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あの二人、昔は仲が良かったのに今は口もきかない。事情を尋ねるほどではないけれど、何かあったらしいことだけは伝わってくる関係があります。
そんな関係を一語で言い表す「a falling-out」を、『メンタリスト』シーズン3第18話の中盤、被害者と関わりのあった団体の代表に、リズボンが事務所で聴取を行うシーンから、一緒に見ていきましょう。
「a falling-out」の意味とニュアンス
a falling-out
意味:仲たがい、不和、口論
fall out は、組み合わさっていたものが外れて落ちることを表します。ポケットから鍵が落ちる、部品が外れる、といった動きです。これを人間関係に当てはめると、噛み合っていた二人が外れて離れていく光景になります。
名詞になると、その「外れた」という出来事が一つのまとまりとして切り取られます。だから a を伴い、a serious falling-out のように形容詞を添えることもできます。
指しているのは、人間関係の中で起きた口論や不和です。その後の付き合いが途絶えたり大きく冷え込んだりする場合にも使われますが、関係断絶までは語義の必須条件ではありません。
相手を示すときは with、原因を示すときは over を使います。a falling-out with his brother over money のように、二つを並べることもできます。
【ここがポイント!】
- 噛み合っていたものが外れて離れる、という動きが核となるイメージ
- 口論や不和を指し、関係断絶までは必須ではない
- 相手は with、原因は over で示すと、経緯まで一文に収まるのがコツ
『メンタリスト』S03E18のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
被害者ティムが一時期関わっていた支援団体の事務所です。代表のカークは、団体の理念を語りながら資金の話も隠しません。すでに別筋から二人の不仲を聞いているリズボンが、そこへ切り込みます。
Kirk: No. As a matter of fact, Tim had a lot of money. And frankly, we–we need money. We had–we had several quite serious discussions about funding this–this place.
(いいえ。実のところ、ティムには相当な資産がありました。正直、私たちは資金が必要です。この場所への出資について、かなり踏み込んだ話を何度かしました)[…]
Lisbon: Uh, we heard that the, uh, two of you had some sort of a falling-out?
(お二人の間で、何か仲たがいのようなものがあったと聞きましたが)Kirk: He decided that he wanted to start his own foundation. Uh, his right, I say.
(彼は自分の財団を立ち上げたいと言い出したんです。それも彼の自由でしょう)The Mentalist Season3 Episode18(The Red Mile)
シーン解説と心理考察
リズボンの切り出し方には、二重の仕掛けがあります。We heard that という伝聞の形を取ることで情報源を伏せ、さらに some sort of(何らかの)という緩衝材を挟んで断定を避けている。それでいて、こちらが何かを掴んでいることは相手に伝わります。相手に否定の余地を残しながら、逃げ道は狭めていく問い方です。
対するカークの返しも巧妙です。彼は falling-out という言葉を一度も使い返しません。被害者が独立を望んだ、それは彼の自由だ、と述べるだけで、対立の存在そのものをすり抜けています。摩擦を摩擦と呼ばないこの答え方は、直前に自分から資金難を認めた率直さと対になっており、どこまでが計算なのかを測りにくくしています。
前置きなしに金の話を切り出す人物が、感情の話になった途端に言葉を選び始める。その落差が、この場面の見どころです。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
きっちり噛み合っていた歯車から、一つの歯が外れて転がり落ちていく。fall out という句動詞が持っているのは、そういう物理的な動きです。
そして名詞になると、その「外れた瞬間」が写真のように一枚に切り取られます。動詞句の fall out が離れていく動きを表すのに対して、a falling-out は離れたという事実を数えられる形にまとめたものになります。a がつくのは、そのためです。
劇中では、リズボンが some sort of a falling-out と切り出しました。輪郭のはっきりしない何か、という前置きを添えて、外れた歯車の一件を指し示しています。断定を避けながら核心に触れる、あの距離の取り方ごと覚えておくと使いどころが見えてきます。
例文で覚える「a falling-out」
友人同士の口論から事業上の決別につながる不和まで使えます。3つの例文で、その幅を見ていきましょう。
They had a falling-out over money and haven’t spoken since.
(二人は金銭のことで仲たがいして、それきり口をきいていない)
友人同士の関係を第三者に説明する場面です。原因を示す over と、その後の断絶を示す since が組み合わさった、最も基本的な形になります。
The two founders had a falling-out, and the company split in half.
(創業者二人が決裂し、会社は二つに分かれた)
企業の沿革を説明する場面です。個人の感情のもつれが組織の分裂につながる、という流れをそのまま一文で表せます。
A: Are you inviting your uncle to the wedding?
B: I’d rather not go into the details of our falling-out.
(A:結婚式、叔父さんも呼ぶの?)
(B:仲たがいの経緯については、あまり触れたくないな)
立ち入られたくない話題をやんわり断る場面です。所有格をつけて our falling-out とすれば、当事者にとって既知の一件として指し示せます。
あわせて覚えたい関連表現
fall out with someone
(〜と仲たがいする)
同じ内容を動詞句で表した形です。I fell out with him last year のように時点を示しやすい一方、「あの仲たがい」と既知の出来事に触れたいときは名詞形が向きます。
a rift
(亀裂、溝)
地面の裂け目に由来し、決裂の瞬間ではなく広がっていく隔たりを指します。組織や国家間といった大きな規模にも使える点が、個人間の具体的な決裂に寄る a falling-out との違いになります。
a feud
(確執、反目)
長期にわたって続く敵対関係を表し、世代をまたぐこともあります。a falling-out が関係の切れた一点を指すのに対し、こちらは続いている状態そのものを指します。
Note|句動詞が名詞になるとき
fall out から生まれた名詞には、実は二つの形があります。falling-out と fallout です。同じ句動詞が出発点なのに、意味はまったく重なりません。
falling-out は人間関係の口論や不和を指します。一方の fallout は、放射性降下物や、ある出来事が引き起こす好ましくない余波を指す別の語です。綴りと意味を一緒に覚えると混同を避けられます。
句動詞由来の名詞には breakup、setback、takeover、holdup のように一語で書くものもあれば、falling-out のようにハイフンを保つものもあります。ただし、表記だけから「古い語ほど一語、新しい語ほどハイフン」という一般則を立てることはできません。実際、falling-out には16世紀からの用例がある一方、fallout の現代的な名詞用法は20世紀に成立しています。
劇中の some sort of a falling-out は、「何らかの仲たがい」と断定を少し和らげる言い方です。ハイフンそのものに関係の深刻さが記されているわけではありません。
綴りの違いは、falling-out と fallout を見分ける実用的な手がかりになります。
まとめ|摩擦を摩擦と呼ばなかった男
「a falling-out」は、人間関係の中で起きた口論や不和を指す名詞です。深い亀裂や疎遠につながる場合もありますが、関係断絶までは必須ではありません。
相手は with、原因は over。この二つを添えれば、誰と、何をきっかけに、というところまで一文に収まります。人間関係の経緯を説明する場面で、過不足なく事情を伝えられる言い方です。
摩擦を摩擦と呼ばずにかわしてみせた男と、それを穏やかに問い詰めた捜査官。あのやり取りごと、表現の引き出しに加えてみてください。


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