海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
子どものころ、きょうだいや友達から「先生に言うからね」と脅された場面があります。大人になってからも、相手と場所が変わるだけで、同じことは形を変えて起こります。
その行為をそのまま言い表す「tell on someone」を、『メンタリスト』シーズン3第20話の終盤、様子のおかしかったジェーンがついにリズボンへ事情を打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「tell on someone」の意味とニュアンス
tell on someone
意味:告げ口する、言いつける
誰かの悪事や失敗を、その人より上の立場にいる相手へ伝えることを表します。親、先生、上司、警察。伝える先に権限がある点が、この表現の骨格です。
基本形は tell on B で、B が告げ口の対象です。伝える相手も示す tell A on B という語順もあり、I’ll tell my mother on you. のように使えます。on を「矢印が人に当たる」と説明するのは記憶法にはなりますが、文法・語源上の事実としては扱えません。
現代では子どもの文脈でよく使われますが、少なくとも1539年の英訳聖書に用例があり、子どもの世界から生まれた語とは言えません。大人が使ったときに幼さ・軽さ・自嘲が生じるかどうかも文脈次第です。
for を続けると、何を告げ口されたのかまで示せます。
【ここがポイント!】
- 誰かの悪事を、親・先生・上司・警察など権限のある相手へ伝える
- 伝える先に権限がある、という点が告げ口の条件になる
- 子どもの文脈で多いが、大人が使うと必ず幼く響くわけではない
『メンタリスト』S03E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
事件は片づいたのに、ジェーンだけが浮かない顔で、まだ自分で解決していない問題があると言い残します。この数日ずっと様子のおかしかった相棒に、リズボンがついに正面から切り込みます。ここで明かされるのは、ジェーンが人知れず仕掛けていた一件です。以降の展開は物語の核心に触れるため、ここでは触れません。
Lisbon: I knew something was going on with you. What is it? The absolute truth, or I beat it outta you.
(何かあるとは思ってた。何なの。洗いざらい話して。じゃなきゃ力ずくで吐かせるわよ)Jane: LaRoche has something I need, so I hired Culpepper to break into LaRoche’s house. If I can’t get the charges dropped, Culpepper is gonna tell on me.
(ラロッシュが私の必要なものを持っている。だからカルペッパーを雇って、彼の家に押し入らせた。起訴を取り下げさせられなければ、カルペッパーが私のことをばらす)Lisbon: Oh… my God.
(まさか…)Jane: Yeah, it’s not good.
(ああ、よくない状況だ)The Mentalist Season3 Episode20(Redacted)
シーン解説と心理考察
リズボンの切り出し方には容赦がありません。洗いざらい話せという言い方で逃げ道を塞ぎ、そのあとに続く脅し文句で退路も断ちます。長く付き合ってきた相手だからこそ通る、直球の詰め方が表れています。
対するジェーンは、驚くほどあっさりと白状します。追い詰められて口を割ったというより、自分の手には負えないと判断して打ち明ける側に回った、という印象です。
注目したいのは語の選び方です。脅迫を受けている状況を、ジェーンは日常的な tell on で説明します。ただし、この語だけから意図的に子どもっぽく見せたと断定することはできません。
リズボンの短い反応が、その目論見を打ち消しています。軽い言い方の裏にある事態の重さを、彼女は一瞬で理解した。二人の温度差が、この直後の展開を予告する場面です。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
記憶法としては、先生に話しながら別の人を指し示す場面を思い浮かべると、話す相手と告げ口の対象を区別できます。これは覚え方であり、on の語源説明ではありません。
いちばん分かりやすいのは教室の場面です。手を挙げて先生のほうを向いたまま、隣の席の子を指さす。話す相手と、話の的になる相手が別にいる。この構図がそのまま tell on です。
劇中では、ジェーンが自分の身に迫った脅迫をこの言葉で表しています。深刻な中身を短い日常語で説明する対比が、記憶の手がかりになります。
例文で覚える「tell on someone」
子どもの世界から大人の場面まで届く言い方です。三つの例文で、その広がりを見ていきましょう。
If you take my snack, I’m telling on you.
(私のおやつを取ったら、言いつけるからね)
きょうだい同士のやりとりです。tell on は子ども同士の場面でよく使われますが、使える場面は子どもに限られません。
My little brother told on me for skipping class.
(弟に、授業をサボったことを言いつけられた)
昔の思い出を話す場面です。for のあとに、何を告げ口されたのかを続けられます。
A: Are you going to report what he did?
B: I’d rather not be the one who tells on a coworker.
(A:彼のしたこと、報告するつもり?)
(B:同僚のことを上に言う役は、できれば引き受けたくないな)
職場の空気について話す場面です。大人の文脈で使うと、その行為への抵抗感がにじみます。
あわせて覚えたい関連表現
snitch on someone
(密告する、チクる)
裏切りの色がはっきり出る言い方です。tell on も告げ口を好ましくないと見る含みを帯びることがあり、常に中立とは限りません。
rat someone out
(仲間を売る)
tell on より強い非難を帯びることが多い言い方です。仲間を裏切ったという含みで使われますが、強さは場面と語調にも左右されます。
report someone
(報告する、通報する)
中立で事務的な言い方です。制度に沿った正当な行為として語れるため、職場や公的な場面ではこちらが選ばれます。
Note|告げ口を表す言葉の語史と使い分け
同じ「上に伝える」行為でも、英語には言い方がいくつも積み重なっています。並べてみると、それぞれが生まれた場所と、背負ってきた評価が見えてきます。
tell on には16世紀の用例があり、現代に子どもの文脈で多いことと語源は別です。非難の強さも、話し手と状況によって変わります。
snitch、squeal、stool pigeon、rat には、それぞれ異なる用例史と非難の強さがあります。narc は単純に narcotics agent から「密告者」へ広がった語ではありません。より古い nark(密告者)との綴り・意味の合流を区別する必要があります。
新しい語ほど非難が強い、という単純な流れではありません。また、関連語が複数あるという事実だけから、社会がこの行為をどう扱ってきたかまでを一つの歴史として断定することもできません。
劇中の tell on は、カルペッパーがジェーンの行為を当局へ明かす構図を端的に表しています。それ以上の心理的な狙いは、語だけから確定できません。
どの語を選ぶかで、告げ口の重さは変わります。
まとめ|指さす手が向いている先
tell on someone は、誰かの悪事や失敗を、権限のある相手へ言いつけることを表す言い方です。子どもの文脈で多いものの、起源を子どもの世界に限定することはできません。
snitch や rat out より非難が弱く、report より日常的に響くことはありますが、tell on 自体も告げ口への否定的な含みを帯びる場合があります。
子どもの会話でも大人の職場でも通じる、守備範囲の広い一言です。


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