海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
大切な人からもらった手紙や、昔の楽しかった思い出。
あるいは、自分の中にある絶対に譲れない価値観など、誰にでも「これだけは手放したくない」と思うものがありますよね。
英語には、そんな物理的な「モノ」だけでなく、心の奥底にある感情や信念までを「しっかりと握りしめて離さない」という強い意志を表す、とても温かくて力強いフレーズがあります。
単に「持っている」という状態を超えて、そこに込められた深い思いや執着までも表現できるこの熟語。
感動的なシーンでも頻繁に登場する表現を、今回はじっくりと紐解いていきましょう!
実際にそのシーンを見てみよう!
過去の恥ずかしい体験を語り終えたブースが、ブレナンを励ますためにこっそり用意していた「秀才スマーフ」の小さな人形を見せるシーンです。
Booth: Well, Smurfette was a stupid, shallow Smurf who only had her looks. Look, you’re better than Smurfette. You have your looks and a whole lot more.
(スマーフェット(女の子のスマーフ)は外見だけの愚かで浅はかなスマーフだった。いいか、君はスマーフェットより素晴らしい。君には美貌があるし、それ以上のものもたくさん持っている。)Brennan: You did bring that for me to charm me in case I didn’t find your humiliation story impressive, but I did, so …
(私の気を引くためにそれを持ってきてくれたのね。あなたの恥ずかしい話に私が感心しなかった時のために。でも感心したわ、だから…)Booth: Aha! So I did impress you.
(あはっ!やっぱり感心させたんだな。)Brennan: That’s what impressive means, dummy. You’re such a Philistine.
(それが感心するって意味でしょ、バカね。本当に教養がないんだから。)Booth: (he laughs) I’ll tell you what. You can hold on to this, and it will remind you how far I’ve come.
(ははは。こうしよう。君がこれを持っていればいい、そうすれば俺がどれだけ成長したか思い出せるだろ。)Brennan: (taking the Smurf from Booth) I forgive you…
(ブースからスマーフを受け取って)許してあげるわ…
BONES Season3 Episode7 (The Boy in the Time Capsule)
シーン解説と心理考察
「君には外見だけでなく素晴らしい知性がある」と、不器用ながらも最大級の賛辞を贈るブース。
ブレナンは「機嫌取りでしょ」と見抜きつつも、素直に感心したことを伝えます。
照れ隠しで笑うブースが「これを持っていればいい」と人形を託す時の hold on to には、単なる物理的な保管を超えた本音が込められています。
「俺たちのこの関係性や、今の温かい気持ちを大切に持っていてほしい」という、優しいメッセージのように聞こえますね。
それを受け取るブレナンの表情も相まって、二人の絆の深さが際立つ名シーンです。
フレーズの意味とニュアンス
hold on to
意味:〜を大切に持っておく、〜を手放さない、〜にしがみつく
基本動詞の「hold(持つ)」に、継続や接触を表す前置詞「on」と、方向を表す「to」が組み合わさった表現です。
「持っている(have)」や「保管する(keep)」よりもはるかに強い意志が込められており、「対象物をギュッと握りしめて、自分のそばから離さないようにする」という力強いニュアンスを持っています。
物理的なモノを大切に保管する時はもちろん、夢や希望、過去の思い出、あるいは怒りなどの「感情」を手放さない(引きずる)時にもよく使われます。
【ここがポイント!】
このフレーズの核心は「手放してしまうことへの恐れや抵抗感」にあります。
対象がポジティブなものであれば「大切にする・守り抜く」という美しい意味になりますが、ネガティブな感情(過去の恨みや終わった関係など)に対して使われると、「いつまでも執着している」「しがみついている」という少し重たい意味合いに変化するのが特徴です。
実際に使ってみよう!
I still hold on to the letters my grandmother wrote to me when I was a child.
(子どもの頃に祖母が書いてくれた手紙を、今でも大切に持っています。)
単に引き出しにしまっている(keep)のではなく、そこに込められた愛情や思い出ごと「手放さずに大切にしている」という深い温かみが伝わる表現です。
It’s hard, but you need to hold on to your core values.
(大変だろうけど、自分の核となる価値観は絶対に手放しちゃダメだよ。)
仕事などで妥協を迫られた友人に対し、「自分の信念をしっかり握りしめていて」と励ますポジティブで力強い使い方です。
Sometimes it’s better to let go than to hold on to a broken relationship.
(壊れた関係にしがみつくより、いっそ手放した方がいい時もあるわ。)
恋愛や人間関係で、終わったものに対する「執着」を表すパターンです。見えない絆を無理やり握りしめているような心理状態を見事に表現しています。
『BONES』流・覚え方のコツ
ブースから渡された小さなスマーフの人形を、ブレナンが大切そうに両手でギュッと包み込む姿をイメージしてみてください。
普段は論理的で冷たく見えがちなブレナンが、ブースの不器用な優しさ(思い)ごと受け取り、それを「手放さない」ようにしている。
そんな心温まる情景と「hold on to」をリンクさせると、単なるkeep(保管する)にはない、感情のこもった深いニュアンスが自然と記憶に定着するはずですよ。
似た表現・関連表現
keep
(持っておく、保管する、そのままにしておく)
最も一般的でフラットな表現です。hold on to のような「ギュッと握りしめる」「しがみつく」という強い感情や物理的な力は含まれず、単に手元に置いておく状態を指します。
cling to
(〜にしがみつく、〜に執着する)
hold on to よりもさらに必死で、ネガティブな「執着」や「依存」のニュアンスが強くなります。沈みそうな船の板に必死にしがみつくような、切羽詰まった状況や心理を表します。
let go of
(〜を手放す、〜を諦める)
hold on to の完全な対義語です。握りしめていた手をパッと開いて、モノや感情を「自由にしてあげる」「解放する」というイメージです。セットで覚えると表現の幅がグッと広がります。
深掘り知識:「on」と「to」が連続する理由
熟語を覚える時、「なぜ on と to が両方必要なの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実はこれ、それぞれの前置詞が持つコアイメージが重なり合って、独特の強い意味を生み出しているのです。
on は「表面にピッタリとくっついて離れない(接触と継続)」を表し、to は「ある対象に向かって一直線に進んで到達する(方向)」を表します。
つまり、hold(持つ)+ on(くっついて離れない)+ to(対象物へ向けて)という3つの力が合わさることで、「特定の対象(to)に対して、ピッタリと張り付いて(on)、しっかり掴む(hold)」という、非常に解像度の高い「執着」の力学が完成するのです。
前置詞の持つイメージを知ると、丸暗記しなくても熟語のニュアンスがスッと腑に落ちるようになりますね。
まとめ|目に見えない大切なものを守る言葉
いかがでしたか?
今回は、物理的なモノから心の奥の感情まで、大切なものを守り抜く「hold on to」をご紹介しました。
誰かに託された思いや、自分だけの譲れない信念。
私たちが生きていく中で「手放したくない」と感じる瞬間はたくさんありますよね。
次に海外ドラマで登場人物がこの言葉を口にしたら、彼らが「一体何を守り抜こうとしているのか」という深い心理にまで、ぜひ思いを巡らせてみてくださいね。


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