「have what it takes」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E12で学ぶ英会話

「have what it takes」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

新しいことを始めようとして、自分にその素質があるのだろうかと立ち止まった経験はありませんか。あるいは誰かを推すとき、その人なら大丈夫だと一言で伝えたくなったことは。

そんなときにぴったりの「have what it takes」を、『メンタリスト』シーズン2第12話の終盤、張り込み現場で問い詰められた人物が、事件当夜のやり取りを語り出すシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「have what it takes」の意味とニュアンス

have what it takes
意味:素質がある、やっていける器だ

直訳すると「それが必要とするものを持っている」。it takes の it は、目の前にある挑戦そのものを指しています。マラソンならマラソンが、経営なら経営が、それぞれ「これだけのものを寄こせ」と要求してくる。その要求内容を what が受け、それを備えているかと問うのがこの表現です。

面白いのは、必要なものの中身を一度も書かずに済むところです。マラソンなら持久力、経営なら胆力、記者なら粘り。場面ごとに違うはずのものを「必要なもの一式」とまとめて指せます。

重心は技術や経歴ではなく、性質や覚悟の側にあります。資格や実績を並べて評価するのではなく、この人ならやり切れるかどうかを問う言い方です。そのぶん、否定形で使われると相手の人格そのものを否定したような響きになり、かなり強く刺さります。

疑問文なら Do you think he has what it takes?、否定なら I don’t have what it takes to… のように、to不定詞で何に対する素質かを続けるのが基本の形です。

【ここがポイント!】

  • it は目の前の挑戦。それが要求してくるものを持っているか、と問う組み立てが核になる一言
  • 中身を書かずに「必要なもの一式」を指せるので、細かく説明せずに評価を伝えられるのが便利
  • 否定形は刺さりやすい。相手に向けて使うときは、言い方に気を配りたい表現

『メンタリスト』S02E12のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

張り込み現場で追い詰められた人物が、ついに事件当夜の出来事を語り始めます。恋人だった被害者が、市長の汚職を暴く原稿を用意していたこと。それを自分には一切知らせていなかったこと。口論が激しくなっていく過程を、本人の口から振り返る場面です。物語の核心に触れない範囲で引用します。

Jane: Do you want to tell us what happened?
(何があったのか、話してくれるかい)

Mike: She said she couldn’t trust me anymore and that it was over. The argument escalated, and, uh, I took my necklace back. And then she starts taunting me, you know, implying that I don’t have what it takes to be in the big leagues anyway, saying I’m a loser.
(彼女は、もう俺を信用できない、これで終わりだと言った。口論が激しくなって、俺は渡したネックレスを取り返した。それから彼女は俺を嘲り始めた。どうせ大舞台でやっていける器じゃない、負け犬だとほのめかしてね)

The Mentalist Season2 Episode12(Bleeding Heart)

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シーン解説と心理考察

語り手が使った implying(ほのめかして)という動詞が、この場面の重さを決めています。面と向かって言われたのではなく、遠回しに伝わってきた。だからこそ、はっきり反論する機会もないまま、言葉だけが残ったことになります。

have what it takes の否定形が刺さる理由も、ここに表れています。何が足りないのかを名指ししない表現なので、否定された側は反論の的を絞れません。技術が足りないなら学べばいい、経験が足りないなら積めばいい。けれど「必要なもの一式」を持っていないと言われると、どこから手をつければいいのか分からなくなります。

八年間フィールドワークを続けてきた人物が、大舞台に届いていないという自覚を、どこかで抱えていた。その自覚に外から言葉が当てられた瞬間だったと言えます。語り口が途切れがちになっていくところに、当時の動揺がにじんでいます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

目の前に、越えたい壁が一つ立っているとします。その壁が口を開いて、「ここを越えたければ、これとこれを寄こせ」と条件を並べてくる。it takes の it は、この壁のことです。

壁が要求してくるものを what が受け、それを手元に持っているかと問うのが have what it takes。だから主語は挑戦の側にあり、人は要求に応えられるかどうかを試される立場に置かれます。

劇中では、記者としての大舞台がその壁でした。何を要求されていたのかは、最後まで具体的に語られません。それでも十分に伝わってしまうのが、この表現の切れ味です。壁が条件を並べる姿を思い浮かべておけば、it が何を指すのか迷わなくなります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「have what it takes」

自分について使えば謙遜に、他人について使えば推薦になります。3つの場面で確かめてみましょう。

I’m not sure I have what it takes to run a marathon.
(マラソンを走り切れる素質が自分にあるか、自信がない)
新しい挑戦を前にためらっている場面です。I’m not sure と組み合わせると、断念ではなく迷いの段階にいることが伝わります。

She definitely has what it takes to lead this team.
(彼女には、このチームを率いる素質が間違いなくある)
人事の場で誰かを推す場面です。definitely を添えることで、遠慮のない後押しになります。細かい根拠を並べなくても、評価としては十分に届きます。

A: Honestly, I don’t think I have what it takes for this job.
B: It’s not about talent. It’s about whether you keep showing up.
(A:正直、この仕事に向いている気がしないんだ)
(B:才能の話じゃないよ。続けられるかどうかの話だ)
弱気になっている相手を励ますやり取りです。talent との対比を持ち出すことで、この表現が問うているのが才能ではないと示せます。

あわせて覚えたい関連表現

be cut out for
(〜に向いている)
適性の有無に焦点がある表現です。have what it takes が「必要な水準に届くか」という到達点を問うのに対して、こちらは性質としての向き不向きを言います。I’m not cut out for sales. のように否定形でよく使われます。

be up to the task
(その務めを果たせる)
目の前の具体的な仕事1件について使う表現です。have what it takes がキャリアや長い挑戦に向くのに対して、こちらは期限のある課題に対して用いられます。射程の長さが違うと考えると整理しやすくなります。

have it in one
(その力が備わっている)
本人も気づいていなかった力が実はあった、という含みを持ちます。周囲が驚いたときに使いやすく、I didn’t know you had it in you. の形で「そんな力があったとは」と伝えられます。

Note|it takes の it は何を指すのか

日本語なら「素質がある」「器がある」と、名詞ひとつで言い切れます。ところが英語は、同じことを言うのに have what it takes という関係の形を選びました。この差には、発想の違いが表れています。

英語には、挑戦の側を主語に立てる構文がいくつもあります。It takes courage.(勇気が要る)、It takes two to tango.(タンゴを踊るには二人要る)、It takes time.(時間がかかる)。いずれも人ではなく、行為や状況のほうが主語になり、そこから何かを要求してくるという組み立てです。have what it takes は、この構文の要求内容を what で受け、それを人が持っているかへ話を戻した形になります。

つまり、順序が二段構えです。まず挑戦が条件を出す。次に人がそれに応えられるかを問う。日本語の「素質」が個人の内側にある性質を指すのに対して、英語のこの言い方は、人と挑戦の関係として素質をとらえていることになります。

この構造を知っておくと、中身を書かずに済む理由も見えてきます。要求してくるのは挑戦の側なので、話し手が中身を決める必要がない。マラソンにはマラソンの、経営には経営の条件があり、それは聞き手も分かっている。だから what ひとつで足りるわけです。

劇中でも、大舞台が何を要求してくるのかは語られませんでした。語られないまま、否定だけが残った。中身を書かずに済むという便利さは、裏返すと、否定されたときに反論しにくいということでもあります。

言葉の作りが、その言葉の刺さり方まで決めている。そういう例です。

まとめ|名指しされないまま残った言葉

have what it takes は、目の前の挑戦が要求してくるものを、その人が備えているかと問う表現です。it が挑戦を指し、what がその要求内容を受ける。この二段構えを押さえておけば、組み立てで迷うことはありません。

使えるようになると、人を評価する言葉が一つ増えます。資格や実績を並べる代わりに、この人ならやり切れると一言で伝えられる。自分について使えば、迷いを正直に言葉にすることもできます。

劇中では、何が足りないのかを名指ししないまま、否定だけが相手の中に残りました。表現の切れ味と、その扱いの難しさが同時に見える場面です。使いどころを思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。

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