「Kid, you got to know your audience.」――聞き手に合わせるか、自分らしさを通すかの英語|『モダンファミリー』S08E03で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「Kid, you got to know your audience.」――聞き手に合わせるか、自分らしさを通すかの英語|『モダンファミリー』S08E03で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン8第3話では、マニーとルークが生徒会長の座を争います。それぞれの家族は演説の中身や服装に口を出し、二人を「もっと受けのいい候補」に変えようとします。ところが、二人はどちらもその変化に違和感を口にします。

人前で話すとき、聞き手に合わせるべきか、自分らしさを通すべきかは英語でもよく話題になります。助言する側とされる側、その両方の言い回しをこの回の会話から拾っていきます。

目次

「you got to know your audience」と言われたマニー

マニーはスーツとネクタイで演説に臨むつもりでいます。それを聞いたジェイの助言と、マニーの返しです。

Jay: Kid, you got to know your audience.
(いいか、相手を見て話さなきゃだめだ。)

Manny: You don’t think I can relate to my peers?
(僕が同年代の子と通じ合えないって言うの?)

Modern Family Season8 Episode3 (Blindsided)

know your audience は直訳すると「自分の聴衆を知れ」で、話す相手に合わせて内容や見せ方を選べ、という助言です。スピーチやプレゼンの心得として紹介されることが多く、会話でも「相手を考えて話せ」という意味で使われます。audience は劇場の観客に限らず、話を聞く相手全般を指せる語です。

got to は have got to の口語的な形で、「〜しなきゃ」という強めの助言になります。ジェイの話し方らしく、前置きの Kid, も含めて率直な響きがあります。

マニーの relate to は「〜と共感し合う、通じ合う」という意味で、my peers は「同年代の仲間」です。You don’t think I can ~? は「僕が〜できないと思ってるの?」と、相手の評価に驚いて聞き返す形です。この直後、マニーはジェイとグロリアに負けると思われていることを知り、さらに驚きます。助言の裏にある評価が、思わぬ形で本人に伝わってしまう場面です。

「relatable」になるための服、その居心地の悪さ

ジェイとグロリアの助言を受けて、マニーは迷いながらも従います。

Manny: This is feeling a little weird.
(なんだか変な感じがするよ。)

Jay: Trust us.
(俺たちを信じろ。)

Manny: If you really think it’ll help.
(本当に役に立つって思うなら。)

Modern Family Season8 Episode3 (Blindsided)

This is feeling a little weird. は進行形にすることで「今まさに違和感がある」と、その場の感覚を伝えています。If you really think it’ll help. は文としては条件だけで終わっていますが、「そう言うなら従う」という気の進まない同意として働く言い方です。Trust us. は理由を説明する代わりに「任せておけ」と押し切る短い一言で、助言する側の自信が表れています。

演説の直前、いつもと違う服装の二人が顔を合わせます。

Manny: My mom and Jay said it made me more relatable.
(ママとジェイが、これで親しみやすくなるって言ったんだ。)

Manny: I feel like an idiot.
(ばかみたいな気分だよ。)

Luke: Yeah.
(だよね。)

Luke: Me too.
(僕も。)

Luke: My mom forced me to wear this so I’d be more like you.
(ママに無理やりこれを着せられたんだ。もっと君っぽくなるようにって。)

Manny: Yeah, because I’d wear a brown belt with black shoes?
(へえ、僕が黒い靴に茶色のベルトを合わせるとでも?)

Modern Family Season8 Episode3 (Blindsided)

relatable は relate to から派生した形容詞で、「親しみやすい、共感できる」という意味です。人だけでなく、話や投稿の内容にも使えます。それぞれの家族が相手の候補に寄せようとした結果、二人とも自分らしくない姿になっているのが面白いところです。マニーの最後の一言は、ルークの着こなしへの指摘になっています。

be more like you の like は「〜のような」で、more like ~ で「もっと〜に近い」となります。誰かに似せようとする、似せられるという場面で使いやすい組み合わせです。

「two individuals」と自分らしさを主張する

二人はこの後、用意した原稿を使わずに話すことにします。演説の場で、マニーはこう切り出します。

Manny: Actually, we’re going to speak together.
(実は、僕たちは2人一緒に話します。)

Manny: Luke and I are here because we each want your votes.
(ルークと僕がここにいるのは、それぞれ皆さんの票が欲しいからです。)

Manny: However, certain people want to change us into being something each of us is not.
(でも、ある人たちは僕たちを、それぞれ本来の自分とは違う何かに変えようとしています。)

Modern Family Season8 Episode3 (Blindsided)

certain people は名前を出さずに「ある人たち」と指す言い方で、聞く人が聞けば誰のことか分かる、という含みを持ちます。ここでは、二人に助言した家族を指していると読み取れます。something each of us is not は「私たちそれぞれが本来そうではない何か」で、自分らしさを奪われることへの反発を表します。

we each want your votes の each は「それぞれ」で、二人が別々に票を求めていることを示します。your votes と聞き手に直接呼びかける点も、演説らしい組み立てと言えます。

家族の反応を挟んで、マニーは演説をこう締め、ルークも短く続きます。

Manny: The point is, we are two individuals with our own unique personalties and ideas.
(つまり、僕たちはそれぞれ独自の個性と考えを持った2人の人間なんです。)

Luke: What he said.
(彼の言うとおり。)

Modern Family Season8 Episode3 (Blindsided)

The point is, は「要するに」と話をまとめる前置きです。individuals は「一人ひとり別の人間」を強調する語で、our own unique ~ と重ねることで違いをはっきりさせています。ルークの What he said. は「今の人の言うとおり」と、前の発言に丸ごと乗る返し方です。

まとめ|聞き手と自分らしさのあいだ

know your audience と relatable は聞き手に寄せる側の言葉、something each of us is not と two individuals は自分らしさを守る側の言葉です。両方を知っておくと、助言する場面でも、それに答える場面でも言葉を選びやすくなります。

演説の場面を観返しながら、二人の言葉の変化を味わってみるのも一つの楽しみ方です。

相談なしの決定をめぐる夫婦の会話や、生徒会長選挙と大学進学の英語は、同じ回のほかのコラムで、個々の表現の使い方はフレーズ記事で扱っています。

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