海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第7話に登場する、対決を宣言したり、しぶしぶ従ったりする場面で使われる英語表現です。WiFiを止められたペニーとシェルドンの応酬は、洗濯物をめぐる報復合戦へとエスカレートしていきます。
「knuckle under」から「It is on.」まで、対立が言葉の上でどう積み重なっていくのかを追いかけます。
「knuckle under」―しぶしぶ従うことを表す言い方
チーズケーキ・ファクトリーで、レナードはペニーに「シェルドンに謝ってほしい」と持ちかけます。ペニーが「それじゃシェルドンを甘やかしているだけだ」と指摘すると、レナードはこう言い返します。
Leonard: We’re not encouraging. It’s more like knuckling under.
(煽ってるわけじゃないよ。屈服してるだけだ。)TBBT Season2 Episode7 (The Panty Piñata Polarization)
knuckle under は「屈する」「しぶしぶ従う」を表す口語表現です。レナードは encouraging(奨励する、後押しする) という能動的な言葉を退け、自分たちは積極的にシェルドンを甘やかしているのではなく、仕方なく従わされているだけだと言い直しており、この弱腰な言い換えぶりがレナードらしいところです。
場面はレナードの部屋に移り、シェルドンがWiFiを止めていたことが発覚した直後です。シェルドンは長い録音メッセージで一方的にWiFi遮断を通告しており、堅苦しい言い回しでペニーたちを煽っていました。
Leonard: I reiterate, knuckle under.
(繰り返すけど、屈服するしかないんだ。)Penny: No, no, no, no, no. It is on.
(いやいやいやいや、それは違う。もう戦争よ。)TBBT Season2 Episode7 (The Panty Piñata Polarization)
I reiterate は「繰り返して言うが」と、自分の主張を改めて強調する時の言い方です。対するペニーの It is on. は、対立や勝負が始まったことを短く宣言する決まり文句。屈服を勧めるレナードと、対決を選ぶペニーの立場の違いが、この一言にはっきり表れています。長々とした録音メッセージのあとだけに、たった四語の短さがかえって効果的に響きます。reiterate はビジネスの場でもよく使われるやや堅い動詞ですが、レナードが日常の口論でこの語を選ぶこと自体が、彼の慎重で理屈っぽい性格を映し出しています。
独自にアレンジして煽る―「junior rodeo on」と「It is just beginning.」
シェルドンに洗濯物を没収されたペニーは、廊下でシェルドンと言い合ったあと、そこへやってきたレナードにこう告げます。
Penny: Leonard, remember when I said it was on? Well, now it’s junior rodeo on.
(レナード、前に「もう戦争だ」って言ったの覚えてる? 今はジュニア・ロデオ級の戦争よ。)Leonard: Oh, not junior rodeo. What did you do?
(うわ、ジュニア・ロデオ級? 一体何したんだよ。)TBBT Season2 Episode7 (The Panty Piñata Polarization)
ペニーは先ほどの It is on. をそのまま繰り返すのではなく、自分の育った環境にちなんだ形容を足して junior rodeo on とアレンジしています。同じ骨組みの表現に一言添えるだけで、エスカレートの度合いを強調できる型です。レナードの Oh, not junior rodeo. という驚きの返しも、対戦相手の勢いを実感させる短い相槌として機能しています。remember when I said …? という切り出し方も便利な型で、「前に言ったこと、覚えてる?」と相手に一度合意した事実を思い出させたうえで、話を一段階先へ進める働きをしています。
そのやり取りのあと、場面はペニーの部屋に移ります。
Penny: Oh, no, no, no. It is just beginning.
(いやいやいや、これはまだ始まったばかりよ。)TBBT Season2 Episode7 (The Panty Piñata Polarization)
It is just beginning. も It is on. と同じ It is 〜. の型を使った短い宣言です。相手の「もうやめよう」という申し出をこの一言で切り返しており、It is on. が対立の始まりを告げる一言だとすれば、It is just beginning. はそこからさらに続きがあることを予告する一言と言えます。このすぐあと、レナードは自分だけが知るシェルドンの弱点をこっそり手渡すことになり、ペニーの宣言どおり争いはさらに続いていきます。
まとめ|対立の言葉にも、譲る言葉にも型がある
knuckle under、I reiterate、It is on.、It is just beginning. は、対立を宣言したり、しぶしぶ従ったりする気持ちを短い型で伝える表現です。同じ骨組みに一言足すだけでエスカレートを表現できる仕組みが、この一連のやり取りから見えてきます。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


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