海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
始めたばかりの仕事を、周りから「それって本当の仕事なの?」と言われてしまう。結果が出る前のそんな時期には、もう少しだけ時間がほしいと思うものです。
そんな場面にぴったりの「get something off the ground」を、『モダンファミリー』シーズン8第3話の前半、SNSを使った自分の仕事を両親に認めてもらいたいヘイリーが、猶予を頼む一言から、一緒に見ていきましょう。
「get something off the ground」の意味とニュアンス
get something off the ground
意味:(事業・計画などを)軌道に乗せる、動き出させる
get something off the ground は、まだ動いていない事業や計画を、実際に動くところまで持っていくことを表す口語表現です。something の位置には、店・会社・企画・イベントなど、これから形にしていくものが入ります。ground は「地面」、off は「離れて」の意味で、地面から離れて浮き上がる様子が、そのまま「動き出す」という意味につながっています。
この表現が指すのは、「始める」という一点だけではありません。思いついた計画を実際に動かし、続けられる状態にするまでの過程全体が含まれます。そのため、準備や資金集め、人集めといった、立ち上げの段階の手間を語るときによく合います。
動詞は get を使い、「誰かが何かを動き出させる」という使役のニュアンスがあります。主語は動かす側の人で、something は動かされる対象です。動かされる対象を主語にして、The project got off the ground.(計画が動き出した)のように言うこともできます。台詞では something が this thing に置き換わった形で出てきますが、働きは同じです。
日本語に訳すときは、「軌道に乗せる」「立ち上げる」「始動させる」「形にする」といった言い方が候補になります。何を動かすのかによって、どの訳語が自然かが変わります。
【ここがポイント!】
- 「get something off the ground」の核は、地面から機体が浮き上がるように、計画が動き出すイメージ
- something の位置には、事業や企画など、これから形にするものが入る
- 始動から軌道に乗るまでの幅があるため、訳語は場面で選ぶのがコツ
『モダンファミリー』S08E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーが、女の子たちを集めてSNSでクラブなどを宣伝する仕事を始めたと話し、母のクレアに「本当の仕事に聞こえない」と言われたあとの場面です。ヘイリーは両親に、自分のやっていることを理解してくれるかを確かめます。父のフィルの返事に続けて、ヘイリーがこの仕事を動かすための時間を頼む流れに注目です。
Haley: Mom, I knew you would be like this. Dad, you understand what I’m doing, right?
(ママ、こう言われると思ってた。パパ、私がやってること、わかってくれてるよね?)Phil: Of course. Power of social media. I’m on “Team Gets It.”
(もちろんだよ。ソーシャルメディアの力だろ。俺は「わかってるチーム」だ。)Haley: Can you guys just give me a chance to get this thing off the ground?
(二人とも、私がこれを動かし始めるチャンスを、ちょっとだけくれない?)Phil: Yes. We can. I always keep an open mind.
(ああ、もちろんだ。俺はいつだって柔軟に考えるよ。)Modern Family Season8 Episode3 (Blindsided)
シーン解説と心理考察
ヘイリーは最初の一言で「ママ、こう言われると思ってた」と、母の反応を先回りして受け止めています。そのうえで「パパ、私がやってること、わかってくれてるよね?」と、理解を求める相手を父のフィルに絞り込んでいるところに、味方を確かめたい気持ちがにじむ場面です。
フィルは「もちろん」と即座に答え、「ソーシャルメディアの力」と仕事の中身に触れたうえで、「俺は『わかってるチーム』だ」と自分の立場を宣言します。娘の話をまず受け止める返事で、ヘイリーにとっては心強い反応です。
続くヘイリーの頼みは、仕事を認めてほしいという大きな要求ではなく、動き出すまでの猶予を求める控えめな形です。give me a chance は「機会をちょうだい」という定番の頼み方で、just が付くことで「少しだけ」という軽さが加わっています。フィルの「ああ、もちろん」という返事と、I always keep an open mind の言葉が、娘の頼みを受け入れる姿勢として響きます。
仕事を始めたばかりで、成果も形もこれから。そんな段階の人が口にする get this thing off the ground という言い方には、まだ小さな仕事を大切に育てたいという気持ちが重なっています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
滑走路を走り出した飛行機を思い浮かべてみましょう。車輪が地面についているうちは、まだ走っているだけです。車輪が地面(ground)から離れて(off)、ようやく機体が浮き上がります。計画や事業も、頭の中の構想から実際に動き出す瞬間を、この「浮き上がる」動きで捉えると、形がつかみやすくなります。
ヘイリーが頼んだのも、仕事が滑走路を走り出し、浮き上がるまでのわずかな時間でした。「機体が地面を離れるまでの助走」と覚えておくと、get this thing off the ground を聞いたときに、立ち上げの途中にいる人の姿がすぐ浮かびます。
例文で覚える「get something off the ground」
立ち上げの場面で使う get something off the ground を、3つの例文で確認していきましょう。
It took us six months to get the new bakery off the ground.
(新しいパン屋を軌道に乗せるまでに半年かかった。)
開業までの苦労を振り返る場面です。six months のような期間を添えると、立ち上げにかかった手間の大きさが伝わります。
We need a little more funding to get this project off the ground.
(このプロジェクトを始動させるには、もう少し資金が必要です。)
出資をお願いするビジネスの場面です。to 以下で「何のために資金が要るのか」を示す形が、依頼の理由づけにそのまま使えます。
A: How’s the book club going?
B: Slowly. It’s hard to get it off the ground when nobody has free time.
(A:読書会はどう?)
(B:ゆっくりだね。みんな時間がないと、立ち上げるのが大変で。)
仲間内の活動がなかなか始まらない状況を話す会話です。something の位置に it を置いても、前の話題を受けて同じ意味で使えます。
あわせて覚えたい関連表現
get the ball rolling
(物事を動き出させる、きっかけを作る)
get the ball rolling は、最初の一歩を踏み出すことに重点があります。get something off the ground は、動き出して成り立つ状態に持っていくまでの手間を含んでいる点が違いです。
launch
(立ち上げる、発売する)
launch は、商品や事業を世に出す一点を指す動詞です。get something off the ground は、準備の過程も含めて語る口語的な言い方になります。
get up and running
(稼働する状態にする)
get up and running は、設備やシステムが実際に動く状態を指すときに向いています。get something off the ground は、事業や企画の立ち上げにも使える点で、場面の幅が少し広い表現です。
Note|「軌道に乗せる」と「動き出させる」、どちらで訳すかで変わる印象
get something off the ground を日本語にするとき、「軌道に乗せる」と訳すか「動き出させる」と訳すかで、聞こえ方が変わります。
「軌道に乗せる」は、動き出したあとの安定まで含んで聞こえる訳語です。一方「動き出させる」「始動させる」は、動かし始める段階に焦点が当たります。英語の get something off the ground は、この二つの間に広がる意味を持っているため、場面ごとに訳し分けると自然になります。
たとえば、新しいパン屋を開くまでの話なら、準備から開業までを含む「立ち上げる」が合います。ヘイリーの台詞のように、成果がまだ出ていない段階で猶予を頼む場面では、「軌道に乗せる」と訳すと完成後の安定まで求めているように聞こえます。「これを動かし始めるチャンスをちょうだい」くらいの訳が、頼みの控えめさに近づきます。
get something off the ground が出てきたら、話題の事業がまだ動く前なのか、すでに動いている途中なのかを、前後の文から探します。その答えが、ぴったりの訳語を決めてくれます。
まとめ|まだ小さな仕事に、時間をもらうための一言
get something off the ground は、まだ動いていない事業や計画を、動き出す状態へ持っていくことを表す表現です。something の位置に入るものが、そのまま立ち上げる対象になります。
SNSを使った仕事を始めたばかりのヘイリーが、両親に猶予を頼んだ場面では、成果ではなく「動き出すまでの時間」を求める言い方として使われていました。フィルが「わかってるチーム」の一員として応じるやり取りには、新しい挑戦を家族が受け止める空気が表れています。
自分の始めたことを誰かに見守ってほしいとき、あるいは立ち上げの苦労を語りたいとき、この表現が頼りになります。会話のレパートリーに加えてみてください。


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