海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
気がつけば夜更けになるまで仕事のメールを打ち続けていて、翌朝に家族からそのことを指摘された経験はありませんか。
そんなときに使える「till all hours」を、『モダンファミリー』シーズン7第13話の前半、朝のあいさつを交わすフィルとクレアの会話で、フィルが前の晩のクレアの様子に触れる場面から、一緒に見ていきましょう。
「till all hours」の意味とニュアンス
till all hours
意味:夜遅くまで、ふだんなら寝ているような遅い時間まで
till all hours は、何かが夜遅い時間まで続いたことを表す口語表現です。till は until と同じく「〜まで」を表す語で、そのあとに all hours を置くことで、終わった時刻が通常の就寝時間をはるかに過ぎていたことを伝えます。
all hours は、直訳すると「あらゆる時間」です。「何時まで」とはっきり言わないところが特徴で、具体的な時刻を挙げずに、とにかく遅い時間まで続いたという印象を残します。聞き手は「そんなに遅くまで?」という驚きや、あきれ、ねぎらいの気持ちを受け取ることになります。
組み合わせる動詞は、stay up(起きている)、work(働く)、be out(出歩く)、talk(話す)など、時間を使って続ける行為を表すものです。I was working till all hours.(夜遅くまで仕事をしていた)のように、動詞のあとに置くのが基本の形です。banging out e-mails(メールをバシバシ打つ)のように、勢いのある動作と合わせて、夜更けまで続く忙しさを描く使い方もできます。
終わりの時点が遅いことを述べる表現なので、「いつ始まったか」には触れません。始まりより終わりが遅かったことに焦点が当たる点が、この表現の持ち味です。
【ここがポイント!】
- 「till all hours」の核は、具体的な時刻を挙げずに「とにかく遅い時間まで」と伝えるところ
- stay up、work、be out など、時間をかけて続ける動作と組み合わせるのがコツ
- 驚きやねぎらいの気持ちが自然に乗る、日常会話向きの一言
『モダンファミリー』S07E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
夫婦のフィルとクレアが、朝のあいさつのあとに言葉を交わす場面です。フィルは、前の晩にクレアが仕事のメールを打つ音が聞こえていたことを伝え、その流れでサンドイッチに入れたキュウリについて冗談を言います。続いて、あとで飲みに行く予定の話に移り、フィルがクレアに、冗談にしないほうがいい話題を尋ねます。フレーズは、フィルが前の晩のクレアの様子に触れるひとことに出てきます。
Phil: I did hear you banging out e-mails till all hours last night, so the cucumbers in the sandwich can be repurposed as lunchtime crow’s-feet refreshers.
(昨夜、君が夜遅くまでメールをバシバシ打ってたのは聞こえてたよ。だから、サンドイッチのキュウリはお昼の目元ケアに回せるってわけ。)Claire: Thank you. Don’t forget we’ve got drinks later.
(ありがとう。あとで飲み会があること、忘れないでね。)Phil: Right. Any specific joke areas I should stay away from?
(わかった。冗談にしないほうがいい話題って、何かある?)Claire: Oh, no, don’t worry about it. It’s mostly just me and the guys talking business.
(ううん、気にしないで。ほとんど、私とみんなで仕事の話をするだけだから。)Modern Family Season7 Episode13 (Thunk in the Trunk)
シーン解説と心理考察
フィルは till all hours を使って、前夜のクレアの働きぶりを具体的な音で言い表しています。「メールを打つ音が聞こえていた」という言い方から、フィルがクレアの遅い時間までの作業に気づいていたことが伝わってきます。
そのあとに続くキュウリの冗談も、同じ流れの中にあります。夜更けまで働いた相手に、お昼の目元ケアという軽い話題を差し出すことで、気づかいを冗談の形に包んでいます。フィルらしい、重くならないねぎらい方が表れています。
クレアは短く礼を言い、すぐにあとの飲み会の予定を念押しします。ねぎらいを受け取りながら、話題を次の予定へ進めていく切り替えの早さが見どころです。
さらにフィルが「冗談にしないほうがいい話題はある?」と尋ねる点にも注目です。軽口を言う側が、相手の仕事の場に配慮する姿勢を見せています。クレアの「ほとんど仕事の話をするだけ」という返事に、会話の温度をやわらげる気軽さがにじみます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
till all hours は、時計の針が夜の遅い側へ、どんどん進んでいく様子を思い浮かべて覚えられます。
文字盤の上で、針がふだんの就寝時刻を通り過ぎ、まだ止まらずに回り続けている。針が止まった場所は示されず、「とにかくそこまで」とだけ伝わる。その感覚が all hours(あらゆる時間)という言葉に重なります。
フィルが聞いていた、前の晩のクレアのキーボードの音も、この景色と結びつきます。夜が更けても鳴り止まなかった音という絵があると、till all hours の意味が実感を伴って残ります。
次に夜更かしや残業の話をするときは、時計の針が遅い時刻へ進み続ける場面を頭に浮かべ、そこに till all hours を添えてみましょう。
例文で覚える「till all hours」
夜遅くまで続いた行動を語る till all hours を、3つの例文で確認していきましょう。
My neighbors played loud music till all hours last night.
(近所の人たちが昨夜、夜遅くまで大音量で音楽を流していた。)
近所の騒音を友人に愚痴る日常の場面です。played という過去の動作に、till all hours が終わりの遅さを足しています。
We stayed up till all hours talking about our trip.
(私たちは旅行の話をして、夜遅くまで起きていた。)
友人と夜更かしした思い出を振り返る場面です。stay up との組み合わせは、この表現の基本形のひとつです。
A: You look exhausted.
B: I was working on the report till all hours.
(A:疲れた顔してるね。)
(B:夜遅くまでレポートに取り組んでたんだ。)
同僚に寝不足の理由を説明する会話です。疲れの原因を、作業が遅い時間まで続いたことで示しています。
あわせて覚えたい関連表現
late into the night
(夜更けまで)
till all hours が「そんな時間まで?」という驚きの含みを持ちやすいのに対し、late into the night は夜が深くなるまで続く様子を、落ち着いた調子で述べる言い方です。
at all hours
(いつでも、時を選ばず)
till all hours は、終わりの時点が遅いことを表します。at all hours は、どんな時間帯にも起こるという、時間の幅を表すところが違います。
burn the midnight oil
(夜遅くまで勉強や仕事をする)
till all hours は時間の遅さだけを述べます。burn the midnight oil は、夜遅くまで根を詰めて勉強や仕事に取り組む様子まで含んだ言い方です。
Note|「すべての時間」という直訳と「夜遅くまで」の距離
till all hours を辞書で引くと、all hours は「あらゆる時間」という直訳になります。ところが、そのまま日本語に当てはめると、意味が通りません。ここでは、直訳と実際の意味のずれを整理します。
「あらゆる時間まで」と訳すと、日本語としては何を指すのか分からなくなります。ここでの all hours は、一日のあらゆる時間帯という意味ではなく、「ふだんの感覚では考えられないほど遅い時間」を指します。時刻の数字を言わずに、遅さの印象だけを伝える言葉だと受け取るのが近道です。
日本語に直すときは、場面に合わせて訳し分けます。仕事の話なら「夜遅くまで」、遊びや話し込みの話なら「夜更けまで」「遅くまで」、さらに強めたいときは「明け方近くまで」のように、遅さの度合いを調整できます。今回のフィルの一言は、メールを打つ音を聞いた話なので、「夜遅くまで」が収まりよく響きます。
こうして見ると、till all hours は数字で測る表現ではなく、感覚で測る表現だと分かります。聞き手に「相当遅かったのだな」と思わせる効果があり、細かい時刻の説明を省いても、状況が伝わります。
直訳に引きずられず、遅さの印象を日本語で言い直す。その視点があれば、この表現の使いどころがつかみやすくなります。
まとめ|時計の針が止まらない夜を、ひとことで
till all hours は、具体的な時刻を挙げずに、夜遅くまで何かが続いたことを伝える表現です。stay up や work など、時間をかけて続ける動作と組み合わせて使います。
仕事や夜更かし、騒音への愚痴など、夜の遅さを強調したい場面で、状況をひとことで言い表せます。late into the night や at all hours と並べると、時間の遅さの伝え方にも幅が出ます。
フィルは前の晩のメールの音を話題にして、ねぎらいを冗談に包みました。使いたい場面を思い浮かべながら、夜更けを表す一言を自分の英語に取り入れてみてください。


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