る日常会話です。睡眠不足のような具体的な苦労を添えると臨場感が増します。
We just need to get through this quarter, and things should calm down.
(今四半期さえ乗り切れば、状況は落ち着くはずだ。)
忙しい時期について話すビジネスの場面です。先の見通しとセットで使うと自然に響きます。
A: How was the marathon?
B: Tough, but I got through it somehow.
(A:マラソンはどうだった?)
(B:きつかったけど、何とか完走したよ。)
大変だった出来事の結果を報告する会話です。somehowを添えると、乗り切った過程の苦労がにじみます。
あわせて覚えたい関連表現
push through something
(何かを押し切って進む)
get through somethingが「何とか乗り切る」という結果に重点を置くのに対し、push through somethingは困難に抵抗しながら「力ずくで進む」という過程の苦労に重点を置きます。
muddle through something
(何とかやり過ごす、どうにか切り抜ける)
get through somethingが中立的な表現であるのに対し、muddle through somethingは計画性なく、行き当たりばったりで何とか乗り切るというニュアンスを含みます。
weather something
((困難を)乗り切る、耐え抜く)
get through somethingが日常的な口語表現であるのに対し、weather somethingは嵐に耐えるイメージからの比喩で、経済危機や逆境などやや大きな困難に使われることが多い、ややフォーマルな表現です。
Note|見知らぬ相手との時間を「乗り切る」という心の構え
get through somethingという表現は、単に時間が過ぎるのを待つのではなく、困難を自覚しながらも意志を持って前へ進むという心の構えを含んでいます。この発想は、心理学で語られる「レジリエンス」、つまり困難な状況に直面してもしなやかに適応し、乗り越えていく力という考え方と重なる部分があります。
不安や緊張を感じる出来事を前にしたとき、結果をコントロールできない部分は受け入れつつ、目の前の一つひとつを乗り切ることに意識を向けるという姿勢は、多くの人が経験から身につけている対処の仕方です。先のことまで一度に考えすぎず、今の一区切りに集中するという工夫は、緊張しやすい場面ほど効果を発揮します。ラージが見知らぬ相手との見合い結婚を前に、「6回から10回のデートを乗り切れさえすれば」と具体的な回数で区切って捉えていたのも、先の見えない不安を扱いやすい単位に落とし込むという、まさにこの心の構えの実践例といえます。
得体の知れない不安をひとまとめに抱え込むのではなく、区切られた過程として捉え直す発想は、緊張する場面に臨むときの助けになります。終わりが見える形に置き換えるだけで、同じ出来事でも受け止め方が変わってくるものです。
先の見えない状況ほど、一区切りずつ乗り切るという捉え方が心を軽くしてくれるものです。
まとめ|先の見えない道のりを、区切って乗り切る
get through somethingは、困難な過程や出来事を何とか乗り切るときに使える表現です。
試験や忙しい時期はもちろん、先の見えない状況を数量で区切って捉えるときにも役立つ懐の深さを持っています。乗り切った先に何が待っているかまで思い描くと、目の前の一歩がより軽く感じられるはずです。
見合い結婚という思い切った決断を、デートの回数で区切って淡々と語ったラージの様子には、不安を抱えながらも前に進もうとする意志が感じられました。先が見えない状況に直面したときは、この一言を自分に言い聞かせてみてください。


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