海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
やるべきだと分かっているのに、あと一歩が踏み出せない。気づけばずっと足踏みしている、ということは誰にでもあるのではないでしょうか。
そんなときに使える「have the guts to do something」を、『モダンファミリー』シーズン7第13話の後半、父の会社を率いることになったクレアが、父の机に座る度胸がまだ出ないとフィルに打ち明ける場面から、一緒に見ていきましょう。
「have the guts to do something」の意味とニュアンス
have the guts to do something
意味:〜する度胸がある、思い切って〜する勇気がある
have the guts to do something は、思い切って何かをする度胸や勇気があることを表す口語表現です。guts は本来「内臓、はらわた」を意味する語で、おなかの底にある力が度胸につながる、という比喩になっています。do something の部分には、sit(座る)、tell(伝える)、quit(辞める)など、勇気が要る行動を表す動詞が入ります。
肯定の形では、He had the guts to tell the truth.(彼は真実を話す度胸があった)のように、踏み出せたことを称える響きになります。否定の形にすると、I don’t have the guts to ask her.(彼女に尋ねる度胸がない)のように、やりたくても踏み出せない気持ちを表せます。
今回のシーンのクレアは、現在完了の否定形 haven’t had the guts to を使っています。「今までずっと度胸を持てずにいる」という、過去から現在まで続く状態を伝える形です。過去の一点ではなく、長く続いている踏み出せなさを語るのに向いています。
また、It takes guts to do(〜するには度胸が要る)のように、行動の側を主語にした言い方もあります。誰かの行動を称えるときは、この形が使いやすくなります。
guts は口語的な語なので、日常会話や親しい間柄で使いやすい一方、改まった場面では別の語が選ばれます。使い分けは、Note で整理します。
【ここがポイント!】
- 「have the guts to do something」の核は、おなかの底にある力で思い切って踏み出すイメージ
- 肯定は称賛、否定は踏み出せない気持ちを表し、現在完了ならその状態が続いていることを伝える
- 後ろに続ける動詞を入れ替えて、さまざまな行動に使えるのがコツ
『モダンファミリー』S07E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
クレアは、会社を率いる立場で、自分が偽物だとばれるのではないかという恐れをフィルに打ち明けています。フィルが「君は偽物じゃない」と返すと、クレアは、父の机に座る度胸がまだ出ないと続けます。フレーズは、クレアが父の机について語る言葉の中に、否定の現在完了 haven’t had the guts to sit の形で出てきます。
Phil: Hey, you are not a fraud.
(ねえ、君は偽物なんかじゃないよ。)Claire: I haven’t had the guts to sit at my dad’s desk since he left. I still feel like the little girl who used to play hide-and-seek under it.
(父が会社を離れてから、私、父の机に座る勇気がまだ出ないの。いまだに、その下でかくれんぼをしていた小さな女の子の気分なのよ。)Phil: Look. This is your desk now. You’ve earned it. You are not a little girl anymore.
(いいかい。これはもう君の机だ。君はそれだけのことをしてきたんだ。もう小さな女の子じゃない。)Modern Family Season7 Episode13 (Thunk in the Trunk)
シーン解説と心理考察
クレアは haven’t had the guts to を使って、父の机に座れないという具体的な悩みを打ち明けています。「偽物ではないか」という漠然とした恐れが、「机に座れない」という目に見える行動に置き換わっています。
さらに、机の下でかくれんぼをしていた小さな女の子の思い出が重なります。この机は、今の立場とは結びつかない、幼い頃の記憶の場所でもあります。大人になった今も、その記憶に引き戻される感覚が、この場面から伝わってきます。
フィルの返事は、三つの言葉で組み立てられています。「これはもう君の机だ」と事実を示し、「それだけのことをしてきた」と根拠を添え、「もう小さな女の子じゃない」と、クレアが挙げた思い出に直接答えています。励ましが、相手の言葉を受けて組み立てられている点が見どころです。
「座る度胸」という言葉を選んだことで、クレアの漠然とした不安が、父の机に座るという一つの行動に集約されています。悩みが、踏み出す一歩の問題として語られている場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
おなかの底に力をためて、ぐっと立ち上がる。have the guts to は、この動きと結びつけると覚えやすい表現です。
椅子の前で、座ろうか迷っている自分を想像してみましょう。頭では分かっていても、体がなかなか動かない。そこで、おなかの底に力を入れて、一息に踏み出す。guts は、その力のたまり場です。
クレアの場合は、父の机に座るための力が、まだ入りきっていません。否定の haven’t had は、おなかの底に力がまだ集まっていない状態を表しています。
日本語の「腹をくくる」「腹が据わる」にも、同じ感覚があります。体の中心に力を入れる動きと、気持ちを固める動きが、日本語でも重なっています。身近な例を思い浮かべながら、おなかに力を入れる動きとセットで覚えておくと、思い出しやすくなります。
例文で覚える「have the guts to do something」
踏み出せるかどうかを語る have the guts to do something を、3つの例文で確認していきましょう。
I don’t have the guts to tell my boss no.
(上司にノーと言う度胸が、私にはない。)
断れない自分の弱さを話すビジネスの場面です。否定形が、踏み出せない気持ちをそのまま表しています。
I finally had the guts to quit after a year.
(1年たって、ようやく辞める度胸が持てた。)
退職までの葛藤を振り返る日常の場面です。finally と after a year が、度胸が持てるまでにかかった時間を表しています。
A: Why don’t you ask her out?
B: I haven’t had the guts to do it yet.
(A:なんで彼女を誘わないの?)
(B:まだ誘う度胸が出なくてさ。)
恋愛の相談をする会話です。現在完了の否定と yet で、まだ踏み出せていない状態を伝えています。
あわせて覚えたい関連表現
have the nerve to do
(〜する度胸がある、厚かましくも〜する)
have the guts to do は、勇気を語る言い方が中心です。have the nerve to do は、「よくもまあ〜できたものだ」と、厚かましさを責める文脈でも使います。
work up the courage to do
(勇気を奮い起こして〜する)
have the guts to do は、度胸があるかどうかという状態を表します。work up the courage to do は、勇気を少しずつ奮い起こす過程に重点があります。
dare to do
(あえて〜する)
have the guts to do は、度胸の有無を語る口語です。dare to do は、危険や反発を承知であえて行うという意味で、やや改まった響きがあります。
Note|勇気を表す guts・courage・nerve・bravery の使い分け
日本語ではひとまとめに「勇気」と訳される語でも、英語では口語度と文脈によって guts、courage、nerve、bravery が使い分けられます。
guts は、最も口語的な語です。「度胸、根性」という意味で、思い切って踏み出す力を表します。親しい間柄の会話で、行動を称えたり、自分の踏み出せなさを語ったりするときに向いています。
courage は、より一般的で、改まった場面にも使える語です。恐れに立ち向かう気持ちそのものを指し、文章やスピーチでも使えます。guts より落ち着いた響きがあります。
nerve は、度胸を表しますが、文脈によっては「厚かましさ」の意味合いが加わります。have the nerve to do は、勇気をほめる場合と、図々しさを責める場合の両方で使えるため、前後の文脈で読み分けます。
bravery は、勇敢さを表す名詞で、危険に立ち向かう行動や態度に焦点が当たります。気持ちよりも、行動に表れた勇敢さを語る場面に向いています。
クレアが語ったのは、父の机に座る度胸という、身近で飾らない悩みです。夫婦の打ち明け話には、口語的な guts の響きがよくなじみます。
語を選ぶときは、誰に向けて、どんな調子で話すのかを基準にすると、迷いにくくなります。
まとめ|足踏みする気持ちに、ひとこと添えて
have the guts to do something は、思い切って何かをする度胸があることを表す表現です。肯定なら称賛、否定なら踏み出せない気持ちを伝え、現在完了にすれば、その状態が続いていることも示せます。
誰かに踏み出せなさを打ち明けたいときや、相手の勇気を称えたいときに、そのまま使える一言です。改まった場面なら courage、厚かましさを責める文脈なら nerve に置き換えられる点も、使い分けの手がかりになります。
父の机に座れずにいるクレアと、その気持ちを受け止めて言葉を重ねるフィル。机に座る一歩を前にした気持ちの揺れが、この表現にそのまま映っています。


コメント