海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン11 第4話から、the real question is という前置きを取り上げます。母とペニーが親しくなったことに戸惑うレナードは、エイミーに相談し、別の場面では電話口の母に直接問いかけます。この二つの会話で、同じ前置きが違う向きに使われます。
話をずらす表現と、元の質問に引き戻す表現をセットで覚えると、英語の会話で主導権を保ちやすくなります。場面の順に見ていきます。
エイミーの「the real question is」は自分の話への切り替え
ノックで始まる場面で、レナードはエイミーにこう打ち明けます。
Leonard: Penny’s been talking to my mother like they’re best friends, and it’s kind of freaking me out.
(ペニーが僕の母さんと親友みたいに話してて、なんだか落ち着かないんだよ。)Amy: Okay… I’m pretty sure they’re not best friends.
(そう……二人は親友じゃないと思うわ。)TBBT Season11 Episode04
エイミーはこのあと、親友は一人しか持てないもので、ペニーの親友は自分だと続けます。レナードの心配への答えより先に親友の座の話が出てくるところに、二人の関心のずれが表れています。ここから二人の会話はかみ合わなくなります。レナードは母との複雑な関係を語り、エイミーは研究室や結婚式の準備で忙しく、ペニーとの友情をおろそかにしていたかもしれないと自分の話を続けます。そして、次のやり取りへと行き着きます。
Leonard: And why is my mom proud of Penny and not me?
(それに、どうして母さんはペニーのことは誇りに思って、僕のことは思わないんだ?)Amy: I mean, the real question is: why is Penny so afraid of me growing as a person?
(つまり本当の問題は、どうしてペニーは私が人として成長するのをそんなに怖がるのか、ということよ。)Leonard: Okay, well, thanks.
(そっか、まあ、ありがとう。)TBBT Season11 Episode04
the real question is は「本当に問うべきなのは」と、議論の焦点を定め直す前置きです。本来は、表面的な問いの奥にある核心を指し示すときに使われます。ところがこの場面のエイミーは、レナードの問いには答えず、自分が気にしている問いへと切り替えるためにこの前置きを使っています。エイミーはこのあとも、自分にもできることがある、自分の人生を持つ資格がある、と自分の側の主張を重ねます。
直前の I mean, も「つまり」と言い直しを予告する言葉で、話題を自分の側へ寄せる流れを後押ししています。レナードの Okay, well, thanks. は、答えが返ってこないまま会話を切り上げる一言です。well を挟むことで、ひと区切りつけて話を終える響きになります。相手の話が自分の質問からそれ続けたとき、深追いせずに会話を閉じる締め方としても応用できます。
ビバリーの「isn’t the real question」と、引き戻す「let’s stick with」
電話の場面では、ビバリーが it’s been lovely catching up(近況が話せてよかったわ)と会話を締めくくろうとします。近況報告を終えるときの決まり文句で、ここで電話を終える流れになりかけます。
それをレナードは Hang on.(ちょっと待って)と We need to talk.(話がある)で引き止めます。We need to talk. は、改まって本題を切り出すときに使われる一言で、軽い雑談とは違う話だという合図にもなります。続くやり取りで、同じ前置きが今度は母の口から出ます。
Leonard: I want to know, why aren’t you proud of me?
(知りたいんだ。どうして僕のことを誇りに思ってくれないの?)Beverly: Well, isn’t the real question, “Why aren’t you proud of yourself?”
(あら、本当の問題は「なぜあなたは自分を誇りに思えないのか」じゃないかしら?)Leonard: No, that is a question– and I ask it a lot– but let’s stick with the one I asked you.
(いや、それも一つの問いだし、僕もよく考えるけど、今は僕が聞いた方の質問でいこうよ。)TBBT Season11 Episode04
ビバリーは isn’t the real question ~? と否定疑問の形にして、相手への問いを相手自身への問いに置き換えています。エイミーが自分の関心事へずらしたのとは逆に、矛先を質問した本人へ向け直す使い方です。
レナードの let’s stick with ~ は「〜から離れないでおこう」という表現で、the one I asked you(僕が聞いたほう)と組み合わせて、すり替えられた話を元の質問へ戻しています。the one は、直前に出た question を受ける代名詞です。
ビバリーはさらに But why do you think ~?(でも、なぜそう思うの?)と質問で返しますが、レナードは「一度も言ってくれないから」と理由を示し、最後にビバリーから答えを引き出します。質問で返されたときも、理由をはっきり言葉にすれば話が元の筋に戻る、という流れが分かります。
まとめ|ずらす前置きと戻す一言
今回は、the real question is が自分の話への切り替えにも、相手への問い返しにも使われる場面と、let’s stick with the one I asked you で本題へ戻す流れを見てきました。ずらす側と戻す側の表現を両方知っておくと、会話の舵取りがしやすくなります。
かみ合わない会話の中に英語の駆け引きが見えてくるのも、『ビッグバン★セオリー』の楽しみ方の一つです。
同じエピソードを扱ったほかのコラムやフレーズ記事でも、この回の会話の別の顔が見えてきます。


コメント