海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
シットコム『ヤングシェルドン』シーズン1第14話には、言っていることとやっていることが食い違う場面がいくつも出てきます。その矛盾を真っ先に言葉にするのが、祖母ミーモーの遠慮のない軽口です。
今回は、「偽善者」にあたる hypocrite と「裏表がある」を表す two-faced、そして矛盾を突く問い返しや、本音で受け流す言い方を、場面の順に見ていきます。
「hypocrite」とポテトサラダ
持ち寄りの食事会のあと、母メアリーはほかの人のサラダを気の毒がります。それを聞いたシェルドンが、矛盾を指摘します。
Mary: I feel bad for Pam Staples. No one’s touching her potato salad.
(パム・ステイプルズが気の毒。誰も彼女のポテトサラダに手をつけてないんだもの。)Sheldon: If you feel bad, then why are you smiling?
(気の毒に思うなら、どうして笑ってるの?)Meemaw: ‘Cause sometimes your mommy’s a big ol’ hypocrite.
(ママはときどき、とんだ偽善者になるからさ。)Young Sheldon Season1 Episode14(Potato Salad, a Broomstick, and Dad’s Whiskey)
feel bad for ~ は「〜を気の毒に思う」という意味です。シェルドンの If ~, then why ~? は、相手の言葉を条件として受け取り、「それならなぜ」と行動との食い違いを問う組み立てになっています。字義どおりに受け取るシェルドンらしい質問です。
答えたのはミーモーでした。hypocrite は「偽善者」と訳されることの多い名詞で、口で言うことと本心や行いが違う人を指します。‘Cause は because を短くした話し言葉で、big ol’ は big old をくだけて発音した形です。ここでは「大の」「とんだ」と意味を強める働きです。
ミーモーは孫のシェルドンに向けて your mommy と呼び、娘のメアリーを茶化しています。強い非難ではなく、家族の間の冗談として口にしているのが分かります。hypocrite は人を責める語なので、使う相手と場面は選ぶ必要があります。会話例のように a bit of を添えると、自分に向けた軽い言い方になります。
- A: You say you hate sweets, but you just ate three cookies.
(甘いものは嫌いって言うけど、今クッキーを3枚食べたよね。) - B: Okay, maybe I’m a bit of a hypocrite.
(まあ、ちょっと言ってることとやってることが違うかもね。)
「I’m fine with that.」で受け流す
メアリーは新しい仕事のために、放課後の子守りをミーモーに頼みます。返ってきたのは、たとえを使ったはっきりした断りでした。
Mary: But you love your grandchildren.
(でも、孫のことはかわいいでしょ。)Meemaw: I love ice cream, too, but I don’t want to eat it from 3:00 to 6:00 five days a week.
(アイスクリームだって大好きだけど、週5日、3時から6時まで食べたいとは思わないね。)Mary: Well, I’m very disappointed.
(そう、すごくがっかりした。)Meemaw: And I’m fine with that. Why don’t you just get a babysitter?
(それで結構。ベビーシッターでも頼んだら?)Young Sheldon Season1 Episode14(Potato Salad, a Broomstick, and Dad’s Whiskey)
I love ~, too, but … は、相手の言い分をいったん認めてから断る形です。孫を好きなことは否定せず、アイスクリームにたとえて「好きでも毎日長時間は無理」と伝えています。
メアリーの I’m very disappointed. に対する I’m fine with that. は「それで構わない」という意味で、相手が不満を口にしても自分の考えは変えないという受け流しになります。Why don’t you just ~? の just は「〜すればいいだけ」と、代わりの案を軽く差し出す働きをしています。
ここで注目したいのは、ミーモーが本音を隠していないことです。子守りは引き受けないとはっきり言っており、言葉と行いはそろっています。放課後の場面では、この祖母が自分の矛盾を自分で言い当てます。
- A: I’m a little disappointed.
(ちょっとがっかりだな。) - B: I’m fine with that. You’ll get over it.
(それで構わないよ。そのうち気にならなくなるって。)
「two-faced」と自分を笑う
放課後、ミーモーが双子の様子を見に来ていたことが分かります。ミッシーの一言に続く、短い問答です。
Missy: And you don’t think we can.
(私たちにはできないと思ってるんだ。)Meemaw: Of course I do. I’m the one who told your mother that you were fine by yourselves in the first place.
(もちろんできると思ってるよ。そもそも、あんたたちだけで大丈夫だってお母さんに言ったのは私なんだから。)Sheldon: Then why were you checking up on us?
(じゃあ、なんで僕たちの様子を見に来てたの?)Meemaw: That’s called being two-faced.
(それを二枚舌って言うのさ。)Young Sheldon Season1 Episode14(Potato Salad, a Broomstick, and Dad’s Whiskey)
Of course I do. の do は、直前の think we can を受けて繰り返しを避けています。in the first place は「そもそも」と話の出発点に戻る言い方です。check up on ~ は「〜の様子を確かめる」で、心配して見に行くときに使われます。
シェルドンの Then why ~? は、冒頭の場面と同じく矛盾を突く問い返しです。これに対してミーモーは That’s called being two-faced. と答えます。two-faced は「顔が二つある」、つまり人によって態度や言うことを変える、裏表があるという意味の形容詞です。日本語の「二枚舌」に近い語ですが、言葉だけでなく行いの食い違いにも使えます。
母メアリーには「大丈夫」と言いながら、自分は様子を見に来ていた。その矛盾をミーモーは言い訳せず、自分から名前を付けて冗談にしています。冒頭で娘をからかったのと同じく矛盾を表す言葉を、今度は自分に向けているのが面白いところです。
- A: Then why were you checking up on me?
(じゃあ、なんで様子を見に来てたの?) - B: I was just worried about you.
(ちょっと心配だっただけだよ。)
| 表現 | 意味 | 場面 |
|---|---|---|
| hypocrite | 偽善者(名詞) | 娘を茶化す |
| two-faced | 裏表がある(形容詞) | 自分の矛盾を笑う |
| If ~, then why ~? | それならなぜ | 矛盾を突く |
| I’m fine with that. | それで構わない | 不満を受け流す |
まとめ|矛盾を言葉にする英語
hypocrite と two-faced は、言うこととやることの食い違いを表す語です。矛盾を突く then why ~?、相手の不満を受け流す I’m fine with that. と合わせて、ミーモーの軽口が本音の英語の見本になっている回です。
ミーモーの遠慮のない言葉に注目しながら、これからも『ヤングシェルドン』の会話を楽しんでいきましょう。


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