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今夜の予定を誘おうとしたら、「ごめん、先約があるの」と返された経験はありませんか。
そんなときにぴったりの「come over」を、『フレンズ』シーズン6第16話の後半、もしもの世界でチャンドラーが今夜の予定を誘い、モニカが恋人ドクター・ロジャーの来訪を理由に断る場面から、一緒に見ていきましょう。
「come over」の意味とニュアンス
come over
意味:(相手の家などに)来る・立ち寄る
come overは、ある人のいる場所や家に、人が訪ねてくることを表す句動詞です。overは「越えて」という意味で、どこかを越えてこちら側にやって来る、という動きが土台にあります。「遊びに来る」「訪ねてくる」「立ち寄る」と、場面に合わせて訳し分けられる表現です。come over to my placeのように、to のあとに行き先を添えて、どこへ来るのかを具体的に示すこともできます。場所を言わなければ、「こちらへ」という方向だけが残ります。
日本語の「行く」と「来る」の感覚とは、少しずれる場面もあります。相手が自分のところに来るときはもちろん、自分が相手のところへ訪ねていくときにも、I’ll come overのようにcomeを使います。相手を中心にして、「そちらへ向かう」という見方で言う場合の言い方です。
場面で使われている形は「Dr. Roger’s coming over again」です。Dr. Roger’s はDr. Roger isの短縮形で、be coming overという現在進行形になっています。現在進行形は、「今まさに来ている」だけでなく、「近いうちに来る予定」を表すこともでき、ここでは今夜の予定として使われています。あとに付いたagainは、来るのが今回が初めてではないことを示しています。
【ここがポイント!】
- 「come over」の核は、相手の家などに越えてやって来るという動き
- 相手のところへ向かうときも、come overで言える
- be coming overの形で、近い予定を表せる
『フレンズ』S06E16のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
この第16話は、もしもロスがキャロルと結婚したままだったら、という仮想の世界を描く回です。チャンドラーが今夜の予定をモニカに尋ねると、モニカは恋人のドクター・ロジャーがまた来ると答えます。それを聞いたチャンドラーの返事と、モニカが投げかける一言に注目です。
Chandler: So you, uh, want to do something tonight?
(それで、その、今夜何かしないか?)Monica: Oh, I can’t. Dr. Roger’s coming over again.
(ごめん、無理なの。またドクター・ロジャーが来るのよ。)Chandler: Oh. Oh, right. Right. Because you’re still seeing him, and, uh, he’s a good guy. I remember a time…
(ああ。ああ、そうか。そうだよな。まだ彼と付き合ってるんだもんな。それに、その、いい人だしな。俺が覚えてるのは、あのころ……)Monica: Are you okay?
(大丈夫?)Chandler: Yeah, totally.
(ああ、まったく問題ないよ。)Friends Season6 Episode16(The One That Could Have Been, Part 2)
シーン解説と心理考察
チャンドラーの「So you, uh, want to do something tonight?」は、言葉の途中に「uh」が挟まった、ぎこちない誘い方です。用件を切り出すのに、少し間を置いていることが、この短い言い方から伝わってきます。
モニカの返事は「Oh, I can’t.」と、まず断ってから理由を続ける形です。「Dr. Roger’s coming over again.」のagainには、ドクター・ロジャーが訪れるのが今回だけではないことが表れています。モニカは断る理由を、予定としてそのまま伝えています。
これを聞いたチャンドラーは、「Oh. Oh, right. Right.」と、納得したように言葉を重ねます。「Because you’re still seeing him」と状況を確かめ、「he’s a good guy」とロジャーについて言い添えます。ところが、「I remember a time…」と思い出話を始めかけたところで、いびきのまねをして寝たふりで話を打ち切ります。ロジャーを退屈な相手としてからかう、チャンドラーらしい冗談です。
寝たふりで話を切ったあと、モニカに「Are you okay?」と様子を尋ねられると、チャンドラーは「Yeah, totally.」と言い切りますが、この「totally」は、言葉どおりの平静とは聞こえません。この場面より後で、その本心が本人の口から語られます。
チャンドラーの言葉は、「そうか、まだ付き合っているんだな」と事実を確かめる方向に進みながら、ロジャーをからかう冗談で話を切り上げる形になっています。モニカがその様子に気づいて声をかける流れは、二人の親しさを感じさせます。
言葉と気持ちがずれる瞬間が、この会話の見どころです。come overという日常的な一言が、二人の間の距離を測る言葉として働いています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
橋を「越えて(over)」、こちら側へやって来る(come)人の姿を思い浮かべてみましょう。向こう岸にいた人が、橋を渡って自分のところまでたどり着く、という動きがcome overです。
モニカの場面では、ドクター・ロジャーが橋を渡ってやって来る予定が、今夜に入っています。その予定を耳にしたチャンドラーは、ロジャーをからかう冗談で話を切り上げていました。
be coming overの形は、「橋を渡り始めている途中」という絵に置き換えると、近い予定を表す意味も思い出しやすくなります。まだ着いてはいないけれど、向かっていて、もうすぐ着く、という感覚です。日本語の「来る予定だ」「来ることになっている」に近い言い方だと押さえておくと、時制の使い方に迷いません。
例文で覚える「come over」
家への来客、誘いの言葉、週末の約束と、訪ねる動きを伝える場面を3つの例文で確認していきましょう。
My cousin is coming over for dinner tonight.
(今夜、いとこが夕食に来るんだ。)
今夜の予定を伝える場面です。be coming overの形で、近い予定を表しています。
Can you come over after work?
(仕事のあとに、うちに来られる?)
相手を自分の家に誘う場面です。Can you〜?と尋ねると、都合をやわらかく確かめる言い方になります。
A: Why don’t you come over on Saturday?
B: Sounds good. What time?
(A:土曜日にうちに来ない?)
(B:いいね。何時?)
週末の約束をする往復会話です。Why don’t you〜?で誘い、Sounds good.で返す、定番の流れです。
あわせて覚えたい関連表現
stop by
(ちょっと立ち寄る)
stop byは、短い滞在に重点があります。come overは、自分の側にやって来ることに重点があります。
come by
(立ち寄る)
come byも「立ち寄る」という意味の表現です。come overは、家に来て過ごすイメージがより強い言い方です。
come along
(一緒に来る)
come alongは、同行することを表します。come overは、相手のいる場所に来ることを表す点が違います。
Note|come over・come by・stop byは、訪ね方が違う
come over、come by、stop byは、どれも「訪ねる」という意味で使われますが、訪ね方のイメージが少しずつ違います。
stop byは、通りがかりに短く立ち寄るイメージです。Can you stop by the office?なら、ちょっと寄ってもらう、という頼み方になります。come byも、立ち寄ることを表します。stop byが「止まって寄る」動き、come byが「こちらへ来る」動きに重点を置く点が違います。一方のcome overは、家などに来て、ある程度の時間を過ごすイメージです。Can you come over for dinner?のように、食事や会話といった、滞在する予定と結びついて使われます。
今回のシーンでも、come overは滞在を含む訪問として働いています。モニカが「今夜はドクター・ロジャーが来る」と言うとき、短く寄るだけではなく、夜の時間を一緒に過ごす予定が、その言い方から伝わります。stop byだったら、この重みは出にくくなります。come overを使うことで、今夜の予定が「立ち寄り」ではなく「訪問」として、場面の中に位置づけられています。
もう一つ覚えておきたいのは、be coming overという現在進行形の形です。近い予定を言うときに使え、is coming overなら「もうすぐ来る予定だ」という意味になります。
訪ね方の違いを押さえておくと、予定の伝え方に幅が出ます。
まとめ|来る予定を伝える、come over
come overは、相手の家などに越えてやって来ることを表す句動詞です。相手のところへ向かうときにも使え、be coming overの形にすれば、近い予定を伝えられます。
stop byが短い立ち寄り、come overが滞在を含む訪問という違いも、使い分けの手がかりになります。今夜の予定を断るときにも、家に誘うときにも使える、行き来の一言です。
今夜の予定を伝える何気ない一言が、チャンドラーには重く響いていた場面でもありました。


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