「pull a fast one on someone」の意味と使い方|『モダンファミリー』S01E04で学ぶ英会話

「pull a fast one on someone」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

頼まれごとを断りきれずに引き受けたら、いつの間にか自分だけが矢面に立たされていた、という場面があります。

そんな状況にぴったりの「pull a fast one on someone」を、『モダンファミリー』シーズン1第4話の後半、父ジェイから厄介な役目を押しつけられるミッチェルのやり取りから、一緒に見ていきましょう。

目次

「pull a fast one on someone」の意味とニュアンス

pull a fast one on someone
意味:人の隙をついてこっそりだます、一杯食わせる

pull a fast one on someoneは、a fast one(素早い一手・策略)をpull(仕掛ける)という口語表現です。相手が気づかないうちに、さっと何かを仕掛けて出し抜く様子を表しています。仕掛ける側の手際の良さが、そのまま言葉のテンポにも表れています。

fastという単語には「速い」という意味の他に、口語で「ずる賢い、抜け目ない」というニュアンスも含まれており、a fast oneはもともと巧妙な策略を指す俗語的な言い回しです。深刻な詐欺だけでなく、家族間のちょっとしたごまかしや、友人へのいたずらのような軽い文脈でもよく使われる、幅の広い表現だと言えます。相手が気づいていない間に事が進んでしまう、というスピード感がこの表現全体を貫いています。

【ここがポイント!】

  • 「pull a fast one on someone」の核は、相手の隙をついてさっと仕掛けるイメージ
  • 深刻な詐欺から家族間の軽いごまかしまで、幅広い場面をカバーする表現
  • onの後ろに来るのは、だまされる側の人物だと意識すると使い方が整理しやすい

『モダンファミリー』S01E04のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ディーディーの謝罪と夕食参加をグロリアに取り次いでほしいと頼まれたジェイが、その役目をミッチェルに丸投げしようとする場面です。とぼけて逃げ道を作るジェイと、それに気づいて食い下がるミッチェルの、親子ならではの押し問答に注目です。

Mitchell: I drove all the way here.
(わざわざ車を運転してここまで来たんだよ。)

Jay: No, you didn’t. You were never here. In fact, you never even called.
(いや、来てない。お前はここにいなかった。そもそも電話すらしてこなかった。)

Mitchell: I would have called, but I thought it would be better To talk about th– what — what’s happening here?
(電話しようとは思ったんだけど、直接話した方がいいと思って……ていうか、何なんだよ、これは?)

Jay: Listen I would love to get this thing behind us, But gloria would never forgive me If I pulled a fast one on her. That’s why you’re going to pull a fast one on her, And I’m not going to like it one bit.
(いいか、俺だってこの件を早く片付けたいさ。でも俺がグロリアをこっそりだましたら、グロリアは絶対に許してくれない。だからお前がグロリアをだますんだ。俺はそれが気に入らないがな。)

Mitchell: Okay, that’s just great. No, that’s great. So it’s all up to me.
(はいはい、最高だよ。ああ、本当に最高だ。結局全部僕次第ってわけか。)

Modern Family Season1 Episode4 (The Incident)

シーン解説と心理考察

ディーディーの仲介役をミッチェルに押しつけたいジェイは、「お前はここにいなかった。電話すらしてこなかった」と、事実をねじ曲げてまでこの件から距離を取ろうとします。呆れながらも「じゃあ何なんだよ、これは」と食い下がるミッチェルに対し、ジェイは「俺がグロリアをこっそりだましたら許してもらえない。だからお前がだますんだ」と、責任をまるごと転嫁する理屈を悪びれずに口にします。

自分の都合を正当化する理屈を臆面もなく並べるところに、ジェイらしいぶっきらぼうさが表れています。「結局全部僕次第ってわけか」というミッチェルのぼやきには、家族内の面倒事を押しつけられがちな立場への諦め交じりの呆れが重なっています。役目の押しつけ合いというシットコムらしい構図が、この短いやり取りの中に凝縮されている場面です。厄介事を人任せにしたがるジェイの態度と、それでも結局は動くことになるミッチェルの立場が、この家族の力関係をそのまま映し出しています。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

素早い一手(a fast one)を、相手に向けて(on someone)そっと仕掛ける(pull)様子を、手品師がさっとトリックを繰り出す瞬間に重ねてイメージしてみましょう。相手が気づいた時にはもう遅い、というタイミングの妙がこの表現の核にあります。

自分が矢面に立つのを避けたいジェイが、その役目をミッチェルに押しつけようとしたやり取りも、いわば責任というボールをさっと隣にパスするような身のこなしでした。誰かを出し抜く動きの速さを思い浮かべておくと、この表現が自然と頭に浮かんでくるようになります。仕掛ける側の身軽さと、仕掛けられた側が後から気づく間の悪さを対にして覚えておくと、記憶に残りやすくなります。

例文で覚える「pull a fast one on someone」

家庭からビジネスまで、出し抜く場面全般で使えるpull a fast one on someoneを、3つの例文で確認してみましょう。

I can’t believe he pulled a fast one on us and left early without telling anyone.
(彼が誰にも言わずに早退して、僕らを出し抜いたなんて信じられないよ。)
裏切られた驚きを話す日常会話です。believeを否定形にすることで、驚きの強さがより伝わり、後から気づいた側の間の悪さも自然に伝わります。

Don’t try to pull a fast one on me; I know exactly what you’re planning.
(私をだまそうとしても無駄よ。あなたの計画はお見通しなんだから。)
相手を牽制する場面です。exactlyを添えると、見透かしている度合いの強さが伝わります。

A: How did they win the bid?
B: They pulled a fast one on the other company.
(A:どうやって入札に勝ったんだ?)
(B:あの会社を出し抜いたんだよ。)
ビジネスの裏話を話す会話です。相手企業を出し抜いたという結果だけを端的に伝える言い方です。

あわせて覚えたい関連表現

pull someone’s leg
(人をからかう、冗談を言う)
pull a fast one on someoneより悪意が薄く、親しい間柄での軽い冗談というニュアンスが強い表現です。

trick someone into something
(人をだまして〜させる)
だました後の具体的な行動まで含む表現で、pull a fast one on someoneよりも直接的です。だます行為そのものより、その結果起きる行動に焦点が当たります。

play a trick on someone
(人にいたずらをする)
pull a fast one on someoneと似ていますが、こちらはよりカジュアルないたずら全般を指し、深刻さの度合いが低い場面で使われます。

Note|「だます」にもある、悪意のグラデーション

pull a fast one on someoneと似た意味を持つ表現には、pull someone’s legやplay a trick on someoneがありますが、それぞれが指す「だます」の温度感には差があります。

pull someone’s legは、親しい相手をからかう軽い冗談を指し、相手を傷つける意図はほとんどありません。「本当のことのように見せかけて、実は嘘だった」と後で明かされることが前提になっている点も、この表現の穏やかさを支えています。play a trick on someoneも、いたずら好きな子供同士のじゃれ合いのような、カジュアルで無邪気な響きを持っています。一方でpull a fast one on someoneは、相手の隙を突いて実際に出し抜く、という結果を伴う点で一段階踏み込んだ表現です。単なるおふざけというより、相手が気づかないうちに事を運んでしまう、やや後ろめたさを伴う響きがあります。

台本でジェイが持ち出した「グロリアをこっそりだます」という状況も、単なる軽口ではなく、実際にグロリアに気づかれないよう嘘をつき通すという具体的な行為を指しています。だからこそジェイはこの役目を自分では引き受けたくなかったのであり、pull a fast one on someoneという表現の持つ踏み込んだニュアンスが、この場面の緊張感をよく説明しています。同じ「だます」でも、相手にどれだけの後ろめたさを背負わせる行為なのかによって、選ぶべき表現がはっきり変わってくることが分かります。冗談で済む範囲を越えた瞬間に、言葉の選び方も変わってくるという感覚を持っておくと便利です。

言葉の強さの違いを知っておくと、軽い冗談と本気のごまかしを英語でも自然に区別できるようになります。

まとめ|責任を押しつけ合う二人が教えてくれること

pull a fast one on someoneは、相手の隙をついてこっそりだます、一杯食わせるという意味の口語表現です。

家族間の軽いごまかしから、ビジネスの駆け引きまで幅広い場面で使え、onの後ろにはだまされる側の人物が置かれます。誰が誰を出し抜いたのかを、この一語の並びが端的に示してくれます。

厄介な役目を押しつけ合うジェイとミッチェルのやり取りからは、誰しも矢面に立ちたくないという心理が透けて見えるようです。責任の所在をめぐる駆け引きは、家族の間でも案外リアルなものなのですね。誰かを出し抜こうとする瞬間の駆け引きを言葉にできるようになると、ドラマの会話がまた違って見えてきます。

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