海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友人に恋人を紹介するのが、なんとなく不安になった経験はありませんか。「この人を、あの人と一緒にして大丈夫かな」という気持ちを、英語で言い表してみたくなる場面があります。
そんな気持ちにぴったりの「trust someone with someone」を、『モダンファミリー』シーズン5第8話の後半、アレックスがヘイリーに向けて切り返す一言から、一緒に見ていきましょう。
「trust someone with someone」の意味とニュアンス
trust someone with someone
意味:ある人を、別の人と一緒にしても大丈夫だと信頼する
trust A with B は、「A を B と一緒にしても、あるいは B を任せても大丈夫だと信頼する」という形です。B に物や仕事が来れば、「A に B を任せられる」という意味になります。たとえば「I trust him with my car.」なら、「彼になら車を任せられる」です。一方で B に人が来ると、「A を B と一緒にしておいて大丈夫だと思える」という意味になります。今回のシーンは、この後者の形です。
シーンで使われているのは、I wouldn’t trust him with you for five seconds という形です。wouldn’t と否定にして、「彼をあなたと一緒にしておくなんて、5秒だってできない」と、強く警戒する言い方になっています。for five seconds は「5秒間」という短い時間を出して、「ほんの5秒だって〜ない」と強調する部分です。短い時間を挙げることで、信頼できなさの度合いが際立ちます。
また、if I ever had a boyfriend という前置きは、「もし私に彼氏がいたら」という仮定です。仮定の話なので、後ろの文には would が使われています。実際に彼氏がいるわけではなく、「もしいたら、こう思うだろう」と想像して語る形です。信頼の話と仮定の形が重なることで、からかいを含んだ褒め返しの一言になっています。
【ここがポイント!】
- 「trust someone with someone」の核は、ある人を別の人と一緒にしても大丈夫だと思えるかどうか
- with の後ろに物が来れば「任せる」、人が来れば「一緒にしておく」という意味になる
- 否定にして for five seconds を添えると、「5秒だって信用できない」という強い警戒の言い方になる
『モダンファミリー』S05E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーとアレックスが言葉を交わす場面です。ヘイリーの問いかけに、アレックスが軽く受けたあと、最後の一言で「trust him with you」を使います。ヘイリーの言葉をどう受け止めて、どう返すかに注目です。
Haley: You don’t really think that.
(本気でそう思ってるわけじゃないでしょ。)Alex: Yeah, well, kind of.
(うーん、まあ、ちょっとはね。)Haley: You didn’t see the way that Chuck was looking at you?
(チャックがあなたのことを見てた様子、気づかなかったの?)Alex: Wait, you actually think I’m a threat?
(待って、私が脅威になるって本気で思ってるの?)Haley: I’m not gonna say that out loud.
(そんなこと、声に出しては言わないけど。)Alex: Aww, that’s so sweet. Well, if I ever had a boyfriend, I wouldn’t trust him with you for five seconds.
(あら、うれしいこと言ってくれるじゃない。まあ、もし私に彼氏がいたら、あんたと一緒にしておくなんて5秒だって信用できないけどね。)Modern Family Season5 Episode8 (ClosetCon ’13)
シーン解説と心理考察
ヘイリーが「本気でそう思ってるわけじゃないでしょ」と確かめると、アレックスは「まあ、ちょっとはね」と認めます。「Yeah, well, kind of」と、言いよどみながら少しだけ肯定する答え方です。きっぱり言い切らない返事です。
続くヘイリーは、「チャックがあなたのことを見てた様子、気づかなかったの?」と、チャックという人物の視線を持ち出します。アレックスは「待って、私が脅威になるって本気で思ってるの?」と聞き返します。ここでの threat は、チャックをめぐって、自分がヘイリーにとって脅威になりうる、という意味合いで使われています。ヘイリーは「そんなこと、声に出しては言わない」と返します。
そこでアレックスは、「あら、うれしいこと言ってくれるじゃない」と、その返事を褒め言葉として受け取ります。軽口めいた調子で一度受けたうえで、「もし私に彼氏がいたら、あんたと一緒にしておくなんて5秒だって信用できない」と褒め返します。褒め言葉として受け取ったあと、そのままヘイリーに向けて返す、という運びです。
trust him with you は、「彼をあなたと一緒にして大丈夫だと信頼する」という形です。ここでは wouldn’t で否定され、「一緒にしておけない」という警戒として使われています。ヘイリーの言葉を受けて、アレックスが冗談めかして褒め返す、軽い応酬の締めくくりです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
何かを預けるときの「この人になら任せられる」という気持ちを思い浮かべてみましょう。大切なものを預けるときは、相手を見て、安心して預けられるかどうかを考えます。trust A with B は、A と B を一緒にして安心かどうかを、信頼で測る形です。
アレックスが言った I wouldn’t trust him with you for five seconds は、その信頼が「5秒もない」と強調した言い方でした。「一緒にしておけるかどうか」を、時間の短さで表現した点がポイントです。長く預けられないどころか、5秒すら預けられない、という強調がこの言葉の芯になっています。
人を誰かのそばに置いて大丈夫かどうかを言いたくなったときは、「預ける」という動作を思い出しましょう。預けるものが物なら「任せる」、人なら「一緒にしておく」と、日本語は変わりますが、「安心して預けられるか」という中身は同じです。
例文で覚える「trust someone with someone」
ある人を別の人と一緒にして大丈夫かを表す trust someone with someone を、3つの例文で確認していきましょう。
I wouldn’t trust him with my sister.
(あいつを妹と一緒にしておくなんてできないよ。)
友人の素行を警戒する場面です。wouldn’t と否定にすると、「一緒にしておけない」という強い警戒の言い方になります。
Would you trust a puppy with a toddler? Only if I’m in the room.
(子犬を幼い子と一緒にして大丈夫だと思う? 私が部屋にいるときだけよ。)
ペットと子どもの関係を心配する場面です。trust の相手が人でなくても、「一緒にしておけるか」という形で使えます。
A: Can I leave the twins with Uncle Bob for an hour?
B: Sure. I’d trust him with them anytime.
(A:双子を1時間ボブおじさんに預けてもいい?)
(B:もちろん。あの人になら、いつでも安心して任せられるよ。)
子どもを預ける相談の往復会話です。肯定の形にすると、「その人になら任せて大丈夫」という信頼の言い方になります。
あわせて覚えたい関連表現
entrust someone with something
(人に物や仕事を託す)
entrust は改まった言い方で、託す対象が物や仕事の場合が中心です。trust A with B は日常会話の言い方で、B が人の場合にも使えます。
leave someone alone with
(〜と二人きりにする)
leave someone alone with は「二人きりにする」行為そのもので、trust A with B は「二人きりにしても安心と信頼する」という判断を表します。
be safe around
(〜のそばにいても安全だ)
be safe around は身の安全に焦点があり、trust A with B は相手への信頼、つまり人柄や行動への信頼に焦点があります。
Note|trust him with you を「彼を信頼する」と訳すとずれる理由
trust him with you を「彼を信頼する、あなたと」と直訳すると、日本語としても意味が通りません。ずれが生まれる理由を、trust だけの意味と比べて整理してみましょう。
trust 単体では、「人柄や言葉を信じる」という意味になります。「I trust him.」は「彼を信頼している」です。ところが with で相手を添えると、焦点が変わります。「彼を信頼している」ではなく、「彼を、あなたとの関わりの場面に置いても大丈夫だと思える」という意味になるからです。信頼する対象が「彼」から、「彼とあなたが一緒にいる状況」へと広がります。
日本語に訳すときは、「〜と一緒にして大丈夫だと思う」「〜を任せられる」のように、with の後ろとの関係を含めた言い方に直すと、ずれが小さくなります。アレックスの言葉なら、「彼をあなたと一緒にしておくなんて、5秒だって信用できない」と訳したほうが、意味がまっすぐ伝わります。
for five seconds も、日本語では「5秒だって〜ない」という否定の強調に置き換えるのがコツです。「5秒間信頼する」と直訳してしまうと、時間の長さを言っているように読めてしまいます。実際は、短い時間を挙げて、その短さでさえ信用できないと強めているのです。with と for five seconds の二か所が、直訳でずれやすいポイントです。
まとめ|「誰と誰を一緒にできるか」を測る言葉
trust someone with someone は、ある人を別の人と一緒にしても大丈夫だと信頼できるかを表す表現です。with の後ろが物なら「任せる」、人なら「一緒にしておく」と、日本語は変わります。
wouldn’t と否定にして for five seconds を添えれば、「5秒だって信用できない」という強い警戒の言い方になります。「彼を信頼する」と直訳せず、「〜と一緒にして大丈夫だと思う」と訳し直すと、意味が自然に伝わります。
ヘイリーの確認にアレックスが軽く受け、最後の一言で切り返す。短い応酬の中に、この表現の使いどころが詰まった場面でした。


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