海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『ビッグバン★セオリー』シーズン5第2話「The Infestation Hypothesis」では、ペニーが拾ってきた椅子をめぐって、シェルドンが衛生上の危険を大げさに訴え続けます。同じ頃レナードは、遠距離恋愛中のプリヤとのビデオ通話をなんとか成立させようと四苦八苦しており、身近な物への過剰反応と、遠くの相手との距離を縮めようとする努力が並行して描かれる回です。
あらすじ(ネタバレなし)
ペニーが道端で拾ってきた椅子を気に入りますが、シェルドンは害虫がいるはずだと衛生上の危険を訴え、何度もドアをノックしては撤去を求めます。板挟みになったエイミーはシェルドンに頼まれてペニーを説得しに行き、友情に亀裂が入りかけます。一方レナードは、インドに帰国したプリヤとのビデオ通話を盛り上げようと奮闘しますが、ハワードにけしかけられて空回りしてしまいます。
家具への疑いと遠距離恋愛への焦りという、性質の違う二つの「距離の詰め方」が同時進行するのがこの回の面白さです。前半でそれぞれの問題が提示され、中盤で当事者たちの立場のずれが表面化し、後半では誰が誰に謝るか、何を諦めるかが焦点になっていきますので、結末は伏せたまま、頼み方や断り方の言葉づかいの違いに注目して見るのがおすすめです。
このエピソードで学べる英語フレーズ
1. blow it out of proportion
〜を大げさに騒ぎ立てる
Leonard: You fixate on some crazy idea and then blow it way out of proportion.
(君はいつもおかしな思いつきにこだわって、それを大げさに騒ぎ立てるんだ。)
blow it out of proportion は、レナードがシェルドンの過剰反応を諭す場面で使われています。ここでは way が間に挟まり blow it way out of proportion となっており、「大げさ」の度合いをさらに強調する言い方になっています。
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2. give someone a run for one’s money
人といい勝負をする
Sheldon: I bet you could give him a run for his money.
(あの人といい勝負ができると思うよ。)
give someone a run for one’s money は、シェルドンがレナードに、失恋の穴を埋める趣味として毛糸玉集めの達人を引き合いに出す場面で使われています。真剣にアドバイスしているつもりの発言が、かえって的外れに響くところがこの場面の面白さです。
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3. set someone back
人に〜の出費をさせる
Howard: This little baby set the university back 175 grand.
(このかわいこちゃんのおかげで、大学は17万5000ドルの出費をしたんだ。)
set someone back は、ハワードが工房の高価な機材を自慢げに紹介する場面で使われています。装置を this little baby と親しみを込めて呼びながら、その裏で発生した高額な費用をさらりと明かす言い方が特徴です。
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4. put someone up to something
人をそそのかして〜させる
Penny: He put you up to this.
(あいつがあなたをそそのかしてこれをやらせたのね。)
put someone up to something は、ペニーがエイミーの心配そうな質問の裏にシェルドンの入れ知恵を見抜く場面で使われています。友人の言動の後ろに誰の意図があるのかを、短く言い当てる一言です。
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5. make a point of
必ず〜するようにする
Sheldon: Leonard, you know I make a point of never interfering in your personal affairs.
(レナード、僕が君のプライベートには絶対に口を出さないようにしていることは知っているだろう。)
make a point of は、シェルドンがこれから口を出す前置きとして使う場面で使われています。「普段は干渉しない」と宣言しつつ、その直後に思いきり干渉していく皮肉な展開につながる一言です。
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6. get over
〜を割り切る、乗り越える
Penny: I still can’t get over the fact someone just threw it away.
(誰かがこれを捨てたっていう事実が、いまだに信じられないの。)
get over は、ペニーが拾った椅子の状態の良さに驚き、前の持ち主の判断が理解できない様子を語る場面で使われています。喜びと不思議さが入り混じった口調に、この後の騒動の伏線が仕込まれています。
7. get rid of
〜を処分する
Sheldon: You have to get rid of the chair.
(その椅子を処分しないと。)
get rid of は、シェルドンがペニーの部屋のドアを何度もノックし、椅子の撤去を要求する場面で使われています。同じ主張を形を変えて繰り返す一連のやり取りの中でも、最も直接的な言い方です。
8. take it easy
落ち着く、気楽にする
Penny: Sheldon, take it easy.
(シェルドン、落ち着いて。)
take it easy は、椅子に衝撃を受けて服を脱ぎ始めるほど取り乱したシェルドンを、ペニーがなだめようとする場面で使われています。直後にシェルドンが同じ言葉をそのまま言い返す掛け合いにもなっています。
9. figure out
〜を解決する、理解する
Leonard: Oh, hey, babe, I think I figured this thing out.
(ねえ、これ、解決方法が分かった気がする。)
figure out は、レナードがプリヤとのビデオ通話をうまく進める方法を見つけたと思い込む場面で使われています。this thing のように目的語を挟んで figured … out と使う、日常会話でよく見られる語順です。
10. work on
〜に取り組む、改善する
Sheldon: You really need to work on your listening skills.
(君は本当に人の話を聞く力を鍛えないとね。)
work on は、シェルドンが自分の過剰反応を指摘されたにもかかわらず、逆にレナードの聞く力を批判し返す場面で使われています。反省するどころか話をすり替えてしまう、この人物らしい切り返しです。
このエピソードの英語学習ポイント
この回は、椅子という日常的な物への疑いを、シェルドンが感染症や公衆衛生の語彙で説明しようとするギャップが軸になっています。get rid of や take it easy のような素朴な口語表現と、Centers for Disease Control street team のような大げさな肩書きが同じ場面に同居することで、深刻さのレベルの違いがコメディとして際立ちます。
一方でレナードとプリヤの遠距離恋愛パートでは、figure out のように「うまくやる方法を見つけた」と思い込む言い方が出てきますが、実際には空回りしてしまう展開が続きます。うまくいっていない状況を素直に認めず、前向きな言葉で取り繕おうとする言い回しは、この回に限らずレナードによく見られる傾向です。ハワードが提案する装置についても set someone back のような出費の話から、Really French it. のような踏み込んだ指示まで一気に語彙のレベルが変わり、真面目な説明と下世話な冗談が同じ口調で語られる落差も、この回らしいポイントです。
台本を音声とあわせて聞くときは、まず字幕でその場面が本気の抗議なのか冗談なのかを確認し、次に英文だけを見て主語と動詞のまとまりを拾い、最後にもう一度音声に戻ると、真剣さと大げささの落差が聞き取りやすくなります。get over や work on のような基本的な句動詞ほど、場面によって温度が変わるので、字幕の日本語だけに頼らず声のトーンも一緒に確認すると理解が深まります。
エイミーとハワードのやり取りにも学べる表現があります。エイミーは Best friends, besties, BFFs, peas in a pod と友情を表す言い方を畳みかけて説明し、ハワードは装置の使い方を Really get your tongue in there のように具体的な動作の指示として伝えています。同じ「相手に何かを分かってもらう」場面でも、比喩を重ねる言い方と、動作を細かく指示する言い方の両方があることが分かります。
キャラクター別|英語の特徴
シェルドン|衛生と危険を大げさに説明する
ペニーの拾ってきた椅子に虫がいると思い込み、専門語彙を使って危険性を主張し続ける場面が中心です。
「get rid of」「take it easy」のように短い口語表現も使う一方で、Centres for Disease Control street team や condemned premises といった行政・医療の硬い語彙を持ち出し、私物の処分という日常的な要求を大げさな権威の言葉で包んでいます。
エイミーに椅子の危険性を伝えるよう頼む場面でも、水系感染症のコレラを引き合いに出すなど、身近な問題を専門知識で説明しようとする一貫した態度が見られます。頭に虫がいると思い込んだ場面では they’re cavorting at the base of my hair follicles と、実際にはいない虫の様子まで詩的に描写しており、想像と事実の区別がつかなくなるほど思い込みが加速していく過程も見どころです。
ペニー|不満を短く返し、境界線を示す
拾ってきた椅子への愛着と、それを次々否定してくるシェルドンへのいらだちを、くだけた言い方で表す場面が中心です。
「get over」のように、驚きや疑問をそのまま口語で表す一方、take it easy と相手をなだめる言葉もかければ、後半では友人の裏切りに対して you should just go と踏み込んだ言い方もしており、状況に応じて言葉の強さを調整しているのが分かります。
エイミーがシェルドンの入れ知恵で来たと気づいた場面での短いやり取りにも、遠回しに探るのではなく直接問い詰める率直さが表れています。椅子の中に何かが潜んでいたと気づいた場面での Get up, get up! という繰り返しの命令形にも、状況を分析するより先に体が動くペニーらしい反応の速さが表れています。
レナード|遠距離恋愛の不安を隠しきれない
プリヤとのビデオ通話をなんとか成功させようと、ハワードに乗せられながら奮闘する場面が中心です。
「figure out」のように前向きな言葉で状況を捉えようとしますが、実際には通信トラブルやぎこちない台詞回しに終始しており、言葉の自信と現実の空回りとの落差がこの人物の面白さになっています。
シェルドンからの過剰反応に対して You do this all the time. と冷静に指摘する場面もあり、遠距離恋愛の不安を抱えながらも、他人の大げささには意外と厳しい一面も見えてきます。通話が途切れた瞬間には It’s probably just buffering, just give it a second. と、深刻な空気を技術的な言い訳で取り繕おうとする言い方も見られ、感情の話題になるとつい別の説明にすり替えてしまう癖がここでも顔を出しています。
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