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何かをしてもらう代わりに、こちらも何かを差し出す。そんな「持ちつ持たれつ」の条件を、あらためて口にした経験はありませんか。
そんな取引の関係を言い表す「in exchange for」を、『モダンファミリー』シーズン8第1話の中盤、グロリアがジェイにソニアの要求を伝える一言から、一緒に見ていきましょう。
「in exchange for」の意味とニュアンス
in exchange for
意味:〜と引き換えに、〜の見返りとして
in exchange for は、あるものを受け取る代わりに、別のものを差し出す、という交換の関係を表します。exchange は「交換」で、for は「〜に対して」にあたります。「〜との交換で」という文字どおりの意味から、「〜と引き換えに」「〜の見返りとして」へと広がります。
使い方の基本は、A in exchange for B の形で、「B と引き換えに A」と読みます。A と B のどちらも、やり取りされるものです。契約や取引の条件を話すとき、お礼として何かをするとき、頼みごとの見返りを約束するときなど、両方向のやり取りがある場面に合います。
for のあとには、名詞だけでなく -ing も置けます。in exchange for your help なら「手伝いと引き換えに」、in exchange for helping me なら「手伝ってくれることと引き換えに」です。何と何が対になっているのかを、for のあとで示す形です。
形としては、in と for が exchange をはさんだ前置詞句で、あとに名詞か -ing が続きます。文頭に置くこともできます。In exchange for his help, I promised to cook dinner for a week. のように、先に条件を示してから、主文で中身を述べる形です。
日本語にするときは、「〜と引き換えに」「〜の見返りに」「〜と交換で」が合います。場面によって、取引の色が強いときは「引き換え」、お礼の色が強いときは「見返り」と訳し分けるのがコツです。
【ここがポイント!】
- 「in exchange for」の核は、受け取るものと差し出すものが対になった、交換の関係
- A in exchange for B で「B と引き換えに A」と読む形
- 取引や条件の話から、お礼や頼みごとの見返りまで広く使える表現
『モダンファミリー』S08E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ソニアがマニーを連れて行ったあと、グロリアがジェイに、ソニアの要求を伝える場面です。ジェイはその条件を前向きに受け止めますが、グロリアは受けないと答え、ジェイが短く嘆いて終わります。フレーズは、グロリアの最初の一言に出てきます。
Gloria: She wants my hot-sauce business in exchange for Manny.
(あの子は、マニーと引き換えに私のホットソース事業を渡せって言ってるの。)Jay: Good! Then she owes us 400 bucks. We get the kid back.
(いいじゃないか! それなら向こうが俺たちに400ドルの借りができる。子どもも取り返せる。)Gloria: No deal. I’ll handle it. My sister, my problem.
(取引はしないわ。私が何とかする。妹のことは私の問題よ。)Jay: My holiday!
(俺の休日が!)Modern Family Season8 Episode1 (A Tale of Three Cities)
シーン解説と心理考察
グロリアの She wants my hot-sauce business in exchange for Manny. は、状況の報告です。主語の She はソニアで、グロリアが自分の事業と、マニーをやり取りの対にして伝えています。in exchange for の前後に事業とマニーが並び、交換の関係がひと目で分かる形になっています。
ジェイの返事は、Good! から始まります。Then she owes us 400 bucks. は、その条件なら向こうが自分たちに借りができる、という受け止めです。We get the kid back. と続けて、子どもが戻る点も挙げています。ジェイの返事は、交換が自分たちに有利だという受け止め方になっています。
これに対してグロリアは No deal. と、取引をはっきり断ります。I’ll handle it. で、自分で対応すると言い、My sister, my problem. と、妹の件は自分の問題だと言い切ります。交換という形で話を進めるジェイと、取引にしないと決めるグロリアの、考え方の違いが表れています。
最後のジェイの My holiday! は、短い嘆きの一言です。グロリアが話を引き取ったあとの、短い一言として会話が締めくくられます。条件を伝えるグロリア、受け止めるジェイ、断るグロリアと、短い応酬が重なる流れが、この場面の見どころです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
天秤の左右の皿に、別々のものが乗っている絵を思い浮かべてみましょう。一方の皿には事業、もう一方の皿にはマニー。「片方を渡すかわりに、もう片方をもらう」という釣り合いが、in exchange for の感覚です。
天秤の図は、交換が「二つのものの対」だという感覚を支えてくれます。片方だけでは交換にならず、もう片方があってはじめて成り立つ、という点がポイントです。
グロリアの台詞も、この天秤で読めます。ソニアの側の皿に乗っているのが、グロリアの事業です。もう一方の皿に乗せられているのが、マニーを戻すことです。ジェイの「いいじゃないか」は、この釣り合いを見た反応として読めます。
for のあとに来るものを、天秤のもう一方の皿に乗るもの、と覚えておくと、並べる順番を間違えにくくなります。
例文で覚える「in exchange for」
in exchange for を、3つの例文で確認していきましょう。何と何が対になっているかに注目です。
They gave us a discount in exchange for a long-term contract.
(向こうは長期契約と引き換えに、割引してくれた。)
取引先との条件交渉を話すビジネスの場面です。割引と長期契約という、対になるものがはっきり示されています。
She taught me guitar in exchange for English lessons.
(彼女は英語のレッスンと引き換えに、僕にギターを教えてくれた。)
互いの得意なことを教え合う日常の場面です。教えたことと教わったことが、並べて示されています。
A: Can you cover my shift on Saturday?
B: Sure, in exchange for your Sunday off.
(A:土曜のシフトを代わってもらえる?)
(B:いいよ、君の日曜休みと引き換えにね。)
同僚とシフトを交換する、往復の会話です。B の返事は、条件を後ろから添える形になっています。
あわせて覚えたい関連表現
in return for
(〜の見返りに、〜のお返しに)
in return for は、してもらったことへのお返しの色が強い言い方です。in exchange for は、互いに差し出すものが対になった、取引の場面に向いています。
in place of
(〜の代わりに)
in place of は、あるものを別のもので置き換える代用を表します。in exchange for は、双方が差し出し合う交換の関係です。
trade A for B
(A を B と交換する)
trade A for B は、交換する行為を述べる動詞の言い方です。in exchange for は、すでにある文に「引き換えに」と条件を足す前置詞句です。
Note|「B と引き換えに A」の向きと、動詞で変わる誰が何を出すか
in exchange for は、A in exchange for B と並べると、「B と引き換えに A」と読めます。ただし、誰が A を出し、誰が B を出すのかは、文の動詞で決まります。今回の台詞を使って、この点を整理します。
動詞が offer の文を見てみます。He offered me a ride in exchange for lunch. なら、彼が差し出すのが ride、引き換えに受け取るのが lunch です。つまり A は、主語が出すものです。ここで動詞を want に替えると、向きが変わります。She wants my hot-sauce business in exchange for Manny. では、主語の She が受け取りたいのが business で、引き換えに差し出すのが Manny です。A は、主語が受け取りたいものになります。
このように、in exchange for のかたち自体は同じでも、A が出すものか欲しいものかは、offer や want のような動詞次第で変わります。for のあとの B は、A とやり取りされる対の相手として読みます。
今回のグロリアの台詞は、want の側の読み方でした。事業とマニーがどう対になっているかを、動詞から読み取れます。
動詞を見れば、交換の向きは迷わず読み取れます。
まとめ|対になるものを並べて伝える一言
in exchange for は、受け取るものと差し出すものが対になった、交換の関係を表す表現です。A in exchange for B で「B と引き換えに A」と読み、for のあとには名詞も -ing も置けます。
誰が何を出すのかは、offer や want のような動詞で決まります。取引や条件の話に使えるほか、お礼や頼みごとの見返りを伝える場面にも使えます。
事業とマニーを天秤にかけたようなグロリアの一言から、ジェイとグロリアの考え方の違いが、短い応酬の中で浮かび上がる場面でした。


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