「word on the street」の意味と使い方|『メンタリスト』S01E19で学ぶ英会話

「word on the street」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

証拠でも矛盾でもない、事件の核心とはまるで関係のない一言が、相手の一番痛いところを突いてしまう。追及された側が思わず言い返し、その言い返し方から本音が漏れてしまう。そんな瞬間が、ドラマには時々あります。

そこで使われた「word on the street」は、街の噂では、という意味の前置きです。『メンタリスト』シーズン1第19話の中盤、映画監督のトレーラーで行われた二度目の聴取で、ジェーンが業界内の評判を持ち出す場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「word on the street」の意味とニュアンス

word on the street
意味:街の噂では、聞くところによると

出所を明かさないまま、界隈に流れている話を持ち出すときの前置きです。公式発表でも報道でもなく、現場や業界の中で誰からともなく口にされている情報だ、という含みがあります。

この表現の値打ちは、話し手が情報の正しさに責任を負わない点にあります。誰が言い出したのかを示さないため、外れていても「そういう噂があっただけ」で済んでしまう。だからこそ、面と向かっては言いにくいことを切り出す道具として重宝されます。同時に聞き手の側も、真に受けなくていいという合図をここで受け取ります。

形はほぼ決まっていて、Word on the street is … と続けるのが基本です。is のあとに that を挟まず、文をそのままつなげます。少し改まった響きにしたいときは Word on the street has it that … とも言えます。定冠詞を落として a word にすると別の意味になってしまうため、the word on the street の形ごと覚えてしまうのが安全です。

【ここがポイント!】

  • 核は「通りに落ちている言葉」、誰が言い出したか分からないまま届く情報
  • 出所を示さないぶん、話し手が正しさに責任を負わずに済む前置き
  • Word on the street is … と that を挟まずにつなげるのが基本の形

『メンタリスト』S01E19のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

所持していた処方薬が見つかり、被害者と揉めていた事実も明るみに出たあと、監督ガブリエル・ファニングのトレーラーで二度目の聴取が始まります。事件そのものを問い詰める代わりに、ジェーンが持ち出したのは業界内での彼の評判でした。長編から遠ざかっていた年数を確かめたうえで、出所を明かさない形で一番痛いところに触れていきます。

Jane: This is your first feature in what, seven years? Word on the street is you’re a little difficult to work with.
(長編はこれが7年ぶりくらいかな。噂では、あなたは少々一緒に仕事がしづらい人らしいね)

Gabriel: Oh, really? Is that what the word on the street is? Well, you know what? Screw the word on the street. I took some time out to recharge.
(へえ、そうかい? それが街の噂ってやつか? そんな噂は知ったことか。充電のために少し休んでいただけだ)

Jane: Narcotics and despair?
(麻薬と絶望で?)

The Mentalist Season1 Episode19(A Dozen Red Roses)

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シーン解説と心理考察

ジェーンが選んだのは、証拠でも矛盾でもなく、噂でした。事件の核心から離れた話題のほうが、身構えていない相手の素の反応を引き出せる。そういう組み立てが表れています。

効果は返答の形にそのまま出ました。ファニングは word on the street という言い方を三度なぞって突き返します。反論したいのに、反論すべき相手がいない。名指しできない攻撃に対して、言葉そのものを叩くしかなくなっている場面です。

しかも彼は、その直後に自分から「充電のために休んでいた」と説明を始めます。誰も理由を尋ねていないのに、言い訳のほうが先に出てくる。噂を否定するつもりが、かえって噂の内容を裏づける方向へ転がっていきます。挑発が図星だったことが、この返答の勢いから伝わってきます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

会議室でも新聞でもなく、通り(street)に落ちている言葉。誰が最初に口にしたのか分からないまま、歩道を転がって耳元まで届いてくる。この情景が word on the street の輪郭です。

英語では street が「公式ではない側」を示す働きをよくします。street value(末端価格)、street smart(世渡りの賢さ)、street food(屋台の食べ物)。制度や建物の外側にあるものが street でくくられます。

だから word on the street を使うと、話し手自身も「外側から拾ってきただけ」という位置に立つことになります。拾った石を手のひらに載せて差し出す動作を思い浮かべると、責任を持たない前置きだという性質が忘れにくくなります。

例文で覚える「word on the street」

噂を伝えるだけでなく、噂を尋ねたり、はねのけたりする形でも使えます。文の作りが少しずつ変わるので、三つの場面に並べて見てみましょう。

Word on the street is they’re closing the downtown store.
(街中の店を閉めるらしいって噂だよ)
近所の話題を友人と共有する場面です。is のあとに that を置かず文をそのまま続けるのが自然な形で、口語ではこの並びが圧倒的に多くなります。軽い雑談の入口としてよく登場する形です。

Word on the street has it that the deal fell through.
(取引は流れたという話です)
取引先の動向を同僚に伝える場面です。has it that を挟むと少し改まった響きになり、社内のやりとりでも浮きにくくなります。

A: What’s the word on the street about the new manager?
B: Depends who you ask. Nobody’s neutral.
(A:新しいマネージャーの評判ってどんな感じ?)
(B:聞く相手によるね。中立の人がいない)
同僚に内々の評判を尋ねる場面です。疑問文にすると「噂を教えて」という依頼になり、探りを入れる会話の入口として機能します。返答の側も断定を避けているところに注目すると、噂話ならではの距離感がつかめます。

あわせて覚えたい関連表現

Rumor has it (that) …
(噂によれば)
噂であることを中立に告げる言い方で、場所の含みがありません。現場や業界の内側という手触りが加わる word on the street とは、情報源の生々しさが違います。書き言葉でも使いやすく、守備範囲は word on the street より広くなります。

I heard it through the grapevine.
(人づてに聞いたんだ)
話し手個人の人脈を経由してきたことに焦点があります。界隈全体に流れていると示す word on the street に比べると、届き方がずっと私的です。

They say …
(〜と言われている)
最も漠然とした一般論の伝聞で、一般常識めいた話にも使えます。特定の界隈の内輪話に限られる word on the street とは、カバーする範囲が違います。誰が言ったのかを最後まで明かさない点は、三つとも共通しています。

Note|会議で使える噂、使えない噂

同じ「聞いた話ですが」でも、英語では場面によって選ばれる言葉がはっきり分かれます。word on the street は、その線引きが見えやすい表現です。

雑談やチャットでは、この言い方はごく普通に飛び交います。同僚に人事の噂を振るとき、取引先の動きを探るとき、Word on the street is … と切り出せば、確証がないことを示しながら話題に乗せられます。ところが同じ内容を正式な報告書や人事資料に書こうとすると、この表現はまず採用されません。代わりに置かれるのは、sources indicate(情報筋によれば)、it has been reported(報告されている)、unconfirmed reports suggest(未確認の報告では)といった、責任の所在を形式的に整えた言い方です。

違いは、情報の確からしさではありません。どちらも確証がないままです。違っているのは、話し手が自分の立ち位置をどう示すかのほうです。word on the street は「自分は外側で拾っただけ」と宣言する言い方なので、記録に残す文書には合いません。sources indicate は「確認の手続きは踏んだが断定はしない」という姿勢を示すため、公式な場に置けます。

劇中でこの言葉が出たのが、取調室ではなくトレーラーの中だったことにも意味があります。正式な追及ではなく、雑談の顔をした揺さぶりだったからこそ、この前置きが選ばれました。

どの言葉を選ぶかで、その場が公式かどうかまで決まってしまいます。

まとめ|名指しできない情報の伝え方

word on the street は、情報そのものより「それをどこから持ってきたか」を示す表現です。通りに落ちていた言葉を拾って差し出すだけ。だから話し手は責任を負わず、聞き手も鵜呑みにしないという了解が、前置きの段階で共有されます。

会話に入れておくと、確証のない話を安全に持ち出せるようになります。相手の評判を尋ねるときも、まだ公になっていない動きに触れるときも、この一言があるだけで角が立ちにくくなります。

そして劇中のファニングのように、噂そのものを叩き返す使い方もできます。拾った石なのか、投げつけられた石なのか。同じ言葉でも、立場が変われば重さも変わるのかもしれません。

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