「play this card」の意味と使い方|『モダンファミリー』S08E03で学ぶ英会話

「play this card」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

話し合いが平行線のまま進まなくなると、「年上の自分が決めたことだ」と立場を持ち出して、話を終わらせようとする人がいます。

そんな場面にぴったりの「play this card」を、『モダンファミリー』シーズン8第3話の中盤、ルークの部屋で生徒会長選をめぐる言い合いが続くなか、父のジェイが、一族の長という立場を持ち出して話を終わらせようとする一言から、一緒に見ていきましょう。

目次

「play this card」の意味とニュアンス

play this card
意味:(切り札として)この手を使う、特別な立場や事情を持ち出す

play this card は、自分に有利な事情や立場を、議論や交渉の場に持ち出すことを表す比喩表現です。card はトランプなどの「札」、play は「札を出す」という意味で、手札のなかから一枚を選んで場に出す動きが、そのまま表現の元になっています。

this card が何を指すのかは、前後の文脈で決まります。台詞では、直後に続く I am the patriarch という内容が、その札の中身です。this の代わりに the を使い、年齢を持ち出すなら the age card、同情を誘うなら the sympathy card のように、札の名前を間に入れる形もあります。

この表現は、持ち出す側が少し気が引けている場面でも、強く押し切ろうとする場面でも使えます。I don’t like to play this card, but… のように前置きを付けると、「本当は使いたくない手だが」という断りのニュアンスが加わります。

動詞は play を使い、use ではなく play と言うところに、札を一枚ずつ場に出す感覚が残っています。持ち出す側は、使える札をいくつか持っていて、その中から一つを選んで見せる立場に立ちます。受け取る側は、その札が自分に通用するかどうかを判断することになります。

日本語にするときは、「この手を使う」「切り札を出す」「立場を持ち出す」「事情を盾にする」といった言い方が近くなります。持ち出す中身が立場なのか事情なのかによって、訳語を選び分けると自然に聞こえます。

【ここがポイント!】

  • 「play this card」の核は、手札から一枚を場に出すように、有利な事情や立場を持ち出す動き
  • this card の中身は文脈で決まり、年齢や立場、同情などが入る
  • I don’t like to play this card, but… の前置きで、使う側の気持ちまで伝わる

『モダンファミリー』S08E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ルークの部屋で、生徒会長の座をめぐる言い合いが続く場面です。グロリアは、マニーが長く目指してきた座をルークが奪うのは不公平だと訴え、クレアはルークにとっても大事なことだと返します。ジェイは、今期はマニーが会長を務め、ルークは来年にすると決めたと告げたあと、自分の立場を持ち出します。

Jay: I don’t like to play this card, but I am the patriarch, and I have spoken.
(この手は使いたくないんだが、俺は一族の長だ。俺が決めたことだぞ。)

Claire: Not much of a card, Dad, ‘cause I don’t really care. So, how about the two of you get going, because Luke has a speech to work on?
(たいしたカードじゃないわね、お父さん。私は別に気にしないもの。だから二人とも、そろそろ行ってくれない? ルークはスピーチを仕上げなきゃいけないの。)

Jay: You want to go up against the Pritchett political machine? So be it.
(プリチェット家の政治マシンに逆らうつもりか。いいだろう。)

Luke: Bye, Grandpa!
(バイバイ、おじいちゃん!)

Jay: Bye, kiddo!
(じゃあな、坊主!)

Modern Family Season8 Episode3 (Blindsided)

シーン解説と心理考察

ジェイは I don’t like to play this card と前置きをしてから、I am the patriarch, and I have spoken. と続けます。使いたくないと言いながら、実際には自分の立場を前面に出して話に区切りをつけようとする、権威をまとった言い方が伝わってきます。

クレアの返しは、Not much of a card, Dad です。ジェイが出した札を、「たいした札ではない」と評価する言い方で、続く ‘cause I don’t really care が、その理由を端的に示しています。父の立場という手札は、娘には効かなかったことになります。

ここで注目したいのは、クレアが札の強さそのものに反論していることです。「そんな立場は認めない」と否定するのではなく、「その札を出されても、自分の気持ちは動かない」と返しています。札を出された側にも、受け取るかどうかの選択権があることが見えてきます。

クレアはそのまま、how about the two of you get going と、ジェイとグロリアに部屋を出るよう促します。Luke has a speech to work on という理由づけは、話題をルークのスピーチ準備へ戻す形です。

ジェイは You want to go up against the Pritchett political machine? So be it. と受けて立ちます。So be it は「それならそれでいい」という意味で、引き下がるのではなく、対立を受け入れる言い方として響きます。ルークの Bye, Grandpa! に、ジェイが Bye, kiddo! と返す最後のやり取りには、言い合いのあとでも祖父と孫の挨拶が普通に交わされる空気があります。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

カードゲームの場面を思い浮かべてみましょう。手札のなかに、とっておきの一枚があります。それを場に出すと、勝負の流れが変わるかもしれません。ただし、出した札が相手に通じるとは限りません。

出す側の目線で考えると、使いたくないと言いながら札を出すのは、相手に「ここまで言わせるな」と伝える動きでもあります。前置きの I don’t like to が、その合図として働いています。

ジェイが出した札は「一族の長である」という立場でした。クレアはその札を前にして、「たいした札じゃない」と言います。this card の中身は、直後に続く「一族の長」という一言で場に示されます。

例文で覚える「play this card」

自分の立場や事情を持ち出す場面で使う play this card を、3つの例文で確認していきましょう。

I hate to play the age card, but I’ve been doing this job for thirty years.
(年を持ち出したくはないが、私はこの仕事を30年やってきたんだ。)
経験を理由に意見を通す場面です。the age card のように、札の名前を間に入れる形になっています。

The manager played the boss card and ended the discussion.
(マネージャーは上司という立場を持ち出して、議論を打ち切った。)
立場で話を終わらせる職場の場面です。過去形の played に、議論を打ち切った結果が続いています。

A: You’re really going to use that excuse?
B: I didn’t want to play this card, but I have a doctor’s note.
(A:本当にその言い訳を使うの?)
(B:この手は使いたくなかったけど、診断書があるんだ。)
最後の手を出す場面の会話です。ドラマの台詞と同じ形の前置きに、手元の事情を続けています。

あわせて覚えたい関連表現

pull rank
(地位や立場を振りかざす)
pull rank は、上下関係の立場を使う場合に限られます。play this card は、年齢や事情、同情など、立場以外の札も含められる点が違いです。

trump card
(切り札)
trump card は、切り札そのものを指す名詞です。play this card は、札を出す動作を動詞で描く表現です。

have an ace up one’s sleeve
(とっておきの切り札を隠している)
have an ace up one’s sleeve は、札を隠し持っている状態を表します。play this card は、その札を場に出す瞬間を表している点で、時点が異なります。

Note|日本語の「切り札」と違う、play this card が指す「持ち出す手」

play this card を「切り札を切る」と訳すと、意味がずれる場面があります。日本語の「切り札」は、頼れる最後の一手という前向きな響きを持ちます。一方、play this card の card は、頼りになる最後の一手とは限りません。

play the ___ card の形では、札の名前に age、sympathy、boss など、持ち出す中身が入ります。つまり card は「切り札」というより、「持ち出せる事情や立場の一つ」を指す語です。this card と指さす形は、直前や直後で語られた中身を、その札として扱う使い方です。

ジェイの台詞では、this card の中身は I am the patriarch でした。クレアが Not much of a card と返すのも、同じ比喩のまま、その札は大した強さではないと評価する言い方です。日本語に直すなら、「一族の長という立場を持ち出す」「その手を使う」のように、中身を示して訳すとずれが減ります。

訳す前に、「何が札として出されたのか」を一度言葉にしてみます。そうすると、「切り札」の一語では届かない中身が見えてきます。

まとめ|出された札を、娘が受け流す場面

play this card は、自分に有利な立場や事情を、議論の場に持ち出すことを表す表現です。this card の中身は文脈で決まり、play the age card のように札の名前を入れる形でも使えます。

ジェイが I don’t like to play this card と前置きして一族の長という立場を出し、クレアが Not much of a card と受け流す。同じカード遊びの比喩を使ったまま、父の権威と、それに動じない娘の返しが交差する場面でした。

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