海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
ニュースや身近な出来事を見て、「この先、どうなってしまうんだろう」と不安がよぎった経験はありませんか。
そんな気持ちを言い表す「fear for someone/something」を、『モダンファミリー』シーズン8第5話の後半、パーティーの場面でマニーが、この国の行く末を案じる一言から、一緒に見ていきましょう。
「fear for someone/something」の意味とニュアンス
fear for someone/something
意味:〜の身を案じる、〜の行く末を心配する
fear for someone/something は、人や物事に悪いことが起きるのではないかと、気にかける言い方です。fear は「恐れる」、for は「〜のために」を表すので、「〜のために恐れる」という文字どおりの意味から、「〜の身の上や行く末を案じる」という意味が生まれます。
大切なのは、for のあとに置くものが、恐れる原因ではなく、心配している対象であることです。fear for his safety なら、「彼の安全を案じる」で、危険にさらされているかもしれないのは彼の安全のほうです。fear for the future なら、「将来を案じる」で、先行きが悪くなりそうな対象が the future です。
someone/something の位置には、人でも物事でも置けます。fear for my sister なら人、fear for the economy なら物事です。作中の言い方は I fear for this country. で、this country(この国)が心配の対象として置かれています。
ニュアンスとしては、やや改まった響きがあります。日常会話で「心配だ」と言うときの worry about よりも、状況の深刻さや、悪い結果への懸念が前に出ます。そのため、小さな心配ごとに使うと、大げさに聞こえる場合があります。
なお、fear の直後に対象を置く形は、別の意味になります。fear spiders なら「クモを恐れる」、fear failure なら「失敗を恐れる」で、恐れる原因そのものが後ろに来ます。for を挟むかどうかで、後ろに置くものの役割が変わります。
【ここがポイント!】
- 「fear for someone/something」の核は、悪い結果を気にかけて案じること
- for のあとには、恐れる原因ではなく、心配している対象を置く表現
- fear の直後に置く形とは、後ろに来るものの役割が違うのがコツ
『モダンファミリー』S08E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ドロシー・パーカーに扮した女の子が、マニーの仮装を褒めたあとの会話です。そこへフィルが、パーティーの様子を告げる声をかけます。その流れの最後に、マニーが短く言葉を返します。
Dorothy Parker: You’re the first person tonight who’s actually gotten that.
(今夜、本当に分かってくれたのはあなたが初めてよ。)Manny: I know how that feels.
(その気持ちは分かるよ。)Phil: Yo, yo, yo! Awesome rager on the ground floor! Upstairs off-limits! Backyard, too, ‘cause it just got re-sodded! What’s up, buddy?
(よう、よう、よう! 一階は最高に盛り上がってるぜ! 二階は立ち入り禁止! 裏庭もだ、芝を張り替えたばかりだからな! どうだい、相棒?)Dorothy Parker: Typical high-school idiot.
(いかにも高校生のおバカさんね。)Manny: I fear for this country.
(この国の行く末が心配だよ。)Modern Family Season8 Episode5 (Halloween IV: Revenge of Rod Skyhook)
シーン解説と心理考察
女の子の You’re the first person tonight who’s actually gotten that. は、今夜、本当に分かってくれた人は目の前の相手が初めて、という意味です。マニーの仮装が通じたことへの、率直な言葉です。マニーの I know how that feels. は、その気持ちは分かる、という共感の返事で、二人のあいだに共通の感覚があることが伝わってきます。
そこへフィルが Yo, yo, yo! と声をかけます。一階の盛り上がりや、二階と裏庭の立ち入り禁止を、勢いよく並べる一言です。呼びかけの buddy は、相手を親しく呼ぶ言葉ですが、誰に向けた呼びかけかは、この発言だけでは示されていません。
続く女の子の Typical high-school idiot. は、短く言い切った一言です。直前のフィルの発言を受けたものと読めますが、誰を指しているのかは、発言そのものには出てきません。
最後の I fear for this country. が、フレーズの出番です。マニーは、女の子の一言を受けて、この国の行く末が心配だと言います。心配の対象を this country という大きな言葉で置いているのが特徴で、目の前の出来事に比べて、言葉の規模がぐっと大きくなっています。
共感の会話から、フィルの声かけ、女の子の一言へと続き、最後にマニーが大きな言葉で受ける流れです。言葉の規模と目の前の出来事とのあいだの落差が、この場面の見どころです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
fear は「恐れる」、for は「〜のために」です。誰かの後ろに立って、その人に向かって飛んできそうな何かを、心配そうに見つめている姿を思い浮かべてみましょう。恐れる気持ちが向かっている先は、自分ではなく、前に立つその人です。
「〜のために(for)恐れる(fear)」と順に読むと、fear for someone の意味が自然につかめます。for の矢印の先に、心配している対象が置かれると考えると、「恐れる原因」と「心配する対象」を取り違えにくくなります。
マニーの I fear for this country. は、この絵の中で、後ろに立って見つめる対象が、国全体になった形です。ひとりの人ではなく、広い範囲を見渡して、心配そうに見つめている絵になります。
fear の直後に置く形は、自分が怖いものを指します。fear for は、心配する先に矢印が向く形です。矢印の向きで覚えておくと、取り違えにくくなります。
例文で覚える「fear for someone/something」
人にも物事にも使える fear for を、3つの例文で確認していきましょう。心配の対象がどこに置かれているかに注目です。
I fear for her safety when she drives home late at night.
(夜遅くに車で帰る彼女の安全が心配だ。)
家族や友人の身を案じる日常の場面です。for のあとに、心配している対象である safety が置かれています。
Many employees fear for their jobs after the merger announcement.
(合併の発表を受けて、多くの社員が自分の仕事の先行きを案じている。)
会社の動きに不安を抱く、職場の場面です。物事である jobs が、案じる対象として置かれています。
A: You look worried. What’s wrong?
B: I fear for my brother. He’s traveling alone.
(A:心配そうだね。どうしたの?)
(B:弟のことが心配なんだ。ひとりで旅行しているから。)
気がかりを打ち明ける、往復の会話です。B の返事は、fear for のあとに人を置き、理由を続ける形になっています。
あわせて覚えたい関連表現
worry about someone/something
(〜のことを心配する)
worry about は、日常的な心配ごとに広く使える言い方です。fear for は、悪い結果への懸念が前に出る、やや改まった言い方です。
be afraid for someone
(〜の身を案じる)
be afraid for someone は、fear for someone と近い意味で、for の後ろに心配の対象を置く形です。be afraid of someone は、「〜を怖がる」と、怖がる原因を後ろに置く形になります。
fear the worst
(最悪の事態を恐れる)
fear the worst は、fear の直後に the worst を置いて、最悪の結果を恐れる言い方です。fear for が心配の対象を示すのに対し、こちらは恐れる中身を示します。
Note|fear と fear for、worry about と be afraid of の使い分け
fear に for が付くかどうかで、後ろに置くものの役割が変わります。この違いを、worry about や be afraid of と並べて整理します。
まず fear の直後に対象を置く形です。fear spiders は「クモを恐れる」、fear failure は「失敗を恐れる」で、後ろに来るのは恐れる原因です。恐れている本人が、その原因を怖いと感じています。一方、fear for のあとには、心配している対象が来ます。fear for my brother は、弟を恐れているのではなく、弟の身を案じている、という意味です。
be afraid にも、同じ違いがあります。be afraid of spiders はクモが怖い、be afraid for my brother は弟の身を案じる、という意味です。of と for の違いが、恐れる原因か心配する対象かの違いに対応しています。
worry about は、この2つとは別の動詞です。about のあとに、心配ごとの内容が来ます。worry about the exam なら、試験のことを心配する、です。fear for と worry about は、どちらも「心配する」と訳せますが、fear for は悪い結果の気配が強く、worry about は日常的な気がかりにも使えます。
今回のマニーは、this country を for のあとに置いて、国を心配の対象にしています。
前置詞の違いで、後ろに置くものが決まります。
まとめ|心配の矢印が向かう先を示す一言
fear for someone/something は、人や物事に悪いことが起きないかと案じる表現です。for のあとに心配している対象を置き、恐れる原因を置く fear の直後の形とは、役割が違います。
やや改まった響きがあるので、深刻な懸念を伝えたいときに向いています。身近な人の安全でも、会社や社会の先行きでも、対象を入れ替えて使えます。
小さな共感の会話にフィルの声かけが入り、最後にマニーが国という大きな言葉で返す。その落差が、短いやり取りの中に残るシーンでした。


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