海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第19話に登場する、ペニーの口からこぼれる、隠しきれない苛立ちの英語表現です。新しい隣人アリシアに男性陣が入れ込んでいく様子を見て、ペニーは「別に気にしてない」と言いながらも、その言葉の端々に本音がにじみ出ます。素直に言い切れない気持ちが、どんな言い回しに変わって出てくるのかを見ていきましょう。
「typical」の一言から見ていきます。
「typical」の一言と、”気にしてない”と言いながら口が滑る本音
上の階でアリシアの引っ越し作業を手伝う男性陣について、シェルドンから話を聞いたペニーの反応です。
Penny: Oh, they’re all up there, huh? Hmm, typical.
(へえ、みんな上にいるんだ。ふーん、いつものことね。)TBBT Season2 Episode19 (The Dead Hooker Juxtaposition)
typical は、「いつものこと」「よくある話」と、皮肉を込めて一言で片づける言い方です。本来は驚きや感心を表す場面でも使える語ですが、ここでは呆れの一言として機能しています。シェルドンが「アリシアとはこれまで接点がなかったのだから typical ではなく明らかに atypical だ」と理屈っぽく訂正する場面が続くのも、ペニーの投げやりな一言との対比になっています。深く突っ込んで説明するでもなく、Hmm という間投詞と一語の typical だけで済ませているところに、本人も認めたくない苛立ちが透けて見えます。
しばらくして、ペニーはノックもせずに部屋に入り、ソファに倒れ込みます。
Penny: I don’t even know why I care. I don’t care. All right, I cared enough to memorize that stupid joke, but that’s all I care.
(なんで気にしてるのか自分でも分からない。気にしてないから。まあ、あのくだらないジョークを覚えるくらいには気にしたけど、それだけよ。)TBBT Season2 Episode19 (The Dead Hooker Juxtaposition)
I don’t even know why I care. I don’t care. と繰り返し否定した直後に、I cared enough to… と前言を撤回してしまう言い方です。「気にしていない」と言い張るそばから、具体的に気にしていた証拠(ジョークを覚えていたこと)を自分から挙げてしまう、この身も蓋もない流れが英語でも日本語でも同じように成立するのが面白いところです。all right(まあ、それはそうと)を挟んで話の向きを変える呼吸も、言い訳がましさをそのまま伝えています。I don’t even know why…という出だし自体、本人が自分の感情に理由をつけられずに戸惑っている様子を表しており、苛立ちの発端がはっきりしないまま言葉だけが先に出てしまう心理がそのまま構文に表れていると言えます。
「It creams my corn.」に見る、抑えきれない苛立ちの核心
ペニーが中華を買って待っているのに、男性陣はアリシアをオーディション会場へ送るために出て行ってしまう場面です。ペニーは残された料理を前に、苛立ちを一気に吐き出します。
Penny: I’m telling you, that girl is a user, iceskating through the life on her looks, taking advantage of innocent weak-willed men, getting auditions for stupid network shows. It creams my corn.
(言っとくけど、あの子は人を利用するタイプよ。見た目だけで人生をスイスイ渡り歩いて、無防備な男たちにつけこんで、くだらないテレビ番組のオーディションまで手に入れて。もう腹が立ってしょうがない。)TBBT Season2 Episode19 (The Dead Hooker Juxtaposition)
It creams my corn. は、ひどく癪に障ることを表す口語的な言い回しです。cream を動詞として「打ちのめす」「やっつける」の意味で使う古い口語表現に由来していますが、日常の広い場面で通用する定型句というより、話し手の個性が出る色の濃い言い方に近い部類です。使い所を選ぶ表現ですが、「気に入らなくて仕方ない」という感情の強さを一語で伝えられる点は覚えておく価値があります。
iceskating through the life on her looks も、努力せず見た目の良さだけで物事をスイスイこなしていく様子を、スケートで滑るイメージにたとえた言い方です。決まり文句というよりペニーがその場で作った描写的な表現ですが、感情の強さを比喩に乗せる作り方として参考になります。taking advantage of…(〜につけこむ)という直接的な非難の語彙と、iceskating のような軽やかな比喩を並べているところに、ペニーの苛立ちの温度が表れています。a user(人を利用するタイプ)という短い決めつけから始まり、具体的な非難、そして creams my corn という感情語で締めくくる組み立ては、苛立ちを段階的に積み上げていく話し方の一例としても読み取れます。
まとめ|”気にしてない”の裏に見える本音
typical、I don’t even know why I care. I don’t care.、It creams my corn.。ペニーが繰り出す一言には、素直に言葉にできない苛立ちがそのまま滲み出ています。「気にしていない」と言い切る言葉の後ろに本音が透けて見える瞬間は、英語表現としても感情表現としても学びの多い場面です。
『ビッグバン★セオリー』を観ながら、こうした感情のにじみ出し方にも注目してみると、会話の見え方が変わってきます。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


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