海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
期待して選んだのに、結果はさっぱりだったということがあります。そんな出来の悪さを、一言で言い切る表現があります。
その一言「a real lemon」を、『モダンファミリー』シーズン10第16話の後半、フィルが自分のマジックを評する場面から、一緒に見ていきましょう。
「a real lemon」の意味とニュアンス
a real lemon
意味:とんだ欠陥品、出来損ない、ひどい失敗作
lemonは、果物のレモンを指す語です。それとは別に、口語では、買ってみたら不具合だらけだった商品や、期待外れで出来の悪いものを指す意味があります。特に、中古車のような高い買い物の欠陥品を指す言い方として、辞書にも載っています。
realは「本当の、まぎれもない」という意味の形容詞で、lemonの前に置くと、「どこから見ても出来の悪いもの」という強調になります。日本語に移すなら、「とんだ」「とんでもない」が近い響きです。
realを外したa lemonだけでも、欠陥品の意味は通ります。realが付くと、「見るからに」「どこから見ても」という強調が加わり、評価がいっそう厳しくなります。
文の形では、be a lemonのほか、turn out to be a lemon(結局は欠陥品だった)や、get a lemon(欠陥品をつかまされる)があります。lemonは数えられる名詞なので、a lemonのように、aを付けて使います。
作中のフィルは、This trick’s a real lemon.と言っています。This trick’sはThis trick isの短縮形です。商品の不具合に使うlemonを、ここでは自分のマジックの出来に当てはめています。
【ここがポイント!】
- 「a real lemon」の核は、期待したのに出来が悪かった、という欠陥品のイメージ
- realが「まぎれもない」という強調を加える。lemonは数えられる名詞なので、aを付ける
- be a lemon、turn out to be a lemon、get a lemonの形で使える
『モダンファミリー』S10E16のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルがジャガイモを使ったマジックの口上を続けるなか、ヘイリーとディランが言葉を交わす場面です。二人は、それぞれ違う反応を見せます。
Phil: Anybody here from out of town?
(この中に、遠くから来た人はいるかな?)Haley: I feel bad. Should we wake him up?
(なんか悪い気がする。起こしたほうがいいかな?)Dylan: Not until we find out where the potato is. It’s under that one, right?
(ジャガイモがどこにあるかわかるまではだめだよ。あのカップの下だよね?)Phil: Is the potato here? Is the potato here? Ohh. This trick’s a real lemon.
(ジャガイモはここかな? ここかな? あー。このマジック、とんだ失敗作だよ。)Modern Family Season10 Episode16 (Red Alert)
シーン解説と心理考察
フィルの口上に続いて、まずヘイリーが「なんか悪い気がする。起こしたほうがいいかな?」と口にします。フィルの様子を気にかける、思いやりの一言です。
それに対してディランは、「ジャガイモがどこにあるかわかるまではだめだよ」と、ヘイリーの提案を止めます。ディランの関心は、フィルの様子よりも、ジャガイモの行方にあります。「あのカップの下だよね?」と、自分の見当まで口にしていて、マジックの結末を見届けたい気持ちが前に出ています。
そこへフィルが、「ジャガイモはここかな? ここかな?」と同じ問いを2回重ねて口上を続け、「あー」と言ってから、a real lemonを含む一言を続けます。この評価が向かう先は、他人ではなく、フィル自身のマジックです。「とんだ失敗作だよ」と、自分の出し物をこき下ろしています。
気づかうヘイリー、結末を知りたがるディラン、口上を続けるフィルと、3人の関心の向きがそろっていない点が、この場面の面白さです。そのずれの中で、a real lemonという強い言い切りが、自分の出し物に向けられています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
色鮮やかなレモンは、見た目だけなら申し分のない果物です。つややかな黄色を見れば、誰でも期待を抱きます。ところが、かじってみると想像以上に酸っぱくて、期待は外れてしまいます。a real lemonは、この「見た目と中身のずれ」を言葉にした表現です。
期待して手に取ったものが、思ったほどの出来ではなかったとき、この言い方が当てはまります。買い物でも、企画でも、出し物でも、期待が大きかったほど、ずれの大きさが言葉に表れます。フィルの「とんだ失敗作だよ」は、自分の出し物をそのレモンに見立てた一言として、覚えておけます。
例文で覚える「a real lemon」
商品、持ち物、事業と、対象を変えた例文を順に見ていきます。
The used car I bought turned out to be a real lemon.
(僕が買った中古車は、結局とんだ欠陥品だった。)
買い物の失敗談を語る場面です。turned out to beの形で、買ったあとで欠陥品だと分かった経緯が伝わります。中古車という、高い買い物の失敗を表すのにも合う例です。
A: How’s your new phone?
B: A real lemon. The battery dies in an hour.
(A:新しいスマホはどう?)
(B:とんだ欠陥品だよ。バッテリーが1時間でなくなるんだ。)
買ったものに不満を言う往復会話です。A real lemon.だけで答えを言い切り、続けて理由を添えています。主語や動詞を省いた短い答え方でも、意味は十分に伝わります。
Our first product was a real lemon, but we learned a lot from it.
(うちの最初の製品はとんだ失敗作だったが、そこから多くを学んだ。)
過去の失敗を振り返る職場の場面です。butのあとに前向きな言葉を続けて、失敗を経験に変えています。
あわせて覚えたい関連表現
a dud
(不発のもの、役に立たないもの)
本来は、動かない、不発のものを指します。a dudは機能しないことに重点があり、a lemonは、買った商品などの期待外れの欠陥品に重点があります。
a flop
(大失敗)
映画や企画、イベントなどが、受けなかったことを指します。a flopは受けなかった結果に重点があり、a real lemonは、物の出来の悪さを強調します。
a bust
(期待外れ、失敗作)
期待外れの結果全般を指す、くだけた言い方です。a real lemonは、物の出来の悪さをはっきり言い切る場面に向いています。
Note|果物のレモンと欠陥品のlemon、対象で変わる日本語の訳し分け
lemonには、果物と、欠陥品や出来損ないという、二つの意味があります。日本語の「レモン」は果物の名前なので、a real lemonを「本物のレモン」と訳してしまうと、意味が通らなくなります。
見分けるときの目安は、文脈です。買った物の話をしていて、その性能や出来を評価している文なら、欠陥品の意味です。realやturn out to beが付いていれば、評価の文だと分かりやすくなります。反対に、料理や飲み物の話の中で出てくれば、果物のレモンです。
欠陥品の意味でも、日本語の訳し方は対象で変わります。商品や機械が相手なら、「欠陥品」「不良品」「ハズレ」が合います。作品や企画、出し物が相手なら、「失敗作」「出来損ない」が自然です。作中のフィルは、自分のマジックを評しているので、「とんだ失敗作」と訳しています。「欠陥品」と訳すと、マジックという行為より、道具の不具合を指しているように読めてしまうからです。
訳語は、対象が物か作品かを見て決めるのが近道です。迷ったときは、「買ったもの」なら欠陥品、「披露したもの」なら失敗作、という目安が使えます。
まとめ|期待と中身のずれを言い切る
a real lemonは、期待して選んだものが、出来の悪いものだったときに使う言い切りの表現です。lemonは数えられる名詞で、realがまぎれもないという強調を加えます。
商品なら「欠陥品」、作品や出し物なら「失敗作」と、対象に合わせて訳し分けられます。realを付けるかどうかで、強調の度合いも変わります。a dudやa flop、a bustと並べて、何の出来の悪さを言いたいのかで選ぶと、表現の幅が広がります。
フィルは、自分のマジックを、この一言で評しました。自分の出し物に点数をつけるような言い切りが、このフレーズの使いどころを教えてくれます。


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