海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
何の根拠もないまま、それでも誰かに聞かれて「当てずっぽうだけど」と前置きしながら答えを口にした経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「a wild guess」を、『ホワイトカラー』シーズン4第4話の前半、元詐欺師のニールが友人のモジーとエレンを引き合わせた直後、モジーが周囲の保安官らしき二人組を見てつぶやく皮肉めいた一言から、一緒に見ていきましょう。
「a wild guess」の意味とニュアンス
a wild guess
意味:当てずっぽう、根拠のない推測
a wild guess は、確たる情報や根拠が何もないまま口にする推測を指す口語表現です。wild は「野生の、制御されていない」という意味から転じて、guess を「でたらめな、抑えの効いていない」という方向へ強調する形容詞として働いています。
確信がまったくない状態で、それでも何かを答えなければならない場面で使われるカジュアルな言い回しで、断定を避けながらも自分の考えを差し出す、軽やかな距離感を持った表現です。take a wild guess のように動詞 take と組み合わせて使われることも多く、「当てずっぽうで言ってみる」という一連の動作として使われます。もともとは狩猟や自然の場面で使われていた wild という語が、確信のなさという心理的な状態の比喩として転用されている点も、この表現の面白いところです。
【ここがポイント!】
- 「a wild guess」の核は、根拠を持たないまま放たれる推測というイメージ
- 確信のなさを隠さず、それでも軽い調子で言い切る表現
- 前置きとして使うことで、外れても構わないという気楽さを相手に伝えられる
『ホワイトカラー』S04E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ニールが手配した再会の場に、証人保護プログラムに入っているエレンと、理屈屋のモジーが初めて顔を合わせます。周囲を警戒しながら言葉少なに答えるエレンの様子を横目に、モジーが近くにいる二人組を見ながら口にする軽口に注目です。
Neal: Is it safe for you out here?
(ここにいて安全なの?)Ellen: Oh, as far as anyone’s concerned, I’m, uh, long gone.
(ああ、みんなの認識では、私はもうとっくに消えた人間だから。)Mozzie: Uh, wild guess — both of them are named Marshal.
(ええと、当てずっぽうだけど、2人ともマーシャルという名前だろうな。)Ellen: Before I leave town, I think it’s time you met my old friend Sam.
(この町を出る前に、古い友人のサムに会ってもらったほうがいいと思うの。)White Collar Season4 Episode4 (Parting Shots)
シーン解説と心理考察
身の安全のため周囲を警戒しながらも、エレンは静かに「もうとっくに消えた人間」と答えます。深刻な話の合間、モジーは近くにいる保安官らしき二人組へ視線をやり、名前まで「マーシャル」だろうと決めつける軽口を挟みます。緊張した空気を和らげる、モジーらしい理屈っぽいユーモアが表れている場面です。証人保護に関わる人間を前にしても物怖じせず軽口を叩く態度に、モジーの陰謀論者めいた観察眼がにじみます。周囲を疑ってかかる癖が、こういう緊張した場面でこそ軽妙な皮肉として顔を出しているとも言えます。その直後、エレンは表情を切り替え、ニールの父の真相を知る手がかりとなる古い友人サムの名を口にします。緊迫した状況の中で交わされる軽い冗談と、その裏にある重い本題との落差が、この短いやり取りの見どころです。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
a wild guess を覚えるコツは、手綱を外された馬が野原を自由に走り回るイメージを思い浮かべることです。guess(推測)が wild(野生)の状態にある、つまり何の制御も根拠もないまま放たれている、というイメージで捉えると記憶に残りやすくなります。
劇中でモジーが口にした「当てずっぽうだけど」という前置きも、まさにこの野放しの推測そのものでした。確信のなさを隠さず、それでも軽い調子で言い切ってしまう、その身軽さごと覚えておくと、日常会話でとっさに使える場面が見えてきます。手綱がない分だけ身軽に飛び出す推測、というイメージを持っておくと、外れても構わないという気楽さも一緒に思い出せます。
例文で覚える「a wild guess」
日常のちょっとした場面から仕事の会議まで、a wild guess を、3つの例文で確認していきましょう。
That’s just a wild guess, but I think he’s over 40.
(それはただの当てずっぽうだけど、彼は40歳を超えていると思う)
相手の年齢や状況を推測して話す日常会話の場面です。文頭に that’s just を添えることで、確信のなさをやわらかく示せます。
Without any data, all we can do is make a wild guess.
(データが何もない状態では、当てずっぽうで言うことしかできない)
会議で情報不足のまま意見を求められるビジネスの場面です。make a wild guess の形で、行為としての推測を表しています。
A: How many people came to the party?
B: A wild guess? Maybe fifty.
(A:パーティーには何人来たの?)
(B:当てずっぽうで言うなら、50人くらいかな)
イベントの参加人数を聞かれて即答するカジュアルな会話です。A wild guess? だけを単独で使うと、前置きとしての相槌になります。
あわせて覚えたい関連表現
an educated guess
(根拠のある推測)
a wild guess が全く根拠のない推測を指すのに対し、an educated guess は知識や経験に基づいた推測を指す、対照的な表現です。
a shot in the dark
(当てずっぽう、山勘)
a wild guess とほぼ同義で、どちらも根拠のない推測を表します。暗闇に向けて撃つという比喩イメージが、a shot in the dark にはより強く残っています。
take a stab at
(とりあえず試してみる、当ててみる)
推測だけでなく一度試みる行為全般に使える点で、a wild guess より意味の範囲が広い表現です。
Note|”wild”が持つ「野生の」から「でたらめな」への意味の広がり
wild という単語は、もともと「野生の、飼いならされていない」という状態を表す言葉でした。動物や植物が人の手を加えられていない状態を指す、ごく物理的な意味です。
この「制御されていない」という核となる感覚が、時代を経るなかで人の行動や思考にも当てはめられるようになりました。wild guess の他にも、wild card(予測不能な要素)、wild goose chase(無駄骨に終わる追跡)など、wild を含む慣用表現の多くが「制御不能」「予測不能」という共通のイメージを土台にしています。goose chase(ガチョウ狩り)は捕まえにくい獲物を追いかける様子から生まれた表現とされ、wild という一語が持つ「思い通りにならない」という感覚が、対象を変えながら英語のさまざまな場面に広がっていったことがうかがえます。
劇中でモジーが口にした wild guess も、この系譜に連なる使い方のひとつです。確たる根拠を持たない推測を、あえて「野生の」という比喩で軽やかに表現する、この単語ならではの発想の飛躍が感じられます。理屈っぽく振る舞うことの多いモジーが、あえて根拠を放棄した推測を口にするという構図そのものにも、ちょっとした可笑しみが宿っています。
野原を自由に駆ける動物のイメージが、頭の中で自由に飛び出す推測のイメージへとつながっている。そう考えると、wild という一語の懐の深さが見えてきます。野生の動物が予測できない動きをするのと同じように、根拠のない推測もまた、当たるか外れるか予測できない、という共通点にも自然と気づかされます。
まとめ|根拠のなさを軽やかに言い切る一言
a wild guess は、確たる根拠がなくても、それでも何かを答えようとするときに使える表現です。wild という語が持つ「制御されていない」という感覚を覚えておけば、断定を避けながらも自分の考えを差し出す軽やかさが自然と身につきます。
会議で情報が足りないときも、友人との雑談で相手の年齢や状況を推測するときも、この一言があれば気負わずに答えを口にできます。
保安官らしき二人組を見てとっさに軽口を叩いたモジーの姿には、深刻な状況でも観察眼と皮肉を忘れない、彼らしい余裕がにじんでいます。緊張の中に差し込まれる軽やかな一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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