海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン1 第10話から、エリザベスに「これは何?」と問いただされたピーターが、潜入捜査での振る舞いを説明する場面を取り上げます。後ろめたいことを指摘されたとき、英語ではどう切り出すと角が立たないのでしょうか。先回りの一言から、皮肉で返される流れまで、夫婦らしい応酬が続きます。
言い訳の組み立てと、それを受け流す側の表現を順に見ていきます。
「I was gonna talk to you about that.」で先に切り出す
エリザベスが何かを手にピーターを問いただすと、ピーターはこう答えます。
Peter: I was gonna talk to you about that. That is part of an undercover job I was working. And part of the cover was that I had to talk to another woman.
(そのことは話そうと思ってたんだ。俺がやってた潜入捜査の一部なんだよ。で、偽装の一環として、別の女性と話す必要があった。)White Collar Season1 Episode10 (Vital Signs)
I was gonna 〜 は I was going to 〜 の口語形で、「〜するつもりだった」という過去の予定を表します。実際にはまだしていない、という含みを伴うのが特徴です。問いただされた直後にこう言えば、「隠していたわけではない」と先に示せます。仕事でも I was going to mention it at the meeting. のように、報告が遅れたことを認めつつ切り出すときに使えます。
続く part of 〜 は「〜の一部」で、二文続けて使うことで、行動をあくまで任務の一部と位置づけています。cover はここでは「潜入のための偽装、仮の身分」を指します。an undercover job I was working の work は「(案件を)担当する」の意味で、関係代名詞が省かれた形で job を後ろから説明しています。
これを聞いたエリザベスは、皮肉で返します。
Elizabeth: You must’ve been quite the conversationalist.
(さぞかし話し上手だったんでしょうね。)
Peter: I had to flirt with her so Neal could get closer to the target.
(ニールが標的に近づけるように、彼女の気を引かなきゃならなかったんだ。)
Elizabeth: Isn’t it usually the other way around?
(普通は逆じゃない?)
Peter: Eh, she chose me.
(まあ、向こうが俺を選んだんだよ。)White Collar Season1 Episode10 (Vital Signs)
must’ve been は must have been の短縮で、「〜だったに違いない」と過去を推量する形です。quite the + 名詞 は「なかなかの〜」で、ここでは褒め言葉の形を借りた当てこすりとして働いています。
Isn’t it usually the other way around? は否定疑問文で、「いつもは逆でしょう?」と相手の同意を見込んで尋ねています。the other way around は「逆に、反対に」という決まった言い回しです。いつもならニールが相手の気を引く役なのに、という指摘に、ピーターは she chose me とだけ返します。
笑い出した相手への「You’re laughing.」と自虐の一言
さらに問い詰められたピーターは、一緒に飲んだだけで何もなかったと誓います。すると、エリザベスが笑っていることにピーターが気づきます。
Peter: You’re laughing. You’re laughing.
(笑ってる。笑ってるじゃないか。)
Elizabeth: You had to flirt? You hate flirting!
(あなたが気を引かなきゃならなかったの? そういうの大嫌いでしょう!)
Peter: I know. And now I remember why.
(分かってる。それに、なぜ嫌いなのか今思い出したよ。)White Collar Season1 Episode10 (Vital Signs)
You’re laughing. は疑問文ではなく平叙文で、目の前の相手の様子をそのまま言葉にしています。この直前、ピーターは Are you laughing? と疑問文で尋ねていました。答えを待たずに平叙文へ言い換え、同じ文を二度繰り返しているところから、意外な反応に面食らった様子が読み取れます。「笑ってるの?」から「笑ってるじゃないか」へと、確かめる問いから指摘へと移る流れは、日本語の感覚とも近いものです。
エリザベスの You had to flirt? も、平叙文の語順のまま語尾を上げた聞き返しです。続く You hate flirting! は、夫の性分をよく知る妻ならではの指摘です。
ピーターの I know. And now I remember why. は、why のあとに I hate flirting が省かれた形です。相手の指摘を I know で認め、「嫌いな理由を今回思い出した」と自分を笑いに変えて締めています。日常でも、苦手なことをやって懲りたときに I tried karaoke again. Now I remember why I stopped. のように使えます。
このあとエリザベスは、監視映像があるなら見たいとまで言い出します。直後に電話をかけてきたニールまで、なぜエリザベスが笑っているのかと尋ねており、釈明の場面が笑い話に変わっていく流れが見どころです。
まとめ|先回りの釈明と、笑いに変える返し
I was gonna 〜 で先に切り出し、part of 〜 で事情を位置づける釈明と、must’ve been や否定疑問で返す皮肉を見てきました。後ろめたい場面ほど、言葉の順番が効いてくることが分かります。
次回も『ホワイトカラー』を観ながら、会話の英語を拾っていきましょう。
事件側の英語は、同じ回のフレーズ記事でも扱っています。


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