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収支を数えてみたら思ったよりマイナスで、胸を張って「うまくいっている」とは言いにくい。そんな帳尻の話を、ふと思い出す瞬間があります。
そんなお金の状態を言い表す「in the hole」を、『モダンファミリー』シーズン8第1話の前半、ジェイがグロリアの「成功した実業家」という言葉に数字で問い返す一言から、一緒に見ていきましょう。
「in the hole」の意味とニュアンス
in the hole
意味:赤字を抱えて、借金(損)を抱えて
in the hole は、収支がマイナスになっている状態を表すくだけた言い方です。hole は「穴」で、お金が足りずに穴の中に落ちているような状態を指します。穴の深さが、そのままマイナスの大きさにあたります。
たいていは、前に金額を置いて使います。400 bucks in the hole なら「400ドルのマイナス」です。bucks はドルを表すくだけた言い方で、金額を言うときに dollars の代わりに使えます。金額を前に置くことで、いくらの赤字や損なのかを一言で示せます。
事業の赤字だけでなく、買い物や賭けで出た損、友人から借りたお金がまだ返せていない状態にも使えます。誰に対してのマイナスかは言わず、全体として収支が穴の中にある、と伝える点が特徴です。
形の面では、in the hole は前置詞 in と定冠詞 the、名詞 hole が並んだだけの短い句です。be 動詞のあとに置けば、今の状態を述べる文になります。文字どおりには「その穴の中に」という意味で、お金の話に転じて使われます。
訳語は「赤字」「損を抱えて」「マイナス」がなじみます。「穴の中に」と直訳するとお金の話だと伝わらなくなるため、金額とセットで訳語を選びます。
【ここがポイント!】
- 「in the hole」の核は、穴に落ちたような、収支のマイナスの状態
- 400 bucks in the hole のように、金額を前に置いて深さを示す形
- 事業の赤字にも、個人の損や借りにも使える、くだけた言い方
『モダンファミリー』S08E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フアレスでの会話です。グロリアが、ソースのことをジェイが話したと咎めて、今すぐ出発しようと言い出します。ジェイが服のことで抗議しても、グロリアは自分の事業の話を続けます。フレーズは、そのやり取りを受けたジェイの最後の一言に出てきます。
Gloria: Why did you tell her about the sauce? Everybody, get your things. We have to leave Juarez right now!
(どうして彼女にソースのことを話したの? みんな、荷物をまとめて。今すぐフアレス(Juarez)を出なきゃ!)Jay: What?! It took me 45 minutes to get into this outfit!
(何だと!? この服を着るのに45分もかかったんだぞ!)Gloria: You know how crazy Sonia can be. She’s gonna be so jealous now that she knows that I am a very successful businesswoman.
(ソニアがどれだけ無茶をする人か、知ってるでしょ。私がすごく成功した実業家だって知ったら、あの子、ものすごく嫉妬するわ。)Jay: Aren’t you 400 bucks in the hole on that thing?
(その事業、400ドルの赤字じゃないのか?)Modern Family Season8 Episode1 (A Tale of Three Cities)
シーン解説と心理考察
グロリアは、Why did you tell her about the sauce? と、ジェイを問いただすところから始めます。続けて Everybody, get your things. と周りに呼びかけ、leave Juarez right now と、すぐに出ることを求めます。話の中心にあるのは、ソースの事業を、妹のソニアに知られたことです。
ジェイの反応は、What?! と驚きから入ります。It took me 45 minutes to get into this outfit! は、服を着るのに45分かかったという、出発したくない理由の言い方です。事業の話ではなく、自分の事情で返すところに、二人の関心の向きの違いがにじんでいます。
グロリアは、You know how crazy Sonia can be. と、ソニアを知っているはずだと念を押します。続く She’s gonna be so jealous … は、自分が very successful businesswoman だと知られたあとの、ソニアの様子についての見通しです。
その言葉の直後に、ジェイが Aren’t you 400 bucks in the hole on that thing? と返します。Aren’t you …? の否定疑問は、「〜じゃないのか」と確かめる言い方で、グロリアの自己評価を数字で問い返す形になっています。ジェイの台詞では、on that thing の thing がホットソースの事業を指しています。事業の名前を出さず、that thing と短く言うところに、くだけた会話の調子が出ています。thing は、はっきり名指ししなくても話が通じる相手に使いやすい語です。Why did you tell her about the sauce? の sauce と、この thing は、同じ話題の続きです。
グロリアの自信と、ジェイの現実的な指摘とが会話の温度を変えているのが、このやり取りの見どころです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
地面に開いた穴に落ちて、首まで浸かっている自分の姿を思い浮かべてみましょう。穴の深さが、赤字の額です。400 bucks in the hole なら、400ドル分の深さの穴に入っている、という像になります。
ジェイの問いかけも、この像で読むと分かりやすくなります。グロリアは「成功した」と、穴の外の景色を語っています。そこにジェイが、「穴の中にいるんじゃないのか」と、足元を指さして確かめます。
穴が浅ければ少しの稼ぎで抜け出せますが、深ければ時間がかかります。金額を前に置くのは、穴の深さを数字で示すためです。
穴の中にいるから、抜け出すには稼いで埋めなければならない。この感覚が、in the hole の「赤字を抱えている」という意味につながっています。
例文で覚える「in the hole」
in the hole を、3つの例文で確認していきましょう。金額と一緒に使う形が中心になります。
After the repairs, we were two thousand dollars in the hole.
(修理のあと、私たちは2,000ドルの赤字になった。)
家計の支出を振り返る日常の場面です。after the repairs と原因を添えると、赤字になったきっかけが伝わります。
The shop is still in the hole, but sales are improving.
(その店はまだ赤字だが、売り上げは伸びている。)
小さな店の経営状態を話すビジネスの場面です。金額を省いても、still を添えるだけで、マイナスが続いている状態になります。
A: How’s the new café doing?
B: Honestly, we’re still five hundred dollars in the hole.
(A:新しいカフェはどう?)
(B:正直、まだ500ドルの赤字だよ。)
友人の店の調子を聞く、往復の会話です。Honestly を添えると、言いにくい数字を打ち明ける、飾らない調子になります。still が付くと、赤字が続いている点まで伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
in the red
(赤字で)
in the red は、帳簿が赤字だという会計寄りの言い方です。in the hole は、赤字に限らず、賭けや買い物で出た損も表せる、くだけた言い方です。
in debt
(借金をして)
in debt は、借金があるという状態を、事実として述べる言い方です。in the hole は、金額を前に置いて、気軽にマイナスを伝える会話向きの表現です。
owe
(〜に借りがある)
owe は、誰にいくら借りているかを述べる動詞です。in the hole は、誰に対してかを言わず、全体として収支がマイナスであることを表します。
Note|金額を前に置く形と、be・end up が変える in the hole の言い方
in the hole は、前後に置く言葉で、状態の伝え方が変わります。今回の台詞を出発点に、前に置く金額と、組み合わせる動詞の形を整理します。
基本の形は、金額 + in the hole です。400 bucks in the hole のように、数字の直後に置きます。これに be 動詞を組み合わせると、we’re five hundred dollars in the hole のように、今のマイナスを述べる形になります。end up を組み合わせると、He ended up three hundred dollars in the hole. のように、結果としてそこに落ち着いたことを表せます。be は状態、end up は結果を示す、という違いです。
金額を省くこともできます。The shop is still in the hole. なら、額は言わず、マイナスが続いていることだけを伝えます。額が大きいか小さいかを気にしない場面では、この形が合います。
今回のジェイの台詞は、Aren’t you …? の否定疑問に、金額 + in the hole が収まっていました。「〜じゃないのか」という確認の形に金額が入ると、数字を示して相手に確かめる、という言い方になります。
形を変えるだけで、状態も、結果も、確認も言い分けられます。金額の前後に何を置くかを意識すると、in the hole の使い道が広がります。
まとめ|数字を添えて「穴の深さ」を伝える
in the hole は、収支がマイナスで、赤字や損を抱えている状態を表すくだけた言い方です。前に金額を置いて、穴の深さを示す形が基本になります。
be や end up と組み合わせれば、今の状態も結果も言い分けられます。金額を省けば、マイナスが続いていることだけを伝える言い方にもなります。
家計の見直しでも、店の経営の話でも、友人との会話でも、収支がマイナスのときの状況を、短く具体的に伝えられる一言です。


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