「live it up」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E01で学ぶ英会話

「live it up」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

いなくなった人の暮らしぶりを、残された側が勝手に思い描いてしまう。そういう場面が、ドラマには時々あります。

そのときに出てくるのが「live it up」で、派手に遊ぶ、豪勢に暮らす、という意味です。『メンタリスト』シーズン2第1話の中盤、失踪していた母の死を告げられた娘のケシーが、思い描いていた母の姿を口にする場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「live it up」の意味とニュアンス

live it up
意味:派手に遊ぶ、思い切り楽しむ、豪勢に暮らす

live に it up が付くと、暮らしぶりの音量つまみが一段上がります。同じ一日でも、食事も、着るものも、移動手段も派手になる。そういう状態を表す口語表現です。

目的語の it は特定の何かを指していません。make it、go for it、call it a day のように、英語には意味を持たない it を挟んで動詞句をひとまとまりの表現に仕立てる型がいくつもあります。live it up もその一員で、it だけを取り出して訳そうとしても行き止まりになります。

この表現が面白いのは、評価が固定されていない点です。休暇に出かける相手へ Live it up! と言えば送り出しの励ましになり、噂話の中で使えば散財を責める言葉になります。決めているのは語ではなく、話し手と対象との距離です。

進行形との相性がよく、be living it up の形で使われることが多くなります。

【ここがポイント!】

  • 核は暮らしぶりの音量が一段上がるイメージ。turn it up と同じ手ざわり
  • it は何も指していない。分解せず、ひとかたまりで受け取るのがコツ
  • 励ましにも非難にも転ぶ。決めるのは語ではなく話し手との距離

『メンタリスト』S02E01のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

舞台は被害者の実家。数年前に大金を持ったまま姿を消した母親が、遺体で見つかったと伝えられた直後です。父親は打ちのめされていますが、娘のケシーだけは温度が違います。遺体の発見場所を聞いた彼女は、自分が思い描いてきた母の姿を、そのまま口に出してしまいます。

Dad: So how did she die?
(それで、妻はどうやって死んだんですか)

Lisbon: It was a homicide, but she didn’t suffer. We don’t have any suspects yet.
(殺人です。ただ、苦しまれてはいません。容疑者はまだ挙がっていません)

Kessie: Where was she?
(母はどこにいたんですか)

Lisbon: She was living alone in a small apartment in Twenty Palms.
(トゥエンティ・パームズの小さなアパートで、一人暮らしをされていました)

Kessie: I thought she’d be living it up in Mexico or someplace.
(メキシコあたりで派手に遊んでるんだと思ってた)

The Mentalist Season2 Episode1(Redemption)

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シーン解説と心理考察

ケシーのこの一言は、母の死を聞いた直後ではなく、遺体の発見場所を聞いた直後に出ています。順番に意味があります。安アパートで一人だったという事実が、彼女の中の筋書きと噛み合わなかった。その齟齬が言葉を押し出しています。

I thought she’d be という過去の推量の形にも、そのズレが表れています。ずっとそう思い込んできた、という時間の厚みが乗る言い方です。母は盗んだ金で楽しくやっている。憎み続けるには、その像が必要だったとも読めます。

Mexico or someplace という雑な指定も効いています。行き先を具体的に知っているわけではない。ただ遠くで気ままに暮らしているはずだ、という想像だけが先にある。その粗さが、恨みの純度をかえって際立たせています。

続きを言いかけたところで父親に遮られる展開も見どころです。家族の中でこの話題が禁じ手になっていることが、たった二語の制止から伝わってきます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

オーディオのつまみを右に回す動作を思い浮かべてください。turn it up で音が大きくなるように、live it up では生活そのものが大音量になります。同じ部屋、同じ一日でも、鳴っている音の大きさだけが違う。

劇中でケシーが思い描いていたのは、まさにその大音量の暮らしでした。ところが実際の母が住んでいたのは、音を絞ったような小さなアパートです。想像の中の派手な音と、現実の静けさ。この落差ごと覚えておけば、live it up が「ただ生きる」ではなく「派手に生きる」を指すことが、絵として定着します。

例文で覚える「live it up」

送り出す言葉にも、噂話の刺にもなるのがこの表現です。三者三様の場面で見ていきましょう。

They’re living it up in Hawaii for two weeks.
(あの二人、2週間ハワイで豪遊してるらしいよ)
知人の旅行を人に伝える場面。進行形が最も自然な形で、少しうらやましそうな響きも自然に乗ります。

After he retired, he started living it up a little.
(退職してから、彼は少し贅沢を楽しむようになりました)
家族や知人の近況を話す場面です。a little を添えると非難の色が消え、微笑ましい報告になります。

A: You’re only young once. Go live it up.
B: I’ll try, but my bank account disagrees.
(A:若いのは一度きりだよ。思い切り楽しんできな)
(B:そうしたいけど、口座残高がそうは言ってなくて)
年下の相手を送り出す場面。命令形にすると励ましの言葉になり、返しで軽口をつなげやすくなります。

あわせて覚えたい関連表現

splurge
(大盤振る舞いする、奮発する)
一回の出費に焦点がある動詞です。live it up が暮らしぶり全体を指すのに対して、こちらは買い物一つでも成立します。

paint the town red
(街に繰り出して派手に飲み歩く)
夜の外出、それも一晩の出来事に限られます。期間の長さで言えば、live it up のほうがずっと守備範囲が広くなります。

let one’s hair down
(羽目を外す、くつろぐ)
普段の緊張を解くことが中心で、金銭的な派手さは含みません。同じ「楽しむ」でも、お金が絡まない点が大きな違いです。

Note|「楽しむ」を表す表現の守備範囲

日本語ではまとめて「楽しむ」で済むところを、英語はいくつもの言い方で切り分けています。live it up をどこに置くかを決めると、まわりの表現も一度に整理できます。

軸は二つです。一つ目は期間。paint the town red は一晩、splurge は一回の買い物、live it up は数日から数年まで伸びます。ケシーが思い描いた母の暮らしは、失踪してからの数年間でした。ここに paint the town red は入りません。二つ目は要素、つまりお金が絡むかどうかです。let one’s hair down は、堅い上司が社員旅行でネクタイを外すような場面で使われ、出費とは無関係でいられます。live it up と splurge は逆に、支払いの気配が抜けません。この二軸で並べると、live it up は「期間が長く、お金も絡む」という位置を占めることになります。だから、宝くじに当たった人、退職して余裕のできた人、そして横領して逃げたと思われている人。いずれの暮らしぶりにも当てはまるわけです。

劇中のケシーが選んだのがこの語だったことには理由があります。一晩の遊びでも、一回の散財でもなく、年単位で気ままに暮らしているはずだと信じていた。その思い込みの長さが、語の選択にそのまま出ています。

言葉の守備範囲を知ると、話し手の見ていた景色まで見えてきます。

まとめ|思い描かれた母の暮らし

live it up は、楽しむという行為ではなく、暮らしぶりの音量を指す表現です。期間が長く、お金の気配を伴う。この二つを押さえておくと、似た表現との境目で迷わなくなります。

会話に取り入れると、旅行の話も、誰かの近況も、一語で色をつけて伝えられるようになります。命令形にすれば送り出しの言葉になり、進行形にすれば噂話の器にもなります。

劇中のケシーは、この一語だけで、自分が長く抱いてきた母の像を語ってしまいました。人が思い描く暮らしぶりには、その人の感情がそのまま出る。次に誰かの近況を話すとき、どの音量で語るかを選んでみてください。

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