海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン5第17話では、家族がそれぞれ別の用事で一日を過ごします。そのなかで、ジェイは「物を作るのはあまり得意じゃない」と言うルークに、道具箱づくりを一から教えます。
何から始めるかを示す言い方、作業の前に注意を促す言い方、うまくできた相手を励ます言い方。人に作業を教えるときの英語が、二人のやりとりにまとまって出てくるのが見どころです。
「I can’t really build stuff.」苦手を打ち明ける側と、背中を押す側
話の始まりは、学校の授業をめぐるやりとりです。ジェイが学校に木工の授業があるかを尋ねると、ルークは自分の苦手を正直に口にします。
Jay: You got a wood shop at your school?
(学校に木工の授業はあるのか?)Luke: I can’t really build stuff.
(物を作るのはあんまりできないんだ。)Luke: I mostly take apart and apologize.
(たいてい分解して、謝って終わり。)Jay: You got to know how to build things.
(物の作り方くらい知っとかないとな。)Luke: I can build suspense.
(ハラハラなら作れるよ。)Modern Family Season5 Episode17 (Other People’s Children)
wood shop は学校の木工の授業や工作室を指す言い方で、単に shop とも呼ばれます。I can’t really ~ の really は否定文の中で「あまり〜ない」と程度をやわらげる働きをしていて、「全然できない」と言い切るよりも控えめな打ち明け方です。
take apart は「分解する」という句動詞です。作るどころか分解してしまう、というルークらしい自己紹介に、ジェイは You got to know how to ~ と返します。got to は have got to のくだけた形で、「〜できなきゃだめだ」と必要性を言い切る響きがあります。
最後の build suspense は「緊張感を高める、ハラハラさせる」という決まった言い方です。ジェイの build things の build を受けて、目的語だけをすり替えた返しになっているのが面白いところです。同じ動詞で別の意味に飛ぶ言葉遊びは、会話の中で相手の言葉を拾って冗談にするときの典型的な形と言えます。
「We measure twice, and we cut once.」手順と心得を伝える
道具箱づくりが始まると、ジェイはまず段取りを口にします。
Jay: We’re gonna start by building a simple toolbox.
(まずは簡単な道具箱を作るところから始めるぞ。)Jay: First, I’m gonna show you how to cut the wood.
(最初に、木の切り方を見せてやる。)Modern Family Season5 Episode17 (Other People’s Children)
このあと、ジェイはこう続けます。
Jay: Try to soak it all up.
(全部吸収するつもりでいろ。)Luke: What’s this thing?
(これ何?)Jay: A table vise.
(卓上万力だ。)Modern Family Season5 Episode17 (Other People’s Children)
We’re gonna start by ~ing は「〜するところから始める」、First, I’m gonna show you how to ~ は「まず〜のやり方を見せる」という形で、作業全体の入り口と最初の一歩を順に示しています。soak it all up の soak up は、スポンジが水を吸うように「吸収する」という意味です。道具の名前を知らないときは What’s this thing? と指して尋ねれば十分通じます。
続いてジェイは、ルークの父親のことを持ち出します。
Jay: Didn’t your dad teach you any of this stuff?
(親父さんにこういうことは何も教わらなかったのか?)Luke: He says the only tool you need is a sense of humor.
(必要な道具はユーモアのセンスだけだって言ってる。)Jay: Cause who needs the jaws of life if you have a good knock-knock joke? Luke, grab the goggles over there, please.
(気の利いたダジャレがあれば救助器具なんかいらないってわけか。ルーク、そこのゴーグルを取ってくれ。)Jay: And try to pay attention.
(それと、ちゃんと集中しろ。)Jay: We measure twice, and we cut once.
(測るのは二回、切るのは一回だ。)Modern Family Season5 Episode17 (Other People’s Children)
ジェイは父親の言葉を皮肉で受け流したあと、grab the goggles と準備を指示し、try to pay attention で注意を促します。そして We measure twice, and we cut once. と作業の心得を伝えます。寸法は二度確かめ、切るのは一度で済ませる、という意味です。
この言い回しは木工や大工仕事の心得としてよく知られていると言われ、「実行する前に念入りに確かめよう」という意味で仕事や日常の話に使われることもあります。主語を you ではなく we にしているので、教える側も同じ決まりを守っているという響きが加わります。
「You got a gift.」励ましと、教わった経緯を語る
作業の終わりごろ、ジェイはルークをこう励まします。
Jay: You got a gift.
(お前には才能がある。)Jay: Trust me.
(本当だ。)Jay: Take shop.
(木工の授業を取れ。)Luke: I think I’m gonna.
(取ろうかな。)Modern Family Season5 Episode17 (Other People’s Children)
You got a gift. は「才能がある」という短いほめ言葉で、Trust me. を添えると「お世辞じゃない」という念押しが伝わってきます。Take shop. の shop は最初の場面の wood shop を受けた言い方で、話の最初と最後が授業の話でつながっています。
命令形の Take ~. は強い指示に聞こえますが、ほめ言葉のすぐ後に置くと「やってみろ」と背中を押す言い方になります。ルークの I think I’m gonna. は gonna の後の take shop を省いた返事で、「そうしようかな」という軽い前向きさが表れています。
ルークはさらに、ジェイの物知りぶりについて尋ねます。
Luke: Hey, how’d you get to know so much about everything?
(ねえ、どうやってそんなにいろんなことを知るようになったの?)Jay: From my dad, mostly.
(ほとんど親父からだ。)Jay: He taught me how to use a drill, change a tire, fake an injury when a buddy asks you to help him move.
(ドリルの使い方、タイヤの交換、それに仲間に引っ越しの手伝いを頼まれたときのけがのふりまで教わった。)Modern Family Season5 Episode17 (Other People’s Children)
how’d you get to know so much about ~? は「どうやってそんなに〜に詳しくなったの?」と経緯を尋ねる形で、From my dad, mostly. のように「From +人」だけで答えられます。He taught me how to A, B, C は how to の後に動詞を並べる列挙で、最後に冗談を一つ混ぜて締めるジェイらしい答え方です。
| 表現 | 場面での働き |
|---|---|
| We’re gonna start by ~ing | 作業の入り口を示す |
| First, I’m gonna show you how to ~ | 最初の一歩を見せる |
| try to pay attention / soak it all up | 注意と吸収を促す |
| We measure twice, and we cut once. | 作業の心得を伝える |
| You got a gift. / Trust me. | 才能を認めて背中を押す |
まとめ|手順を示し、心得を伝え、背中を押す
We’re gonna start by ~ や First, I’m gonna show you how to ~ で段取りを示し、We measure twice, and we cut once. で心得を伝え、You got a gift. で励ます。ジェイの教え方には、人に作業を教えるときの英語の流れがひととおりそろっています。
道具を手に取る二人の会話から、教える側と教わる側の言葉をこれからも拾っていきましょう。
美術館での会話や、長引く買い物をめぐる英語は、同じ回のほかのコラムやフレーズ記事でも取り上げています。


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