海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
去年の失敗を話の流れで持ち出されると、「あれは新しいことに挑戦しただけなんだよ」と言い返したくなる場面があります。
そんな場面にぴったりの「take a swing at」を、『モダンファミリー』シーズン10第10話の前半、ツリーが見当たらないクリスマスイブにクレアとルークが交わす会話から、一緒に見ていきましょう。
「take a swing at」の意味とニュアンス
take a swing at
意味:(〜に)挑戦してみる、試しにやってみる
take a swing atは、うまくいくかどうか分からないことに、とりあえず手を出してみるときの口語表現です。swingは「(腕やバットを)振ること」、take a swingは「一振りする」、atは「的に向かって」という意味です。バットを一度振ってみる動きから、結果を気にする前にまず試してみる、という意味に広がっています。
atの後ろには、挑戦する対象を置きます。take a swing at a new recipe(新しいレシピに挑戦してみる)のように名詞を置くほか、take a swing at writing a novel(小説を書くことに挑戦してみる)のように動名詞を置く形もあります。時制は、過去の出来事ならtook a swing at、今の話ならtake a swing atと、takeの形を変えるだけです。
重視されるのは「やってみたこと」で、成功したか失敗したかは、この表現自体は言っていません。成果を誇る言い方ではなく、「試みた」という行動に焦点を当てる言い方になっています。
同じ形が、後ろに人を置くと別の意味になる点も押さえておくと整理しやすくなります。take a swing at himのように人を目的語にすると、「彼に殴りかかる」という意味です。どちらの意味かは、atの後ろに何が来ているかで判断できます。
【ここがポイント!】
- 「take a swing at」の核は、バットを一振りしてみる動作のイメージ
- 成果ではなく、試してみたこと自体に焦点が当たる表現
- atの後ろが新しい物事なら「挑戦」、人なら「殴りかかる」に分かれるのがコツ
『モダンファミリー』S10E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ツリーが見当たらない状況で、ルークが「少なくともリースは置いていってくれた」と言うところから会話が始まります。クレアが言葉の言い方を直し、困りごとが口にされたところで、ルークが去年のことに触れます。それに答えるクレアの一言に、「試しにやってみた」の意味で使われるフレーズが出てきます。
Luke: At least he left the “wreaf.”
(少なくとも、「リーフ」は置いていってくれたよ。)Claire: Wreath.
(リースよ。)Luke: Eh, I’ve heard it both ways.
(まあ、どっちの言い方も聞いたことあるけど。)Claire: No, I have, too. Doesn’t make it right.
(いえ、私もあるわ。でも、それで正しいことにはならないの。)— What are we supposed to do? We can’t host a Christmas without a tree.
(どうしたらいいんだろう。ツリーなしでクリスマスは主催できないよ。)Luke: I thought you weren’t allowed to host Christmas anymore after last year.
(去年のあとは、もうクリスマスを主催しちゃいけないことになったんだと思ってた。)Claire: I took a swing at a new way to prepare turkey.
(ターキーの新しい調理法に挑戦してみたのよ。)Modern Family Season10 Episode10 (Stuck in a Moment)
シーン解説と心理考察
ルークが口にした「リーフ」に、クレアはすぐ「リースよ」と短く訂正を入れます。ルークは「どっちの言い方も聞いたことある」と軽く受け流しますが、クレアは「私もあるわ。でも、それで正しいことにはならないの」と譲りません。ツリーがない状況でも、言葉の細かいところを直さずにいられない様子が、会話の温度を決めています。
そのあとに出るのが、「ツリーなしでクリスマスは主催できない」という困りごとです。それを受けて、ルークは「去年のあとは、もう主催しちゃいけないことになったんだと思ってた」と、去年の出来事に触れます。遠回しにしない、率直な一言です。
クレアは、その指摘に対して謝るのでも反論するのでもなく、「ターキーの新しい調理法に挑戦してみたのよ」と答えます。去年に何があったかの細かい経過や、結果がどうだったかは、この答えの中では語られません。語られているのは「新しいやり方を試した」という一点だけです。結果を脇に置いて、試みたことだけを前に出す言い方として響きます。
take a swing atが選ばれていることで、「新しい調理法に手を出してみた」という軽い響きになり、失敗をはっきり認める言い方にも、強く弁解する言い方にもなっていません。「挑戦してみた」という言葉選びで去年の件を受け止めている点が見どころです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
野球のバッターボックスに立ち、まだ当たるか分からないボールにバットを一振りする姿を、頭に描いておきます。swingは振る動作、atはボールという的への向きです。空振りでも、当たっても、まず振ってみることがtake a swingの出発点です。
クレアにとってのバットは、ターキーの新しい調理法でした。ボールに当たったかどうかは話さず、バットを振ったことだけを語る形です。バッターボックスで一振りする絵を頭に置いておくと、結果ではなく「挑んだ事実」を言う表現だという芯がつかみやすくなり、料理や仕事の話題にそのまま当てはめられます。
例文で覚える「take a swing at」
挑戦する対象が変わっても、形は同じです。場面の違う3つの例文で、使い方を確かめていきましょう。
I took a swing at baking bread for the first time last weekend.
(先週末、初めてパン作りに挑戦してみました。)
趣味の話をする日常の場面です。for the first timeと組み合わせると、初めて挑戦したという意味が強まります。
Why don’t you take a swing at the new project? You might surprise yourself.
(新しいプロジェクトに挑戦してみたら? 自分でも驚くかもしれないよ。)
同僚の背中を押す職場の場面です。Why don’t you …?の形にすると、軽く勧める言い方になります。
A: Did you ever try painting?
B: Yeah, I took a swing at it last summer.
(A:絵を描いてみたことある?)
(B:うん、去年の夏に試しにやってみたよ。)
経験を尋ね合う往復会話です。itで前の話題を受けて、短く答えられます。
あわせて覚えたい関連表現
take a stab at
(試しにやってみる)
take a swing atとほぼ同じ意味で、stab(突き刺す)のイメージから「手を出してみる」感じが出ます。振る動作か突く動作かが、表現の元の絵の違いです。
give it a shot
(ちょっとやってみる)
「一度やってみよう」と相手を促す場面でも使える言い方です。give it a shotは物事をitで受ける形で、take a swing atはatの後ろに挑戦の対象を置く形です。
have a go at
(〜に挑戦してみる)
take a swing atと同じ「試す」の意味で使えます。have a go at 人のように人を目的語にすると、「〜を責める」の意味にもなる点が違います。
Note|「振る」から「挑戦する」へ、take a swing atの訳し分け
take a swing atを日本語にするとき、「挑戦してみる」と「殴りかかる」の2つの訳が出てくるのが、この表現の特徴です。どちらも元の動作はswing(振る)ですが、訳し分けの基準は、atの後ろに何が来ているかにあります。
後ろが物事のときは、「試しにやってみる」です。He took a swing at the ball and missed.のように、後ろがボールなら、そのままバットを「振る」動作で、「空振りでした」と訳せます。I took a swing at a new recipe.のように、後ろがレシピや企画なら、「挑戦してみた」になります。後ろが人のとき、たとえばThe boxer took a swing at his opponent.なら「殴りかかった」になり、動作が体に近づく分だけ、意味が物理的になります。つまり、同じ「振る」でも、的がボールなら振る、物事なら試す、人なら殴りかかると、訳が連続的に変わっていきます。
作中のクレアの文は、atの後ろがa new way to prepare turkeyで、新しい調理法です。ここは「挑戦してみた」の意味になります。
日本語では別の動詞になる場面でも、英語は「振る」というひとつの動作でまとめている点が、この表現の特徴です。
まとめ|結果ではなく「挑んだこと」を言う一言
take a swing atは、うまくいくか分からないことに、まず手を出してみるときの表現です。バットを一振りする動作から、「試しにやってみる」の意味に広がっています。
料理、趣味、仕事の新しい企画など、どんな挑戦にも使えます。結果を語らず、試した事実だけを軽く伝えられるのが、この表現の使いやすさです。atの後ろが人になると意味が変わる点だけ、頭の片隅に置いておけば十分です。
took a swing atと過去形にすれば、すでに済んだ挑戦をさらりと振り返る言い方になります。料理の失敗談や新しい趣味の話を切り出すときの、軽い前置きとして使えます。


コメント