「a day job」の意味と使い方|『メンタリスト』S04E21で学ぶ英会話

「a day job」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

昼と夜で、まったく違う顔を持っている人がいます。日中は事務所や店に立ち、夜になると舞台やアトリエで別の自分になる。どちらが本当の自分なのかと聞かれたら、迷わず後者を選ぶ。そういう生き方をしている人が、身の回りにも一人か二人はいるのではないでしょうか。

今回取り上げるのは、そんな二層の生活を一語で言い表す「a day job」です。『メンタリスト』シーズン4第21話の中盤、ジェーンが葬儀場を訪ねてキャバレーの司会者グレンダの昼の顔と対面するシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「a day job」の意味とニュアンス

a day job
意味:生活のための本業、食べていくための仕事

直訳すれば「昼の仕事」ですが、単に日中の勤務時間を指す言葉ではありません。この語が使われるとき、話し手には「本当にやりたいこと」が別にあります。音楽、演劇、執筆、絵。それだけでは収入が足りないから、生活を支えるために別の仕事を持っている。その構図が前提として共有されています。

そのため、会社員が自分の仕事を指して day job と言うことは、まずありません。逆に、バンド活動をしている人や小説を書いている人が使えば、説明を足さなくても「本命は別にある」と伝わります。一語で二層の生活を示せるのが、この表現の効率のよさです。

否定的な語かというと、そうとも限りません。keep one’s day job は本命を続けるために本業を手放さない賢明さを表しますし、quit one’s day job は専念する決断を指します。話し手が自分の状況をどう見ているかによって、色は変わります。

【ここがポイント!】

  • 「昼の仕事」ではなく「本命が別にある人の、生活のための仕事」
  • 一語で二層の生活を示せるので、説明を足さずに背景が伝わる一言
  • keep か quit かで、その人が今どの段階にいるかが読み取れるのがコツ

『メンタリスト』S04E21のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

前夜の証言に嘘があると見抜いたジェーンが、キャバレーの司会者グレンダを訪ねます。案内された先は葬儀場の処置室で、そこでグレンダは遺体に化粧を施す仕事に就いていました。舞台の上で見せていた姿とは別の顔を、ジェーンが正面から受け止めるやり取りです。

Glennda: Peeking behind the curtain. Careful you don’t lose your illusions.
(舞台裏をのぞきに来たのね。幻想を失わないよう気をつけて)

Jane: Well, it’s a little late for that, let me tell you.
(それはもう手遅れだよ)

Glennda: They prefer I go by “Glenn” here and act like Glenn.
(ここでは「グレン」と名乗って、グレンらしく振る舞うことを求められるの)

Jane: A funeral cosmetologist. Well, that makes sense.
(葬儀の死化粧師か。なるほど、筋が通っている)

Glennda: Even a diva needs a day job. I’ve always loved makeup, but wearing it wasn’t an option for a boy in Sacramento, so I chose a career in death care.
(ディーヴァにだって本業は要るのよ。化粧はずっと好きだった。でもサクラメントの男の子が化粧をするなんて選択肢はなかった。だから死者を扱う仕事を選んだの)

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シーン解説と心理考察

グレンダの一言は軽口の形をとりながら、はっきりとした順序を示しています。ディーヴァであることが先にあり、昼の仕事はそれを支える側に置かれている。どちらが本体なのかを、たった一文で言い切っています。

続く説明が、この day job を単なる妥協から引き離しています。化粧が好きだった、けれど当時のサクラメントで男の子が化粧をする道はなかった、だから死者に化粧を施す仕事を選んだ。好きなことへ向かう道が正面から塞がれていたので、脇道を通って同じ場所にたどり着いたという話になっています。昼と夜が化粧という一点でつながっていることが、この短い説明ににじみます。

ジェーンの「筋が通っている」という反応も見どころです。驚きも同情も見せず、事実の並びとして受け止めている。相手の生き方を評価しない姿勢が、会話の温度をやわらかく見せています。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

一日を横に二つに割って、左に昼、右に夜を置いた図を思い浮かべてみましょう。夜の側には本当にやりたいことをしている自分がいて、昼の側には家賃を払うための自分がいる。この二層があって初めて、a day job という言い方が成立します。

図の重心は夜側にあります。だからこそ「昼の仕事」と訳すだけでは足りず、「本命は別にある」という含みまで含めて覚える必要があります。

グレンダの場合、この二層は化粧という一本の線でつながっていました。昼は遺体に、夜は自分に。同じ道具を使う二つの顔が一日の中に並んでいる絵を思い出せば、この語が必ずしも我慢を意味しないことも一緒に記憶に残ります。

例文で覚える「a day job」

本業を続けるとき、手放すとき、そして冗談として使うとき。三つの場面で見ていきます。

She writes novels at night, but she still has a day job at a law firm.
(彼女は夜に小説を書いているが、昼は今も法律事務所で働いている)
知人の二足のわらじを説明する場面です。but still と組み合わせると、本命がまだ収入になっていない段階だと自然に伝わります。

I’d love to do this full-time, but the day job pays the bills.
(これに専念したいけれど、生活費は本業で稼いでいる)
副業や独立について相談する場面です。pay the bills との相性がよく、現実的な事情を淡々と示す言い方になります。

A: So? How was my singing?
B: You should probably keep your day job.
(A:どう? 私の歌)
(B:本業は続けておいたほうがいいかもね)
友人の歌を茶化す場面です。Don’t quit your day job. という決まり文句を下敷きにした軽口で、直訳のような助言ではなく冗談として受け取られます。

あわせて覚えたい関連表現

side hustle
(副業、サイドビジネス)
day job の裏返しにあたる語で、本命や追加収入の側を指します。近年になって広く使われるようになった言い方で、day job とセットで語られることも多くあります。

bread and butter
(生計の柱、飯のタネ)
主たる収入源そのものを指す表現です。「別に本命がある」という含みを持たない点が、今回のフレーズとの分かれ目になります。

moonlight
(副業をする)
名詞ではなく行為を表す動詞です。本業のかたわら別の仕事をすることに焦点があり、どちらが本命かという順序は語自体には含まれません。

Note|Don’t quit your day job. という一言

英語圏には、誰かが歌や芸を披露したあとに返す決まった冗談があります。「本業は辞めないほうがいいね」という一言です。字面だけ追えば親身な助言に見えますが、実際には「その芸では食べていけない」という軽いからかいとして機能しています。

この冗談が成立するには、前提の共有が要ります。芸能や表現の世界で身を立てるのが難しいこと、多くの人が本業を持ちながら夢を追っていること。この二つが常識として広く共有されているからこそ、「辞めるな」の一言だけで「まだその域ではない」という判定まで伝わります。逆に言えば、この定型が繰り返し使われてきたせいで、day job という語自体に「夢の裏側」という影がついたとも言えます。同じ語が quit と結びつけば専念する決断を、keep と結びつけば慎重さを表すのは、この影があるからです。近年は side hustle や gig という語が広まり、本業と本命の関係はさらに細かく言い分けられるようになりました。それでも day job が生き残っているのは、二層の生活をひとことで示せる語がほかにないためです。

グレンダの「ディーヴァにだって本業は要る」という言い方には、この定型のからかいがまったくありません。自分の順序を自分で決めている人の一言だからこそ、軽口のまま芯が通っています。

昼の仕事の重さは、夜に何を持っているかで決まるのかもしれません。

まとめ|昼と夜、どちらが本体かを決める一語

「a day job」は、生活を支えるための仕事を指しながら、その人の本命が別にあることまで同時に伝える表現です。「昼の仕事」という訳だけでは届かない部分に、この語の値打ちがあります。

自己紹介で使えば背景の説明を省けますし、keep や quit と組み合わせれば今どの段階にいるかも示せます。二層の生活を持っている人にとっては、状況をひとことで伝えられる便利な一語になります。

夢を追う人の話を聞くときにも、自分の状況を説明するときにも使える表現として、会話のレパートリーに加えてみてください。

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