「step it up a notch」の意味と使い方|『モダンファミリー』S01E09で学ぶ英会話

「step it up a notch」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

今のままでは物足りない、もう少し本気を出してほしいと相手に伝えたくなる場面が、仕事でもスポーツでもあるのではないでしょうか。

そんなときに使われる「step it up a notch」を、『モダンファミリー』シーズン1第9話の前半、息子の誕生日パーティーの演出にこだわるフィルが爬虫類を持ち込んだタニヤに注文をつけるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「step it up a notch」の意味とニュアンス

step it up a notch
意味:もう一段レベルを上げる、もっと本気を出す

step it up a notchは、物事の水準や努力の度合いを一段階引き上げることを求める口語表現です。notchはベルトの穴のように「一段階」を表す比喩で、stepにupを添えることで「引き上げる」という動作のイメージが加わります。notchが持つ「少しだけ」というニュアンスによって、全部をやり直すのではなく、今の状態から一段階だけ上を目指すという控えめな要求として響きます。

仕事の成果物へのダメ出しや、スポーツのコーチング、サービスへの追加注文など、「今のままでは物足りない、もう少し本気を出してほしい」と伝える場面で使われる表現です。強い叱責というよりも、次への期待を込めた発破のかけ方として使われることが多い言い回しです。相手の努力を頭ごなしに否定せず、今の水準を土台にしてもう一段引き上げてほしいと伝える、比較的柔らかい要求の仕方だと言えます。

【ここがポイント!】

  • 「step it up a notch」の核は、ベルトの穴を一段締めるような小さな引き上げ
  • 全部のやり直しではなく、今の状態からの改善を求めるニュアンス
  • 強い叱責よりも、次への期待を込めた発破のかけ方に向く表現

『モダンファミリー』S01E09のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

息子ルークの誕生日パーティーで危険な爬虫類を見せたいフィルが、爬虫類を用意するタニヤに注文をつける場面です。控えめな提案を重ねるタニヤに対して、フィルはより刺激の強いものを求めて畳みかけていきます。

Phil: No, no, no. I want the most dangerous reptile you’ve got.
(いやいやいや。一番危険な爬虫類が欲しいんだ。)

Tanya: I have an iguana that eats crickets.
(コオロギを食べるイグアナならありますけど。)

Phil: That’d be scary if it was a birthday party for crickets. Seriously, Jungle Tanya, I need you step it up a notch. Is there anything that scares the cocoa out of you?
(それじゃコオロギの誕生日会にしかならないだろ。本気で言ってるんだ、ジャングル・タニヤ、もう一段レベルを上げてくれ。ココアが飛び出るくらい怖いやつはいないのか?)

Tanya: Uh, not really. I do have a bearded dragon.
(うーん、それはちょっと。ひげトカゲならいますよ。)

Modern Family Season1 Episode9 (Fizbo)

シーン解説と心理考察

「一番危険な爬虫類が欲しいんだ」と切り出すフィルの要求は、コオロギ食のイグアナを提案されただけで「それじゃコオロギの誕生日会にしかならない」と一蹴されます。「もう一段レベルを上げてくれ」と続くセリフには、息子の誕生日を盛大にしたいという親心が、次第に過剰な演出欲求へとすり替わっていく様子が表れています。

タニヤが「ひげトカゲならいますよ」と控えめに次の案を出しても、フィルはそれで満足せず、さらに強い刺激を求め続けます。相手の提案をいちいち格上げさせようとするこのやり取りには、良かれと思って行動しすぎるフィルらしい空回りが色濃く表れていて、後半の騒動への伏線としても機能する場面です。息子を喜ばせたい一心での要求が、少しずつ現実離れした方向へエスカレートしていく過程そのものが、この場面の面白さを支えています。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

ベルトの穴を一つだけ締め直すところを思い浮かべてみましょう。一気に全部を締め上げるのではなく、一段階だけギュッと引き上げる感覚が、step it up a notchが持つ「程度を一段引き上げる」というニュアンスにつながります。

フィルがタニヤに求めていたのも、まさにこの一段階の引き上げでした。イグアナからひげトカゲへと、少しずつ要求の強さが増していくやり取りを思い出すと、notchという言葉が指す「小さな一段階」の感覚がつかみやすくなります。

例文で覚える「step it up a notch」

仕事やスポーツなど、今の水準からもう一段引き上げてほしい場面で使えるstep it up a notchを、3つの例文で確認していきましょう。

If we want to win this game, we need to step it up a notch in the second half.
(この試合に勝ちたいなら、後半はもう一段レベルを上げる必要がある。)
チームメイトを鼓舞するスポーツの場面です。in the second halfのように時間帯を添えると、どの段階での引き上げなのかが伝わりやすくなります。

The manager asked the sales team to step it up a notch before the quarter ends.
(マネージャーは営業チームに、四半期が終わる前にもう一段本気を出すよう求めた。)
上司が部下に発破をかけるビジネスシーンです。before the quarter endsという期限を添えることで、要求の緊急度が伝わります。

A: I already cleaned the whole kitchen.
B: Great, but can you step it up a notch and clean the oven too?
(A:キッチンは全部掃除したよ。)
(B:いいね、でももう一段レベルを上げてオーブンも掃除してくれる?)
家事の追加依頼をする会話です。相手の努力を一度認めたうえで、さらに一段階の上乗せを頼む流れが、この表現の柔らかい響きをよく表しています。

あわせて覚えたい関連表現

take it to the next level
(次のレベルに引き上げる)
step it up a notchが小刻みな引き上げを表すのに対し、take it to the next levelはより大きな飛躍を示唆する表現です。

ramp up
(徐々に強化する・増やす)
step it up a notchが一度の引き上げを指すのに対し、ramp upは継続的な増加のプロセスに重点を置いた言い方です。

up the ante
(賭け金を上げる、要求水準を上げる)
up the anteは対立や交渉の文脈で使われやすく、step it up a notchはより中立的な改善要求として使われます。相手を出し抜こうとする駆け引きの場面か、純粋に水準の向上を求める場面かで、選ぶ表現も変わってきます。

Note|スポーツの現場に根付く、step it up a notchという発破のかけ方

step it up a notchは、日常会話だけでなく、スポーツの試合や練習の現場でもよく耳にする表現です。

コーチが選手に向けて声をかける場面や、実況が試合の流れを伝える場面で、この言葉は「今の調子から、もう一段本気を出してほしい」という期待のこもった発破として使われます。全力を出し尽くせという極端な要求ではなく、今のプレーの延長線上でできる範囲の引き上げを促す言い方であるため、選手を追い詰めすぎずに奮起を促せる便利な表現として根付いています。試合の後半に流れを変えたいタイミングや、練習の仕上げの場面で使われることが多く、聞き手にとっても「もう少し頑張れば届く」という前向きな受け取り方がしやすい言葉です。

フィルがタニヤに向けた「もう一段レベルを上げてくれ」という要求も、方向性としてはこのスポーツ現場の発破のかけ方と重なる部分があります。相手の提案を頭ごなしに否定するのではなく、一段階だけ上を求める言い方だからこそ、次のやり取りにも自然につながっていきました。一度にすべてを求めるのではなく、少しずつ引き上げていく発想は、コーチングの現場でもドラマの中でも共通して見られる進め方です。

一段階ずつの引き上げを積み重ねる発想は、スポーツに限らずさまざまな場面で応用できます。

まとめ|「もう一段」を求める、控えめな発破のかけ方

step it up a notchは、ベルトの穴を一段締めるように、今の水準から少しだけ引き上げることを求める表現です。一気に完璧を求めるのではなく、段階を踏んで改善を促す柔らかさが、この表現の使いやすさを支えています。

仕事の成果物やスポーツのコーチングなど、全部のやり直しではなく一段階の改善を促したい場面で、会話にすっと馴染みます。

イグアナからひげトカゲへと要求をエスカレートさせていくフィルの姿には、息子を喜ばせたい一心で暴走していく空回りぶりが表れていて、それでも次第に本気度が伝わっていく面白さが感じられる場面でした。相手の提案を一つずつ格上げさせていくやり取りのテンポそのものが、このフレーズの持つ段階的な引き上げのニュアンスをよく体現しています。

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