海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第19話に登場する、新しい隣人アリシアの女優業をめぐる会話です。CM出演の実績や生活のための仕事、そして一次審査を通過した際に使われる「コールバック」という言葉から、オーディション文化の一端をのぞきます。華やかに見える世界の裏側にある、地道な日常にも目を向けてみましょう。
「trying to be, but it’s so hard.」という一言から見ていきます。
「trying to be, but it’s so hard.」女優業の実績を語る言い方と、生活のための仕事という考え方
アリシアがレナードから「女優だ」と紹介され、同じ女優志望のペニーと言葉を交わす場面です。アリシアは自分の状況を率直に語ります。
Alicia: Well, trying to be, but it’s so hard.
(まあ、目指してはいるけど、すごく大変。)Penny: Yeah, I know, tell me about it.
(でしょうね、よく分かるわ。)Alicia: I’ve been out here three months, and all I’ve gotten is a couple of national commercials and this recurring thing on a soap.
(こっちに来て3か月、手に入れたのは全国放送のCM数本と、昼のドラマのちょい役の常連出演くらい。)Penny: That’s why I work at the Cheesecake Factory, I’m holding out for the right part.
(だから私はチーズケーキ・ファクトリーで働いてるの。理想の役が来るまで、そこで食いつないでるってわけ。)TBBT Season2 Episode19 (The Dead Hooker Juxtaposition)
trying to be, but it’s so hard. は、目指している最中であることを控えめに表す言い方です。「女優なの?」と聞かれて言い切るのではなく、trying to be(目指してはいる)と一歩引いた表現を選ぶことで、まだ道半ばである事実を素直に伝えています。
a couple of national commercials and this recurring thing on a soap のような実績の語り方も、業界特有の言い回しです。national commercial(全国放送のCM)、recurring(準レギュラー的に繰り返し出演する役)、soap(昼メロ・連続ドラマ)といった語彙は、俳優業界の実績を具体的に伝える際によく使われます。制作規模や時代によって仕事の呼び方や条件は変わるため、断定的な決まり文句というより業界内で慣用的に使われる語彙として捉えておくのが安全です。
一方ペニーが口にする holding out for the right part は、理想の役が来るまで別の仕事で食いつなぐという考え方を表す言い方です。生活のための仕事(いわゆる day job)をしながら本業の機会を待つという発想は、俳優志望者に限らず、目標に向けて準備期間を過ごす人たちに広く見られる考え方の一つと言えます。アリシアとペニーが似た境遇の会話としてこのやりとりを自然に交わしているところにも、こうした働き方が特別な事情ではなく、目指す仕事に就くまでの一般的な過程として受け止められている様子がうかがえます。
一次審査を通過して呼ばれる「コールバック」という業界用語
物語終盤、アリシアが慌てた様子でレナードたちの部屋に駆け込んでくる場面です。
Alicia: Oh, thank God you’re home. I need help.
(ああ、良かった、家にいたのね。助けてほしいの。)Leonard: What’s wrong?
(どうしたの?)Alicia: I just got a callback to audition for CSI
(たった今、CSIのオーディションのコールバックが来たの)TBBT Season2 Episode19 (The Dead Hooker Juxtaposition)
callback は、一次審査を通過した候補者だけが呼ばれる再オーディションを指す業界用語です。最初のオーディション(audition)で見込みありと判断された人にだけ声がかかる、次の選考段階を意味します。呼び出しのタイミングは急なことも多く、この場面のようにアリシアが移動手段を慌てて確保しようとする様子にも、選考が本人の都合とは関係なく進んでいく、業界特有の慌ただしさが表れています。callback の具体的な運用(呼び出し方法や準備期間など)は制作会社や時代によって差があるため、ここでは「一次審査を通過した候補者への再面接」という基本的な位置づけとして押さえておくのが無難です。
急な呼び出しに応じて予定を組み替える必要がある点は、日中の勤務先(ここではチーズケーキ・ファクトリー)とオーディションのスケジュールを両立させる難しさにもつながります。生活のための仕事を持ちながら、いつ来るか分からないコールバックにも対応できるようにしておく、という綱渡りのような日常が、アリシアの短い一言の背景にあります。
まとめ|”コールバック”という言葉の向こうにある俳優業の日常
trying to be, but it’s so hard.、national commercials and this recurring thing on a soap、holding out for the right part、callback。俳優志望者が実績や日々の暮らしを語るときに使う言葉には、オーディション文化ならではの語彙が詰まっています。華やかに見える世界の裏側にある地道な積み重ねが、アリシアの短いセリフからも垣間見えます。
『ビッグバン★セオリー』に登場するこうした業界用語は、他のエピソードの会話を読み解く手がかりにもなります。
この回で登場した表現は、他のコラム記事やフレーズ記事でも角度を変えて取り上げています。


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