海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
始めたことを投げ出さずに最後までやり遂げてほしいと、大切な人の背中をそっと押したくなる瞬間があります。
そんな瞬間にぴったりの「see something through」を、『ホワイトカラー』シーズン4第3話の中盤、規律違反の処分で捜査から外されたピーターの葛藤を見抜いたエリザベスが、夫を送り出す場面から、一緒に見ていきましょう。
「see something through」の意味とニュアンス
see something through
意味:(困難でも)最後までやり遂げる、途中でやめない
see something throughは、始めたことを困難があっても最後まで完了させることを表す口語表現です。動詞seeが持つ「見る」という感覚が「関わり続けて結末を見届ける」というニュアンスに広がり、投げ出さずにやり遂げる意志の強さを伝えます。
単に何かを終わらせるという意味合いだけでなく、途中で困難や迷いがあることを前提に、それでも最後まで付き合い続ける姿勢を強調する点が特徴です。仕事のプロジェクトや個人的な目標など、時間や忍耐を要する場面でよく使われます。
throughという前置詞には「一方の端からもう一方の端まで通り抜ける」というイメージが根底にあり、途中で立ち止まらずに結末までたどり着くという感覚をよく表しています。単なる完了報告というより、そこに至るまでの過程そのものに価値を置く言い回しといえます。
【ここがポイント!】
- 「see something through」の核は、途中で目をそらさず結末まで付き合い続けること
- 困難や迷いがある状況でこそ使われる、意志の強さを伴う表現
- see it through のように目的語をitで受ける形が会話ではよく使われる
『ホワイトカラー』S04E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
規律違反の処分で捜査から一時外されているピーターは、担当中の事件から距離を置くことに強い葛藤を抱えています。煮え切らない態度を見せる夫に、エリザベスが背中を押す場面に注目です。
Elizabeth: What rule would you be breaking?
(どのルールを破ることになるの?)Peter: None of them yet, but this case — I got to —
(まだ何も破ってはいないけど、この事件は……やらないと……)Elizabeth: Honey, I know how important this is for you. So go be a part of it.
(ハニー、これがあなたにとってどれだけ大事なことか分かってる。だから、その一部になりに行って。)Peter: I want to.
(行きたいよ。)Elizabeth: I know. So see it through. You’re an FBI agent, Peter Burke.
(分かってる。だから最後までやり遂げて。あなたはFBI捜査官なのよ、ピーター・バーク。)White Collar Season4 Episode3 (Diminishing Returns)
シーン解説と心理考察
「まだ何もルールを破ってはいないけど……」と煮え切らない態度を見せるピーターの姿には、規律違反で証拠保管庫に配属された立場と、事件への未練の板挟みが表れています。エリザベスはそんな夫の迷いをすくい取り、「その一部になりに行って」と背中を押します。
「You’re an FBI agent, Peter Burke」というフルネームでの呼びかけには、規則に縛られた保管庫勤務者ではなく、FBI捜査官としての夫の本来の姿を思い出させる響きがあります。see it throughという一言に、彼女の信頼と励ましが凝縮されていると言えます。
短いやり取りの中でピーターの迷いが解け、行動へと切り替わっていく流れが、see something throughの持つ「最後まで付き合い続ける」意志の強さと重なって見える場面です。
エリザベスの言葉には、夫を甘やかすのではなく、本来の姿に引き戻す厳しさと優しさが同居しています。規律違反の処分で立場が制限されているからこそ、彼女の一言が持つ後押しの重みが際立ち、夫婦のあいだで交わされる信頼の形がそのまま伝わってきます。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
see something throughを覚えるコツは、始めたことの結末を、目をそらさず最後まで見届けるイメージを持つことです。
エリザベスがピーターに「あなたはFBI捜査官なのよ」と本来の姿を思い出させながら送り出したように、see it throughには、途中で投げ出さず、最後の場面まで付き合い続ける強さが込められています。トンネルの出口が見えるまで歩き続ける感覚で覚えておくと、困難な状況を励ます場面でも自然に口から出てくる一言になります。
暗いトンネルの中では出口の光がなかなか見えず、途中で引き返したくなる瞬間もあるものですが、それでも足を止めずに歩き続けた先にだけ出口が待っています。see it throughという表現を思い出すたびに、その歩みを止めない感覚を一緒に思い出してみると、記憶に定着しやすくなります。
例文で覚える「see something through」
プロジェクトの完遂から個人的な目標まで、see something throughを、3つの例文で確認していきましょう。
Once you start a project like this, you have to see it through to the end.
(このようなプロジェクトを始めたら、最後まで見届けないといけない。)
仕事のプロジェクトを完遂するよう促す場面です。to the endを添えると「最後の最後まで」という強調が加わります。
A: I want to quit halfway, but I promised I’d see it through.
B: That’s exactly why people trust you.
(A:途中でやめたいけど、最後までやると約束したから。)
(B:だからこそみんながあなたを信頼するのよ。)
約束を守る決意を語るカジュアルな会話です。周囲からの信頼と結びつけて使われています。
It’s not easy, but I’m going to see this diet through this time.
(簡単じゃないけど、今回はこのダイエットを最後までやり遂げるつもりだ。)
個人的な目標を語る日常会話の場面です。this timeを加えることで「今回こそは」という決意が伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
follow through
((計画・約束を)実行し切る)
follow throughは主に「約束や計画を実行に移す」ことに重点があるのに対し、see something throughは「既に始めたことを終わらせる」過程そのものに焦点があります。
stick with something
((困難でも)続ける、やり通す)
stick withは「継続する」姿勢そのものを指し、必ずしも完了・終結を含意しませんが、see something throughは「最後の結末まで」を含む点が異なります。
carry something out
((計画・任務を)実行する)
carry outはより事務的・計画の遂行に使われ、感情的な決意のニュアンスは薄い表現です。see something throughのような意志の強さは前面に出ません。
Note|finishとsee something throughの違いに見る「やり遂げる」の温度差
「終わらせる」という意味の表現は英語にいくつもありますが、finishとsee something throughでは、そこに込められる温度がまったく異なります。
finishは、単純にタスクや作業が完了した状態を表す、感情の起伏を伴わない事実ベースの表現です。I finished my homework.のように、途中の苦労や迷いには特に触れず、結果としての「完了」だけを述べます。一方でsee something throughは、途中に困難や中断のリスクがあることを前提とし、それでも投げ出さずに最後まで付き合い続けたという過程そのものに重みを置く表現です。エリザベスがピーターに向けた「see it through」も、単なる作業完了の報告ではなく、迷いを乗り越えて事件に関わり続けてほしいという願いが込められています。
同じ「終わらせる」でも、finishが結果だけを見るのに対し、see something throughは結果に至るまでの意志の強さを見ている、という違いを押さえておくと、場面に応じた使い分けがしやすくなります。宿題を終えたときにI finished my homework.とは言えても、途中で投げ出したくなる誘惑を乗り越えたわけではない場面には、see it throughという表現はあまりなじみません。逆に、周囲からの励ましや自分自身との約束を背景に持つ場面では、finishよりもsee it throughの方が状況にふさわしい響きを持ちます。
エリザベスがピーターに向けた一言も、単に「事件を終わらせて」という業務的な指示ではなく、迷いを抱えたまま立ち止まっている夫に対して、その迷いごと乗り越えてほしいという願いが込められていたからこそ、finishではなくsee it throughという表現が選ばれていると読み取れます。
途中の迷いを乗り越えた先に完了があるとき、see something throughがふさわしい一言になります。
まとめ|迷いを乗り越えて最後まで付き合う一言
see something throughは、困難や迷いがあっても、始めたことを投げ出さずに最後までやり遂げることを表す表現です。単なる完了とは違い、途中の葛藤を乗り越える意志の強さが込められています。
仕事のプロジェクトでも、個人的な目標でも、迷いを抱えたときにこの一言があれば、最後までやり通す姿勢を言葉にできます。
規律違反の処分で葛藤を抱えるピーターに、エリザベスが「あなたはFBI捜査官なのよ」と本来の姿を思い出させながら送り出した場面には、夫婦の信頼と励ましが静かに表れていました。迷いを乗り越えて一歩を踏み出す、その背中をそっと押す一言として覚えておくと、身近な場面でも自然に使えるはずです。


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