「man up」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E10で学ぶ英会話

「man up」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

言い出しにくいことを前に、いつまでも切り出せずにいる。そんな相手の背中を押したくなる場面があります。

そのときに使われるのが「man up」で、しっかりしろ、腹をくくれ、という意味です。『メンタリスト』シーズン2第10話の終盤、投球テストを目前にした若い選手が、父親から短い言葉をかけられる場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「man up」の意味とニュアンス

man up
意味:しっかりしろ、腹をくくれ、逃げずに向き合え

名詞の man が動詞として働き、up が「立ち上がる」方向を足しています。うずくまっていた人が背筋を伸ばして立つ。その動きが二語に収まった表現です。

使われるのは、相手が逃げ腰になっている場面です。言うべきことを言わない、責任を認めない、怖がって前に出ない。そうした状態から一歩踏み出させようとするときに投げかけられます。

命令形が基本の形で、短く強い響きを持ちます。励ましと突き放しの両方が同時に含まれるため、親しい間柄でなければ使いにくい表現です。自分に言い聞かせる形なら、誰を傷つける心配もありません。

なお、男性像を前提にした言い方であることから、近年は step up への言い換えが選ばれる場面も増えています。職場など公的な場では、その点を意識しておくと安全です。

【ここがポイント!】

  • 名詞 man + up で「その役割になる」。立ち上がる動きで覚えるのがコツ
  • 励ましと突き放しが同居する、短くて強い一言
  • 男性像が前提にある表現なので、公的な場では step up が無難

『メンタリスト』S02E10のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

野球アカデミーでは、スカウトを集めた投球テストが始まろうとしています。ところが直前になって、若い投手スネークの年齢をめぐる事実が明らかになり、事態が動きました。父ジュピターは、息子のそばを離れなければならなくなります。呼び止めた息子に、父が返した言葉がこれでした。

Jane: How old are you really, kid? On the Bible.
(本当は何歳なんだ、坊主? 正直に言え)

Snake: Twenty-two.
(22歳だ)

Snake: Dad.
(父さん)

Jupiter: Man up, kid. Remember to keep the ball low. You get in trouble, throw ‘em the slider.
(しっかりしろ、坊主。低めに投げるのを忘れるな。苦しくなったらスライダーを投げろ)

The Mentalist Season2 Episode10(Throwing Fire)

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シーン解説と心理考察

父が返した言葉に、謝罪も弁明もありません。あるのは短い叱咤と、投球の指示が二つだけです。この場面で息子にできることは投げることしかない、という判断がそこに表れています。

言葉の順番も意味を持っています。まず man up で姿勢を立て直させ、そのうえで低めに投げろ、苦しくなったら決め球を使えと、具体的な手順を渡していきます。抽象的な励ましで終わらせない運び方です。

愛情の表現がすべて野球の指示の形をとってしまうところに、この親子の距離が表れています。抱きしめる代わりに姿勢を正させる。それがこの父にできる唯一のやり方だったと言えます。

このエピソードでは、ジェーン自身と父との記憶が繰り返し差し込まれます。子どもを自分の道具のように扱う父と、それでも別れ際に技術を託す父。二組の親子が重なるように置かれた終盤の場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

うずくまっていた人が、両手を膝から離して、ゆっくり背筋を伸ばして立ち上がる。その一連の動きを思い浮かべてみてください。man up の up は、この立ち上がる方向を指しています。

強くなれと言っているのではなく、姿勢を変えろと言っている。そう捉えておくと、この表現の短さと強さが腑に落ちます。

劇中の父も、息子を抱きしめる代わりにこの一言を投げました。そのあとに続いたのは、低めに投げろという実務的な指示です。立ち上がらせてから手順を渡す。その順番ごと覚えておくと、使いどころが体に入ります。

例文で覚える「man up」

背中を押す、自分を奮い立たせる、言い換えを選ぶ。三つの角度から見てみましょう。

Man up and tell her the truth.
(腹をくくって、彼女に本当のことを言えよ)
言い出せずにいる友人を押す場面です。命令形が基本の形で、親しい相手にしか使えません。

I told myself to man up and walk into that interview.
(自分に腹をくくれと言い聞かせて、面接の部屋に入った)
自分に向けて使う形です。誰かを評価する響きがなくなるため、最も安全な使い方になります。

A: I still haven’t told my boss about the mistake.
B: You need to man up—or step up, if that sounds better. Either way, tell him today.
(A:ミスのこと、まだ上司に言えてないんだ)
(B:腹をくくらなきゃ。step up のほうが言いやすければそっちでもいい。どっちにしても今日中に言うんだ)
言い換えを含めた会話です。表現の選び方そのものを話題にできるのも、この一言の特徴です。

あわせて覚えたい関連表現

step up
(一歩前に出る、責任を引き受ける)
性別の含みがなく、職場でも使えます。man up の言い換えとして最も選ばれている表現です。

suck it up
(文句を言わずに耐える)
我慢に重心があり、前に出る動きは含みません。姿勢を変えて踏み出すことを求める man up とは、要求している行動が違います。

toughen up
(精神的に強くなる)
性質としての強さを求める言い方で、時間のかかる変化を指します。その場での踏ん切りを促す man up とは、見ている時間の幅が異なります。

Note|名詞が動詞になる英語の作り方

man up をよく見ると、少し変わった作りをしています。man は名詞のはずなのに、ここでは動詞として働いています。しかも up が付くことで、その役割になる、という意味が生まれています。

同じ作りの表現は英語にいくつもあります。team up なら、チームになる、つまり組むこと。lawyer up なら、弁護士を立てること。アメリカの警察ドラマでは、容疑者が弁護士を呼ぶ場面でよく耳にします。ロデオの世界から広まったとされる cowboy up は、カウボーイのように腹をくくれ、という意味で使われます。

この作り方の便利さは、新しい表現をその場で生み出せる点にあります。名詞さえあれば、up を足すだけで「その存在らしく振る舞う」という意味が立ち上がります。英語が名詞と動詞の境目をゆるやかに扱う言語であることが、こうした表現の増え方によく表れています。

man up も、この型の一つとして眺めると見え方が変わります。強くなれという抽象的な命令ではなく、その役割の姿勢をとれ、という具体的な指示になります。だからこそ短く、そして強く響きます。

型を知っておけば、初めて聞く up 表現でも意味の見当がつきます。

まとめ|姿勢を正させた、別れ際の一言

man up は、強さそのものを求める表現ではありません。うずくまっていた人に姿勢を変えさせる、短く強い一言です。名詞に up を足してその役割になるという作りを押さえておけば、意味を取り違えません。

会話に入れると、長い説得をせずに相手の背中を押せるようになります。同時に、男性像を前提にした言い方であることも覚えておきたいところです。相手や場面によっては step up を選ぶ、その判断まで含めて使いこなす表現になります。

劇中の父は、別れ際にこの一言と投球の指示だけを残しました。言葉を尽くせない場面で選ばれる短い一言として、会話のレパートリーに加えてみてください。

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