海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第9話に登場する、気まずい話を切り出す前にまず世間話を挟むという会話の技術です。ロビーでペニーに天気やスポーツの話題を振ってから本題に入ろうとする場面と、ディナーの沈黙を埋めるために次々と質問を繰り出す場面には、儀礼的な前置きの型がそれぞれ表れています。
「気まずい話をする前には、当たり障りのない世間話を挟む方が受け止めやすい」というシェルドン自身の理論と、それを実践しようとする不器用なやりとりを見ていきます。
天気やスポーツを話題にする、定番の世間話
ロビーで顔を合わせたシェルドンは、いきなり本題に入らず、まず定番の世間話を持ち出します。唐突な切り出し方に戸惑うペニーの反応まで含めて、一連のやりとりを見てみましょう。
Sheldon: So, do you find the weather satisfying? Are you currently sharing in the triumph of some local sports team?
(それで、天気には満足してる? 今、地元のスポーツチームの勝利を分かち合ってたりする?)Penny: What’s wrong with you? you’re freaking me out.
(どうしたの? ちょっと怖いんだけど。)Sheldon: I’m striking up a casual conversation with you. S’u’up?
(君とカジュアルな会話を始めているんだ。うっす?)Penny: Please don’t do that.
(お願いだからそれはやめて。)TBBT Season2 Episode9 (The White Asparagus Triangulation)
Are you currently sharing in the triumph of some local sports team? は、天気とスポーツという世間話の定番ネタを、あえて回りくどい構文で尋ねる言い方です。I’m striking up a casual conversation with you. に至っては、雑談を始めるという行為そのものを宣言してしまう一言で、若者言葉の S’u’up を後から取ってつけたように添える様子が、儀礼的な前置きを意識しすぎたぎこちなさを伝えてきます。
「気まずい話の前には雑談を」という理論
戸惑うペニーに向けて、シェルドンは自分なりの理屈を説明します。
Sheldon: when you have something awkward to discuss with someone, it’s more palatable to preface it with banal chit chat.
(誰かと気まずい話をする時は、当たり障りのない世間話を前置きにする方が、受け止めやすくなるものなんだ。)Penny: So, this wasn’t the awkward part?
(じゃあ、今のはまだ気まずい部分じゃなかったってこと?)Sheldon: No.
(違うよ。)Penny: Oh, all right. S’u’up?
(ああ、なるほど。うっす?)TBBT Season2 Episode9 (The White Asparagus Triangulation)
it’s more palatable to preface it with banal chit chat. は、本題の前に軽い世間話を挟むことで話を飲み込みやすくするという発想そのものを表す一文です。ペニーが So, this wasn’t the awkward part? と聞き返すのは、ここまでの天気やスポーツの話題がまだ本番の前置きにすぎなかったと気づいた反応と読み取れます。最後にペニー自身が S’u’up? をそのまま真似て返す場面には、儀礼的な世間話がひとつの型として受け渡されていく様子が見どころです。
会話が途切れた時に繰り出す、矢継ぎ早の質問
場所を移したディナーの場面では、レナードの新しい交際相手ステファニーを前に会話がなかなか弾みません。相手を沈黙のまま気まずくさせないための策として、シェルドンが会話を引き取ります。
Sheldon: since Leonard seems to be dropping the conversational ball, I guess I’ll just have to pick it up. Have you ever witnessed a violent crime?
(レナードが会話のボールを落としてしまったようだから、僕が拾うしかないみたいだね。凶悪犯罪を目撃したことは?)Steph: No.
(ないわ。)Sheldon: Good. What’s your favorite fruit?
(よし。好きな果物は?)Steph: Ih-uh, strawberries.
(ええと、いちごかな。)Sheldon: Hmm, technically not a fruit, but all right. Where did you do your medical internship?
(うーん、厳密には果物じゃないけど、まあいいか。研修医時代はどこで?)TBBT Season2 Episode9 (The White Asparagus Triangulation)
I guess I’ll just have to pick it up. は、途切れがちな会話を自分が引き受けるという意思表示です。その後に続くのは犯罪目撃の有無、好きな果物、研修先という脈絡のない質問の連続で、沈黙を埋めるための話題を機械的に差し出している様子が伝わってきます。話題の内容そのものよりも、間を持たせるために次々と質問を用意しておくという構え方が、この場面の見どころです。
まとめ|前置きの型を知っておくと会話の流れが読める
preface it with banal chit chat、pick it up。気まずい本題や沈黙を前にして、当たり障りのない話題や質問を挟むという前置きの型が、この2つの場面には共通して積み重なっています。
会話の入り口にどんな一言を置くかは、これから始まる話の温度感を先読みする手がかりになります。
同じエピソードのフレーズ記事やエピソードまとめでも、このやりとりに関連する表現を扱っています。


コメント