海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
はっきりとした理由は分からないのに、相手の様子がいつもと違うと感じ取ってしまう瞬間が、誰にでもあるのではないでしょうか。
『ホワイトカラー』シーズン3第14話の終盤、盗まれたストラディバリウスの弦を巡るやり取りの中で、サラが相手の変化を見抜いて口にする「something is up」を、一緒に見ていきましょう。
「something is up」の意味とニュアンス
something is up
意味:何かが変だ、何かが起きている
up には「表面化している、進行中である」という意味合いがあり、something is up で「普段と違う何か」「隠れていた出来事」が表面化しつつある状態を表します。はっきりと何が起きているかは分からないものの、違和感や異常を察知したときに使われる口語表現です。
相手の様子がいつもと違うと感じたときや、周囲の雰囲気から異変を察知したときによく使われ、Something’s up with him. のように with を伴って対象を示すこともあります。過去の出来事について語るときは、something was up のように時制を変えて使う点にも注意が必要です。
論理的な確証があるわけではなく、感覚的な違和感を素直に言葉にするというところに、この表現らしいニュアンスがあります。日常会話では What’s up? という挨拶としても馴染み深い up ですが、something is up の場合は「調子はどう?」ではなく「何かが起きている」という警戒の色合いを帯びる点に注意が必要です。
【ここがポイント!】
- 「something is up」の核は、表面化しつつある違和感をそのまま言葉にする表現
- はっきりした理由が分からなくても使える、直感的な察知を表すニュアンスを持つ
- with を添えて対象を示したり、時制をwasに変えたりして柔軟に使えるのがコツ
『ホワイトカラー』S03E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
盗まれたストラディバリウスの弦を巡るやり取りの中で、サラがブライアンに対して探し物を差し出す場面です。単刀直入な問いかけに、ブライアンは驚きと感心を隠さず応じ、サラはその根拠を語り始めます。
Sara: Is this what you’re looking for?
(これがお探しのもの?)Bryan: You really are a clever girl.
(君は本当に賢い子だな。)Sara: Didn’t take a genius to figure out something was up. You were angry after what went down after the concert, and I figured you never got what you wanted.
(何かがおかしいって気づくのに、天才である必要はなかったわ。コンサートの後の出来事であなたは怒っていたし、望んでいたものを手に入れられなかったんだろうって思ったの。)Bryan: I’m assuming you’re here for a reason.
(何か理由があってここに来たんだろう。)White Collar Season3 Episode14 (Pulling Strings)
シーン解説と心理考察
「これがお探しのもの?」という単刀直入な問いかけには、遠回しな駆け引きを飛び越えていきなり核心に切り込むサラの度胸が表れています。ブライアンが「君は本当に賢い子だな」と驚きを隠さず返す様子から、サラの読みの鋭さが相手にも伝わっていることがうかがえます。
「何かがおかしいと気づくのに天才である必要はなかった」という一言には、相手の変化をしっかり観察していた自信と、探偵のような鋭さがにじんでいます。「コンサートの後、あなたは怒っていたし、望んだものを手に入れられなかったんだろうと思った」と根拠を続けて語ることで、単なる勘ではなく具体的な観察に基づいた推理であることが示されています。
ブライアンが「何か理由があってここに来たんだろう」と切り返す様子には、サラの真意を探ろうとする警戒心と、彼女への一定の信頼が入り混じった複雑な関係性が読み取れます。互いに手の内を全て明かさないまま会話を続けているところに、二人の関係が単純な信頼だけでは成り立っていないことも透けて見えます。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
隠れていたものが水面に浮かび上がってくる(up)ようなイメージを持つと、覚えやすい表現です。普段は見えない部分が「何か(something)」少しだけ表面化してきて、違和感として感じ取れる様子を表しています。
劇中では、サラが相手のちょっとした様子の変化から違和感を見抜く、観察眼の鋭さを表現するのにぴったりの一言として使われていました。水面下に隠れていた事情が、ふと浮かび上がってくる瞬間をイメージしながら覚えておくと、はっきりした理由を説明できなくても「何かおかしい」と感じた場面でとっさに使える表現になります。証拠がまだ手元になくても、違和感そのものを言葉にしてよいのだと思えば、この表現を口にするハードルはぐっと下がります。
例文で覚える「something is up」
友人の様子の変化から職場の空気まで、something is up を3つの例文で確認していきましょう。
Something’s up with him — he hasn’t said a word all day.
(彼、何かおかしいわ。一日中一言も話してないの。)
友人や同僚の様子の変化に気づく場面です。with him を添えることで、誰の様子がおかしいのかを明確に示せます。
Management called an emergency meeting — something’s definitely up.
(経営陣が緊急会議を招集した。明らかに何かある。)
職場で不穏な空気を感じる場面です。definitely を添えると、違和感の強さがより伝わります。
A: Why is she being so quiet today?
B: I don’t know, but something’s up. She’s usually so talkative.
(A:今日、彼女はなんであんなに静かなの?)
(B:分からないけど、何かあるみたい。いつもはあんなにおしゃべりなのに。)
同僚の様子を気にかける会話です。usually との対比があることで、普段との違いがより際立ちます。
あわせて覚えたい関連表現
something’s off
(何かが変だ、しっくりこない)
something is up が「何かが起きている・進行中」に焦点があるのに対し、something’s off は「普段と違う、ずれている」という違和感そのものに焦点がある表現です。
something’s fishy
(何か怪しい)
something is up より疑わしさ・不正の匂いを強く含む、ややくだけた表現です。
something doesn’t add up
(辻褄が合わない)
感覚的な違和感を表す something is up に対し、こちらは論理的・数量的な矛盾に気づいたときに使われる表現です。
Note|something is up・off・fishy・doesn’t add upの違和感くらべ
「何かおかしい」を表す英語には、something is up のほかにも似た形の表現がいくつも存在し、違和感の種類によって使い分けられています。
something is up は、まだ何が起きているのか分からないながらも、状況が動き出している、進行中であるという感覚を表します。それに対して something’s off は、具体的な出来事の有無よりも、普段の状態からのずれそのものに焦点を当てた表現で、味や雰囲気など感覚的な違和感を伝える場面でよく使われます。something’s fishy になると、単なるずれではなく、不正や隠し事の匂いを感じさせる、より疑い深いニュアンスが加わります。さらに something doesn’t add up は、感覚的な違和感ではなく、話の辻褄や数字の計算が合わないという論理的な矛盾を指す表現で、他の3つとは性質が異なります。同じ「何かおかしい」でも、感覚的な違和感なのか、疑わしさなのか、論理的な矛盾なのかによって、選ぶべき表現が変わってくるのです。
劇中でサラが使った something was up も、具体的な証拠ではなく、相手の態度の変化から感じ取った進行中の違和感を言葉にしたものでした。4つの表現の違いを知っておくと、感じ取った違和感の種類に応じて、より的確な一言を選べるようになります。
似た響きの表現ほど、細かな違いを知る楽しさがあります。一語だけ入れ替えて違いを比べてみると、英語の語感の豊かさがより身近に感じられるはずです。
まとめ|サラの観察眼が光る駆け引き
something is up は、はっきりした理由は分からなくても、何かが表面化しつつあると感じたときに使う表現です。up が持つ「表面化」のイメージを掴んでおけば、直感的な違和感をそのまま言葉にする感覚が伝わります。
友人の様子が気になるときも、職場の空気が普段と違うと感じたときも、この一言があれば違和感を素直に共有できます。理由をうまく説明できなくても、まずは違和感そのものを口にしてみる。そんな一歩を後押ししてくれる表現でもあります。
コンサート後のブライアンの態度から違和感を読み取り、具体的な根拠とともに言い当てたサラの姿には、駆け引きの中でも冷静に相手を観察し続ける鋭さが表れていると言えます。


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