海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
無線越しに標的の接近を告げられた瞬間、それまでの穏やかな空気が一変し、全員が一斉に動き出す場面が、捜査ドラマにはよく描かれます。一つの報告が引き金になって、待機モードから追跡モードへと切り替わる瞬間です。
そんな緊迫の一瞬にぴったりの「go after someone」を、『ホワイトカラー』シーズン2第9話の終盤、ロシア文化遺産博物館での張り込み作戦の最中にファウラーの接近が告げられる場面から、一緒に見ていきましょう。
「go after someone」の意味とニュアンス
go after someone
意味:(人)を追う、追跡する
go after someoneは、物理的に人の後を追いかける場合にも、抽象的に「ある人物や地位、目標を狙う」場合にも使える汎用性の高い句動詞です。捜査ドラマでは容疑者を追跡する意味で頻繁に登場します。
goとafterという2つのシンプルな語の組み合わせでありながら、実際に走って追う場面から、昇進や賞といった目標を追い求める場面まで、対象の幅がとても広いのが特徴です。
誰かを実際に追いかけるときにも、競争相手や目標を狙っていると伝えるときにも使える、実用性の高い表現です。ニュース報道から日常のちょっとした宣言まで、幅広い場面で自然に馴染む懐の深さも持っています。次の【ここがポイント!】で要点を整理していきます。
【ここがポイント!】
- 「go after someone」の核は、目の前の対象の後を追って行動を起こすというイメージ
- 物理的な追跡にも、地位や目標を狙う抽象的な場面にも使える汎用性
- 無線やニュース報道など、緊迫した状況の報告フレーズとしてもよく登場する
『ホワイトカラー』S02E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ロシア文化遺産博物館を舞台に、FBIチームはファウラーを確保するための張り込み作戦を展開しています。無線でファウラーの接近を告げられたピーターが、すぐさま追跡へと動き出す一方、入り口では招待状の確認が変わらず続けられている場面です。
Diana: Peter, I see Fowler. He’s coming your way.
(ピーター、ファウラーが見えた。あなたのほうに向かってる。)Doorman: Hello. Nice to see you. Invitation, please?
(こんにちは。お会いできて光栄です。招待状をお願いできますか?)Peter: Fowler just entered the building. I’m going after him. Stay on the entrance.
(ファウラーがたった今建物に入った。私が彼を追う。入り口を見張っていてくれ。)Doorman: Invitation, please.
(招待状をお願いします。)White Collar Season2 Episode9 (Point Blank)
シーン解説と心理考察
「Peter, I see Fowler. He’s coming your way.」という無線報告は、標的が接近していることを知らせる緊迫した合図です。この一報を受けたピーターは、間髪入れずに追跡へと踏み出す判断を下します。
「Fowler just entered the building. I’m going after him. Stay on the entrance.」という指示からは、入り口の監視を他の要員に任せつつ、自らは標的を追うという瞬時の役割分担が読み取れます。短い言葉の中に、チーム全体を動かす指揮官としての判断力が凝縮されています。その一方で、入り口では「Invitation, please.」と招待状の確認がなおも続いており、Stay on the entranceの指示どおり、この持ち場は別の要員の手に委ねられています。ピーター自身は歩みを止めることなく、そのまま追跡へと向かっていきます。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
誰かが目の前を通り過ぎた瞬間、間髪入れずにその後を追って走り出すイメージを思い浮かべてみましょう。go(行く)とafter(〜の後を)という組み合わせが、そのまま「後を追って行動する」という直訳的なイメージを作っています。
劇中でもまさに「見つけた標的の後を追う」という文字通りの場面で使われていました。物理的な追跡でも、目標や地位を追い求める抽象的な意味でも、この「後を追って動き出す」感覚をそのまま当てはめて考えると、覚えやすい表現になります。動き出す瞬間の勢いごとイメージしておくと、実際の会話でも自然に口から出てくるはずです。
例文で覚える「go after someone」
物理的な追跡からキャリアの目標まで、go after someoneが使われる幅広い場面を、3つの例文で確認していきましょう。誰かを実際に追いかける場面と、目標を追い求める場面の両方が含まれています。
The police officer went after the suspect on foot.
(警察官は容疑者を徒歩で追いかけた。)
実際の追跡劇を描写するニュース寄りの場面です。go after someoneの最も基本的な「物理的に追いかける」使い方が表れています。
If you want that job, you have to go after it yourself.
(その仕事が欲しいなら、自分から動いて狙いに行かないと。)
友人にキャリアのアドバイスをする日常会話です。抽象的な目標を「追い求める」という使い方が伝わります。
A: Why is the media going after him so aggressively? B: I guess the story is too big to ignore.
(A:なぜメディアはあれほど彼を執拗に追及しているのだろうか。 B:ニュースとして無視できないくらい大きいんだろうね。)
メディアの過熱した取材姿勢を話題にする会話です。人だけでなく組織や話題を主語にしても使える柔軟さが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
chase after someone
((人)を追いかける)
go afterよりも「走って追いかける」という物理的な動きのイメージが強く、カジュアルな響きを持ちます。go after someoneが抽象的な目標にも使えるのに対し、こちらはより身体的な動作に寄っています。
pursue
(追跡する、追求する)
go afterよりもフォーマルな語で、公式な捜査報告や書き言葉でよく使われます。日常会話ではgo afterの方が自然に響く場面が多くあります。
be on someone’s tail
((人)を尾行している、後をつけている)
go afterが「これから追う、追い始める」動作を表すのに対し、be on someone’s tailは「すでに追跡している状態」を表します。動作の開始点と継続中の状態という時間軸の違いがあります。劇中の無線報告のように、状況が動き出す瞬間を伝えたいときはgo afterの方がより自然に響きます。
Note|前置詞afterが持つ「後ろに続く」という空間感覚
after という前置詞は、もともと時間的・位置的に「〜の後ろに」続くことを表す基本的な語です。「after lunch(昼食の後に)」のように時間の前後関係を表す使い方が最もよく知られていますが、この「後ろに続く」という空間的な感覚は、位置関係にもそのまま応用できます。
go afterという句動詞は、この空間的な「後ろに続く」イメージを、まさに文字通りの意味で使った表現だと考えられます。誰かの後ろについて動く、つまり「追いかける」という動作は、afterが本来持つ位置関係のイメージをそのまま行動に置き換えたものと言えるでしょう。さらにこの空間的なイメージは、実際に体を動かして追いかける場面だけでなく、目標や地位を「追い求める」という抽象的な場面にも自然に広がっていきます。欲しいものの「後ろについて動き続ける」という感覚が、そのまま比喩として機能しているのです。
劇中で無線を通じて交わされた「I’m going after him.」という一言も、標的の後ろに続いて動き出すという、afterの空間感覚がそのまま行動として表れた場面でした。指揮官が瞬時に下したこの判断には、前置詞ひとつが持つイメージの広がりが凝縮されています。
小さな前置詞ひとつが、追跡という具体的な行動にまでつながっている。そう考えると、英語の語感の奥深さが見えてきます。日常でよく耳にするafterの使い方を思い出しながらgo afterに触れると、この句動詞の成り立ちがより自然に頭に残ります。
まとめ|前置詞ひとつに宿る、追いかける動作の身軽さ
go after someoneは、目の前の対象の後を追って行動を起こすことを表す表現です。物理的な追跡から、地位や目標を追い求める抽象的な場面まで、goとafterというシンプルな組み合わせで幅広く対応できます。
誰かを実際に追いかける場面でも、欲しいポジションに向かって粘り強く動き続ける場面でも、この一言があれば状況を簡潔に言い表せます。ニュースの実況でも、キャリアの目標を語る雑談でも、この一言が違和感なく馴染むのは、go after someoneのとっさに使える汎用性の高さゆえです。
無線報告を受けて瞬時に「I’m going after him.」と踏み出したピーターの判断には、チーム全体の役割分担を一瞬で組み立てる指揮官としての反応の速さが表れていました。この身軽な判断力の感覚も、あわせて表現の引き出しに加えてみてください。


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