海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
不満を言葉にして伝えても届かないとき、どうすれば本気だと分かってもらえるのかと考え込む場面があります。
そんなときに使える「make a statement」を、『モダンファミリー』シーズン7第13話の中盤、妻への不満をこぼしたフィルに、グロリアが自分の経験を引き合いに出して助言する場面から、一緒に見ていきましょう。
「make a statement」の意味とニュアンス
make a statement
意味:(言葉だけでなく態度や行動で)はっきり意思表示をする、考えや立場を示す
make a statement は、自分の考えや立場を、周囲にはっきり示すことを表す表現です。statement は「声明、主張」という意味の名詞で、make a statement は直訳すると「声明を出す」になります。
この表現には、大きく二つの使い方があります。ひとつは、公式に声明やコメントを発表する意味です。The mayor made a statement to the press.(市長は報道陣に向けて声明を出した)のように、改まった場面で使います。もうひとつは、言葉に頼らず、行動、服装、態度などで自分の考えを示す意味です。
どちらの意味でも、「自分の立場を外に向けて示す」という点は共通しています。違いは、示す手段が言葉による発表か、目に見える行動かという点です。今回のシーンのグロリアは、後者の意味で使っています。
後者の意味では、to make a statement(意思を示すために)の形で、行動の目的を述べる使い方もできます。「何のためにその行動をしたのか」という理由を説明するときに便利です。
日本語にするときは、「声明を出す」では硬くなる場面が多いため、「意思表示をする」「はっきり示す」のように訳し分けます。
【ここがポイント!】
- 「make a statement」の核は、自分の考えや立場を外に向けてはっきり示すこと
- 公式な声明を出す意味と、態度や行動で意思を示す意味の二つがある
- 行動の目的を述べるときは、to make a statement の形が使いやすい
『モダンファミリー』S07E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルが妻のクレアに対する不満を口にしたあと、グロリアが、結婚したての頃にジェイのために夕食を作った経験を話し始めます。フィルは、グロリアの話に出てきた料理や贈り物に反応し、グロリアはその経験を踏まえて、フィルにある行動を勧めます。フレーズは、昔話を終えたグロリアが要点をまとめる言葉に出てきます。
Phil: Beef Wellington and a baked potato with all the fixin’s?
(ビーフ・ウェリントンに、トッピング全部のせのベイクドポテトかい?)Gloria: Yes. And then when he got home, he barely noticed what I had made. So I took the emerald pendant that he had bought me for the three past dinners that he had missed and I threw it at his head. I told him I don’t need fancy things. I need the respect.
(そうよ。それで彼が帰ってきたとき、私が作ったものにほとんど気づかなかったの。だから、彼がすっぽかした過去3回の夕食の埋め合わせに買ってくれたエメラルドのペンダントを、彼の頭に投げつけたの。私は豪華なものなんていらないって言ったわ。欲しいのは敬意なのよ。)Phil: Isn’t that an emerald pendant?
(それって、エメラルドのペンダントじゃない?)Gloria: It made its way back to me. But the point is that you have to make a statement. You have to give back the hoverboard.
(それは巡り巡って私のところに戻ってきたの。でも大事なのは、はっきり意思表示しなきゃいけないってこと。ホバーボードは返さなきゃだめよ。)Modern Family Season7 Episode13 (Thunk in the Trunk)
シーン解説と心理考察
グロリアは make a statement を使って、自分の話の要点をまとめています。「大事なのは」という切り出しから、ここまでの昔話が、この一言に向けた前置きだったことが伝わってきます。
昔話の中身は、ジェイが夕食にほとんど気づかなかったとき、ペンダントを投げつけ、豪華なものではなく敬意が欲しいのだと伝えたというものです。行動と言葉の両方で気持ちを示したことが、「豪華なものはいらない、欲しいのは敬意」という一言に表れています。
途中に入るフィルの質問は、話の流れを軽くしています。「それってエメラルドのペンダントじゃない?」と尋ねるフィルに、グロリアは「巡り巡って戻ってきた」と短く返し、すぐ本題へ戻ります。質問に長く立ち止まらず、助言の核心へまっすぐ進む運びです。
その上で、グロリアはフィルに「ホバーボードは返さなきゃだめよ」と具体的な行動を示します。ここで make a statement は、言葉で文句を言うことではなく、返すという行動で意思を示すことを指しています。助言が抽象的なまま終わらず、目に見える行動に結びついている点が見どころです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
make a statement の像は、旗をはっきり掲げる動きです。
口で「私はこう思う」と言うかわりに、目に見える場所へ旗を立てる。遠くからでも、旗の色と位置で立場が伝わります。statement(主張)を make(作る)とは、主張を目に見える形に作り上げる、という感覚です。
グロリアの話にも、この旗が登場します。敬意が欲しいという気持ちを、言葉に加えて、ペンダントを投げつける動きで見せた。そして、フィルにもホバーボードを返すという、目に見える旗を立てるよう勧めています。
発表の場に立つ姿だけを思い浮かべるのではなく、行動で旗を立てる姿を重ねると、二つの使い方が一枚の絵にまとまります。
例文で覚える「make a statement」
言葉でも行動でも使える make a statement を、3つの例文で確認していきましょう。
She quit the club to make a statement.
(彼女は意思表示のためにクラブを辞めた。)
行動で不満を示した人の動機を説明する場面です。to make a statement が、辞めた目的を述べています。
The mayor made a statement to the press this morning.
(市長は今朝、報道陣に向けて声明を出した。)
公式な発表を伝える場面です。こちらは、言葉による声明を出す意味で使われています。
A: Why did you wear that bright red suit?
B: I wanted to make a statement.
(A:なんでそんな真っ赤なスーツを着たの?)
(B:自分の存在を印象づけたかったの。)
服装に込めた狙いを聞かれる会話です。着るという行動で、自分を印象づけたい気持ちを表しています。
あわせて覚えたい関連表現
send a message
((行動で)メッセージを伝える)
make a statement は、自分の考えや立場を示すこと全般を指します。send a message は、相手に何かを伝えるという伝達の目的が前に出る言い方です。
take a stand
(立場を明確にして断固とした態度をとる)
make a statement は意思表示そのものを表します。take a stand は、賛成か反対かの立場をはっきりさせ、譲らない強さが加わる言い方です。
speak out
(はっきり意見を言う、公に訴える)
make a statement は、行動や服装でも成立します。speak out は、声に出して意見を言うことに重点があります。
Note|「声明」という訳語と「態度で示す」の距離
「声明」「陳述」は、statement の訳語として最初に思い浮かぶ言葉です。ただ、make a statement を「声明を出す」とだけ訳すと、グロリアの発言はうまく収まりません。訳語と実際の意味のずれは、次のように整理できます。
「声明」は、日本語では公式な発表というイメージが強い言葉です。大きな組織や人物が文書や会見で出すものを思い浮かべます。ところが make a statement には、そこまで改まっていない、行動や服装で示す意味もあります。
日本語では、場面に応じて訳し分けます。公式の場面なら「声明を出す」「コメントを発表する」、行動や服装の場面なら「意思表示をする」「はっきり示す」「存在を印象づける」のようになります。グロリアの発言は、ホバーボードを返すという行動で意思を示すことを指しているので、「はっきり意思表示する」が収まりのよい訳です。
つまり、make a statement の statement は、「言葉」だけを指す語ではありません。主張を外に向けて示す、という広い意味を持っています。
訳すときの手がかりは、その場で示されているのが言葉なのか行動なのか、という一点です。
まとめ|言葉の次に、行動で示すという選択肢
make a statement は、自分の考えや立場を外に向けてはっきり示す表現です。公式な声明を出す意味と、態度や行動で意思を示す意味の二つがあり、場面で使い分けます。
不満や主張を言葉で伝えたあとに、さらに行動で示したいときの一言として使えます。伝えること自体に重心を置くなら send a message、譲らない強さまで込めるなら take a stand が近い言い方です。
グロリアは、自分の経験を踏まえて、フィルにホバーボードを返すという行動を勧めました。敬意を求める気持ちを、言葉に加えて目に見える形にする。それが make a statement の中心にある考え方と言えます。


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