海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
何も言われていないのに、周りの視線が自分に集まっているように感じて、落ち着かなくなる瞬間があります。言葉より先に、視線が気持ちを伝えてしまう場面です。
そんな視線の鋭さを言い表す「stare daggers at someone」を、『モダンファミリー』シーズン8第1話の中盤、ミッチェルが「staring daggers at me」の形で周りの視線をこぼす一言から、一緒に見ていきましょう。
「stare daggers at someone」の意味とニュアンス
stare daggers at someone
意味:(人に)鋭くにらみつける、敵意のこもった視線を向ける
stare daggers at someone は、怒りや敵意を込めた鋭い視線を、短剣を突きつけるようにたとえた表現です。stare は「じっと見る」、dagger は「短剣」で、daggers と複数形になっているので、何本もの短剣が相手に向かっていくような強さが出ます。
言葉は発していなくても、視線だけで強い非難や敵意が伝わっている、という場面で使えます。stare at someone なら「人をじっと見る」だけですが、daggers を挟むと、見る側の感情が敵意や怒りであることがはっきりします。
文の形は、stare daggers at のあとに人を置きます。主語が見る側で、at のあとが見られる側です。時制や代名詞は文に合わせて変わるので、今回のドラマの台詞のように、staring daggers at me という形にもなります。
staring のように -ing の形になると、視線が今まさに向けられている最中だという進行中の感じが出ます。stared なら、過去にそうした、という出来事として語る形です。
日本語にするときは、「鋭くにらみつける」「敵意のこもった視線を向ける」が合います。「短剣を見つめる」と直訳すると意味が通じなくなるので、短剣は視線の鋭さのたとえだと考えて訳すのがコツです。
【ここがポイント!】
- 「stare daggers at someone」の核は、視線を短剣にたとえた、敵意の強さ
- at のあとに、見られる側の人を置く形
- 言葉がなくても、視線だけで非難や怒りが伝わる場面で使える表現
『モダンファミリー』S08E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ミッチェルが、キャメロンの家族から向けられている視線についてキャメロンにこぼす場面です。キャメロンはミッチェルの味方をせず、事実を指摘して返します。フレーズは、ミッチェルの最初の長い一言に出てきます。
Mitchell: Oh, my God. I can feel your family staring daggers at me. Can’t believe they think I killed Grams. Like I’d really be telling her to let go of life.
(ああ、もう。君の家族が僕をにらみつけてるのがわかるよ。僕がグラムスを殺したと思ってるなんて信じられない。まるで僕が本気で「生きるのを手放せ」って言ってたみたいじゃないか。)Cameron: Well, you can see how they’d wonder after you put your suitcase in her room.
(まあ、君が彼女の部屋にスーツケースを置いたんだから、みんなが疑うのもわかるだろう。)Mitchell: It sounds like you’re taking their side.
(君は、あっちの味方をしてるように聞こえるな。)Cameron: You can’t blame them for questioning your story about a comatose arthritic woman pulling your hair.
(昏睡状態の関節炎の女性に髪を引っぱられたっていう君の話を、みんなが疑うのを責められないよ。)Modern Family Season8 Episode1 (A Tale of Three Cities)
シーン解説と心理考察
ミッチェルは、Oh, my God. と声に出してから、I can feel your family staring daggers at me. と切り出します。your family は、キャメロンの家族のことです。自分に向いていると感じ取った視線を、そのままキャメロンに伝える形になっています。
続く Can’t believe they think I killed Grams. は、周りが自分をどう見ているかについての、ミッチェル自身の受け止め方です。they は、先ほどの your family を受けています。Like I’d really be telling her to let go of life. と、ミッチェル自身の言い分が続きます。
キャメロンの返事は、Well, you can see how they’d wonder … と、周りが疑う理由を挙げる形です。after you put your suitcase in her room と、ミッチェルのした行動を理由に挙げています。ミッチェルの味方になる返事ではなく、事実を指摘する返事です。
ミッチェルが It sounds like you’re taking their side. と返すと、キャメロンは You can’t blame them for questioning your story … と、さらに重ねます。your story は、ミッチェルが語った説明を指しています。二人の立ち位置のずれが、短い応酬のなかで会話の温度を変えています。
ここで注目したいのは、ミッチェルが視線を「見た」ではなく「感じる」と表している点です。誰がどう見ているかは、ミッチェルの受け止めとして語られています。これは誰がどう見ているかの描写ではなく、ミッチェルの感じ方を伝える言い方です。
視線の話から始まり、疑いの話、味方かどうかの話へと進む流れの中で、staring daggers at me という一言は、ミッチェルの受け止め方をまとめて伝える役割を担っています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
視線が細い短剣になって、相手の体にまっすぐ飛んでいく絵を思い浮かべてみましょう。stare は目を離さずに見続けること、daggers は複数形なので、何本も飛んでくる様子が浮かびます。目から短剣が飛んでくるほどの鋭さ、という像が、そのまま意味になります。
ミッチェルが I can feel と言い添えているのも、この像と合っています。短剣は目に見えませんが、肌で感じ取れるほどの強さがあります。見えていないのに「感じる」と言うところに、視線の圧が表れています。
同じ視線でも、どちらの側から語るかで形が変わります。見られている側から言うなら staring daggers at me、見ている側から言うなら stare daggers at him のように、主語を入れ替えて覚えておくと、使い分けがすっと出てきます。
例文で覚える「stare daggers at someone」
stare daggers at someone を、3つの例文で確認していきましょう。時制や代名詞が文に合わせて変わる点にも注目です。
She stared daggers at him when he walked in late.
(彼が遅れて入ってくると、彼女は鋭くにらみつけた。)
遅刻した人への周りの反応を話す日常の場面です。when 以下で、視線を向けたきっかけを示しています。
I could feel my boss staring daggers at me during the meeting.
(会議のあいだ、上司が僕をにらみつけているのを感じた。)
会議でのピリピリした空気を振り返る場面です。during the meeting を添えると、視線を感じた時間の範囲が伝わります。
A: Why is Mark staring daggers at me?
B: You took his parking spot.
(A:なんでマークは僕をにらんでるの?)
(B:彼の駐車スペースを取ったからだよ。)
同僚の態度の理由を尋ねる、往復の会話です。B の返事は、視線の原因を一言で明かす形になっています。
あわせて覚えたい関連表現
glare at someone
((人を)にらみつける)
glare at は、怒りを込めて見る意味の標準的な動詞です。stare daggers at は、その敵意を「短剣」にたとえて強調した言い方になります。
give someone a dirty look
((人に)いやな顔を向ける、にらむ)
give someone a dirty look は、不快感や非難を示す一瞥を表します。stare daggers at は、じっと見続けるところが、一瞬の視線との違いです。
look daggers at someone
((人を)鋭くにらみつける)
look daggers at と stare daggers at は、ほぼ同じ意味で使えます。stare のほうが、見続けている時間の長さが感じられます。
Note|feel のあとに -ing を置く形と、daggers を文字どおり訳さない理由
stare daggers at someone は、台詞の中で I can feel … staring daggers at me という形で出てきました。この形を読み解くと、使い方が見えてきます。
まず、feel のあとの形です。I can feel your family staring daggers at me は、feel + 目的語 + -ing の並びで、「相手の家族が、にらみつけているのを感じる」という意味になります。-ing は、その動作が今まさに進んでいることを示します。feel のかわりに see や hear を置くと、見ている、聞いているという別の知覚を表せます。
次に、daggers の訳し方です。daggers は「短剣」ですが、視線を短剣にたとえた比喩なので、「短剣を見る」とは訳せません。「鋭くにらみつける」「刺すような視線を向ける」と、比喩の中身を日本語の言い方に移すのが基本です。
今回の場面では、feel と -ing と daggers が1つの文に重なっていました。見えない視線を肌で感じ取っている、という像が、この形で表れています。
daggers は複数形で、視線の強さを増して見せるための言葉です。at のあとの人を入れ替えるだけで、さまざまな相手への視線を言い表せます。
形と比喩を分けて読むと、1つの文からたくさんの使い方が引き出せます。
まとめ|視線を「短剣」にたとえる一言
stare daggers at someone は、怒りや敵意のこもった鋭い視線を、短剣にたとえて言う表現です。at のあとに見られる側を置き、時制や代名詞は文に合わせて変わります。
I can feel … staring daggers at me の形にすると、見えない視線を肌で感じ取っている、という使い方になります。glare at や give someone a dirty look と並べると、視線の強さや長さで選び分けられます。
周りの視線を気にするミッチェルと、事実を指摘するキャメロンの短いやり取りは、一つの比喩が二人の立ち位置のずれを際立たせる場面でした。視線の鋭さを一言で伝える表現と言えます。


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