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『メンタリスト』シーズン1エピソード16では、爆発事故に巻き込まれたジェーンの処遇をめぐり、CBI(カリフォルニア州捜査局)の上司ミネリが皮肉交じりの判断を下す場面が描かれます。今回はその一言「I do all the paperwork」を起点に、組織の中で責任と書類仕事がどう結びついているかを見ていきます。
断罪でも美化でもなく、この場面で交わされる言葉そのものをたどりながら、その空気に触れていきます。
病院より部内保護、そのコストを見積もる判断
部下がジェーンを入院させるべきだと進言しますが、ミネリはそれとは違う判断を口にします。
Sir, he needs to be in the hospital. He has to go if you order him to.
(「隊長、彼は入院すべきです。あなたが命令すれば、彼も従うはずです。」)Minelli: I could, but someone did try to kill him, remember? We can protect him better here… at less expense.
(「そうもできるが、彼を殺そうとした人物がいたことを忘れるな。ここにいたほうがより守ってやれる……その方が安上がりだ。」)The Mentalist Season1 Episode16 (Bloodshot)
部下の he needs to be in the hospital(入院すべきだ)という進言に対し、ミネリは殺害未遂という危険性を理由に、あえて部内保護を選びます。ここで印象的なのが at less expense(その方が安上がりだ)という一言です。安全確保の判断であるはずの場面に、コストの視点がさらりと混ざり込むところに、組織を切り盛りする上司らしい現実的な言い回しが表れています。at less expense は「より少ない出費で」という意味の定型句で、ビジネスシーンでも代替案を比較する際によく使われます。なお、we can protect him better here… の「…」は台本上の間(ま)を示す記号で、省略を表すものではありません。安全と経費という本来並べにくい二つの理由を一文でつなげてしまう話し方に、組織運営のリアルな一面が垣間見えます。
「I do all the paperwork」という念押しに滲むユーモア
部内保護を認めたミネリは、条件を付け加えるようにこう続けます。
Minelli: Okay, but this is a favor. If you die in this department, I’m responsible. I do all the paperwork.
(「わかった、ただしこれは特別な計らいだ。もしこの部署内で彼が死んだら、私の責任になる。書類仕事は全部私がやることになるんだからな。」)Minelli: In fact, if he does die for whatever reason, move him to a public area, would you? I’d be very grateful.
(「実際、理由が何であれ彼が死んだ場合は、公共の場所まで運んでおいてくれ。そうしてくれたら大変ありがたい。」)The Mentalist Season1 Episode16 (Bloodshot)
I’m responsible. I do all the paperwork.(私の責任になる。書類仕事は全部私がやることになる)という一言は、万が一の事態が起きたときの重さを、あえて「書類仕事」という具体的な作業に置き換えて語っています。責任の所在を抽象的に語るのではなく、paperwork という目に見える負担で表現するところに、この場面のブラックユーモアが凝縮されています。続く move him to a public area, would you? I’d be very grateful(公共の場所まで運んでおいてくれ、そうしてくれたら大変ありがたい)も、深刻な内容を would you や I’d be very grateful といった丁寧な依頼表現で語る落差が、皮肉な笑いを生んでいます。なお、責任の所在をこうした軽口で語る話し方はフィクションの演出であり、実際の捜査機関で事故対応や責任分担がどう運用されているかは機関や州によって異なるため、本エピソードの描写だけで一般化はできない点には留意しておきたいところです。
まとめ|書類仕事に集約される責任という笑い
at less expense、I’m responsible. I do all the paperwork.。深刻な状況を事務的な言葉で語ることで生まれるユーモアが、ミネリの言葉から見えてきます。責任の重さを書類に置き換える発想は、英語ならではの間合いです。
『メンタリスト』の世界を通して、組織内の言葉の機微にも触れていきます。
同じエピソードの他のコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、場面全体の英語がより立体的に見えてきます。
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