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『モダンファミリー』シーズン5第18話では、大人たちがラスベガスのホテルに泊まり、フィルのもとには執事のヒギンズが現れます。かしこまった言葉づかいの執事と、気さくなフィルの会話は、話し方の差がはっきり出る組み合わせです。
客に仕える側の決まり文句と、困りごとを打ち明ける側の言い方は、旅行先のホテルやお店でも役に立つ表現です。二人の往復を、場面の順に追っていきます。
「beck and call」仕える側の決まり文句
ヒギンズは、フィルに自分の役目を次のように伝えます。
Higgins: As an Excelsior guest, uh, I’m at your beck and call 24/7.
(エクセルシオールのお客様ですので、ええ、24時間いつでもお申しつけください。)Modern Family Season5 Episode18 (Las Vegas)
be at someone’s beck and call は、呼ばれればいつでもすぐに応じる、という意味の言い回しです。beck は手招きや合図を表す古い語で、現在はほぼこの決まった形でしか使われないと言われます。24/7 は twenty-four seven と読み、「24時間・週7日」、つまり「いつでも」を表します。
この言い回しは、仕える側が自分から言えば「何でもお申しつけください」という丁寧な申し出になります。一方で、誰かに振り回されている人が使うと「いつも呼びつけられている」という不満にもなるため、使う場面には少し注意が要る表現と言えます。
別の場面で、ヒギンズは再びフィルに声をかけます。
Higgins: Ah, Mr. Dunphy! How are we this evening?
(おや、ダンフィー様! 今晩のご気分はいかがでしょう?)Phil: Not so good.
(あんまりよくない。)Phil: I’m in a tight spot with my lady.
(妻とちょっと、まずいことになっててね。)Modern Family Season5 Episode18 (Las Vegas)
How are we this evening? は、相手の調子を尋ねるのに主語を we にした言い方で、接客や看護の場面で親しみを込めて使われることが多いと言われます。フィルの I’m in a tight spot with ~ は「〜との関係で窮地にいる」という打ち明け方です。マジックの練習の間、クレアを構っていなかったことは、フィル自身が話しています。
「hot water」に掛けた提案と「mind reader」
フィルは埋め合わせの方法を思いつき、ヒギンズに相談します。
Phil: You know what might help? One of those one of those luxury baths.
(何が効くと思う? あれだよ、あれ、豪華なお風呂。)Higgins: Ah, get yourself out of some hot water by getting her into some.
(なるほど、奥様をお湯につからせて、ご自身は窮地というお湯から抜け出す、と。)Phil: Wow, so good.
(うまい、最高。)Modern Family Season5 Episode18 (Las Vegas)
You know what might help? は「何が効くと思う?」と問いかけてから自分の案を出す、相談の切り出し方です。相手に答えを委ねるように見せながら、すぐに自分の案へつなげられるのが、この形の便利なところです。ヒギンズの返しは、be in hot water(困った立場にいる)という言い回しを本物のお湯に掛けた言葉遊びで、フィルが「うまい」と感心するのも納得の一言です。
風呂の種類を一つ勧められると、フィルはこう返します。
Phil: You are a mind reader.
(あんた、心が読めるんだな。)Higgins: I’m not a mind reader, sir.
(心は読めません。)Higgins: I’ve just been in the bath-buttling business since the early ’90s, despite my fresh face, so I tend to know what these situations need.
(ただ、この若々しい顔に似合わず、90年代初めから風呂担当の執事をしておりますので、こういう状況に何が必要かはおおむね分かるのです。)Phil: I’ll get the water going.
(じゃあ、お湯を入れておくよ。)Modern Family Season5 Episode18 (Las Vegas)
You are a mind reader. は、ちょうど望んでいたものを言い当てられたときの決まり文句です。ヒギンズはそれを否定し、経験から分かるのだと説明します。I tend to know ~ は「たいてい〜が分かる」と、言い切らずに経験を語る控えめな形です。get the water going は「お湯を出し始める」という意味で、何かを始動させる get ~ going の形が使われています。経験を理由に挙げて謙遜するヒギンズの答え方は、褒められたときの返し方としても参考になります。
「I’m sorry?」噛み合わない受け答え
あとの場面で、戻ってきたヒギンズにフィルがクレアの様子を尋ねます。
Phil: How’s Claire seem?
(クレアの様子はどう?)Higgins: I’m sorry?
(はい?)Phil: You must have seen her out there.
(向こうで見かけただろ。)Phil: Is she mad? W-what’s she doing?
(怒ってる? な、何してる?)Higgins: Uh, she’s dusting, sir.
(ええと、ほこりを払っておいでです。)Phil: Oh, she always cleans when she’s mad.
(ああ、クレアは怒ると掃除するんだ。)Modern Family Season5 Episode18 (Las Vegas)
I’m sorry? は謝罪ではなく、語尾を上げて「はい?」「何とおっしゃいました?」と聞き返す丁寧な言い方です。You must have seen ~ は「〜を見たはずだ」と強く推量する形で、フィルは返事を待たずに質問を重ねています。答えを聞く前に気になることを次々に口にする話し方から、クレアの機嫌を気にするフィルの焦りが伝わってきます。
フィルはさらに頼みごとを続けます。
Phil: Do me a favor — bring her a drink and tell her to get comfortable on the couch.
(頼みがある。飲み物を持っていって、ソファでくつろいでって伝えてくれ。)Higgins: She’s she’s allowed on the furniture, is she?
(あ、あの方は家具に乗ってもよろしいので?)Phil: She’s my wife.
(俺の妻だよ。)Modern Family Season5 Episode18 (Las Vegas)
Do me a favor は頼みごとの前置きとしてよく使われる気軽な形で、命令形の頼みごとの前に置くと、言い方が少しやわらぎます。ヒギンズの is she? は、肯定文のあとに付けて「〜ですよね?」と確かめる付加疑問です。対する She’s my wife. は短い一文ですが、相手の問いの前提がずれていることをはっきり示す答えになっています。質問と答えが少しずつ噛み合わないまま進むところが、この場面の笑いどころです。
まとめ|仕える側と頼む側の英語
I’m at your beck and call 24/7. や How are we this evening?、I’m sorry? のような仕える側の言葉と、I’m in a tight spot with ~、You know what might help?、Do me a favor のような頼む側の言葉。立場で丁寧さが変わる様子が見えてきます。
ホテルでの会話を思い浮かべながら、またこの回を観返してみるのも一つの楽しみ方です。
同じ回のジェイの言葉やフィルのマジックの場面の英語は、ほかのコラムやフレーズ記事で扱っています。


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