海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
自分より詳しい人たちの輪に入るとき、話についていけるかどうか、内心そわそわした経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「hold one’s own」を、『モダンファミリー』シーズン5第17話の前半、美術展に来たキャメロンが、事前に仕入れた知識のことを明かすシーンから、一緒に見ていきましょう。
「hold one’s own」の意味とニュアンス
hold one’s own
意味:(不利な状況や強い相手に対して)引けを取らずにやっていく
hold one’s own は、自分より力のある相手や厳しい状況を前にしても、負けずに自分の立場を保つ表現です。「勝つ」ことよりも「押し切られずに踏みとどまる」ことに重心があり、互角に渡り合うイメージがあります。相手が強いほど、この表現の価値が引き立ちます。
構成する語を見ると、hold は「保つ、持ちこたえる」、own は「自分のもの」という意味です。文字どおりには「自分のものを手放さずに持ちこたえる」となり、そこから「自分の持ち場を守り抜く」という比喩に広がっています。one’s の部分は主語に合わせて my・her・their などに入れ替わり、I hold my own、She held her own のように使います。
相手や場面を示すときは前置詞を添えます。hold one’s own with の後ろには対等にやり合う相手、against の後ろには対戦相手、in の後ろには議論や試合などの場が続きます。議論、試合、仕事、知識の勝負など、力量が問われる場面で、格上の相手に食らいついている様子を語るときに使える一言です。
【ここがポイント!】
- 「hold one’s own」の核は、強い相手の前でも自分の陣地を手放さないイメージ
- 「勝つ」ではなく「引けを取らない」に重心がある、控えめで頼もしい表現
- one’s は主語に合わせて変わり、with で相手、in で場面を示すのがコツ
『モダンファミリー』S05E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
美術展に来たキャメロンが、カンディンスキーへの思い入れを語ったあと、自分の準備について話し始める場面です。あの3人に引けを取らずにやっていけるか不安だったという打ち明け話に続いて、勉強した中身と、予備の作戦が明かされます。「hold one’s own」の使われ方に注目です。
Cameron: To be honest, I was a little nervous about holding my own with those three, so
(正直に言うとね、あの3人に引けを取らずにやっていけるか、ちょっと不安だったんだ。だから)Cameron: I did a little boning up on Kandinsky.
(カンディンスキーについて、ちょっと勉強しておいたんだよ。)Cameron: Figured it couldn’t hurt to have a few facts in my pocket.
(知識をいくつかポケットに入れておいても、損はないと思ってね。)Cameron: My backup plan was to touch a painting and get thrown out.
(予備の作戦は、絵に触って追い出してもらうことだったんだ。)Modern Family Season5 Episode17 (Other People’s Children)
シーン解説と心理考察
キャメロンは「正直に言うと」と前置きしてから、あの3人に引けを取らずにやっていけるかちょっと不安だった、と打ち明けます。強がらずに不安を認めるところが、この語りの入り口です。使われている holding my own は、負けないところまで踏みとどまる、という控えめな目標を表しています。
不安の後に続くのは、具体的な備えの話です。カンディンスキーについて少し勉強しておいたこと、知識をいくつかポケットに入れておいても損はないと思ったことが、順番に語られます。「ポケットに入れる」という言い方には、必要なときにすぐ取り出せる小さな武器を持っておきたい、という気持ちがにじんでいます。全力で挑むというより、最低限の備えを持って場に立つ、という慎重さも表れています。
最後の一言は、予備の作戦が絵に触って追い出してもらうことだった、というものです。備えが通用しなかった場合の逃げ道まで用意していたことになり、不安の大きさと、それをユーモアで包んで語る余裕が同居しています。真面目な準備と大げさな保険の落差が、キャメロンらしい表現力として響きます。不安、準備、保険の3つがそろうことで、hold one’s own という言葉に込められた必死さがはっきり見えてきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
綱引きで、足を踏ん張って引きずられないように持ちこたえる姿を思い浮かべてみましょう。勝ちを狙うというより、自分の場所から動かされないように地面をつかんでいる感じです。これが hold one’s own のイメージです。
キャメロンが口にした「知識をポケットに入れておく」という準備は、この踏ん張りを支える足場のようなものです。足場があれば、相手が強くても、綱に引きずられずに済みます。one’s own は「自分の持ち分」のことで、踏ん張って守るのは、その自分の持ち分です。
覚えるときは、「引けを取らない」という日本語と、綱引きで踏ん張る絵をセットにして頭の中に置きます。すると、強い相手や難しい状況を前にした場面で、この言葉がすっと浮かびます。
例文で覚える「hold one’s own」
強い相手の前で持ちこたえる様子を表す hold one’s own を、3つの例文で確認していきましょう。
She can hold her own in any debate.
(彼女はどんな議論でも引けを取らずにやり合えるよ。)
議論に強い同僚を紹介する場面です。in の後ろに議論を置くと、どんな場でも対等にやり合える人だと伝わります。
I was worried I couldn’t hold my own with the senior engineers.
(先輩エンジニアたちに引けを取らずにやっていけるか、心配だったんだ。)
新しい職場での気後れを語る場面です。with の後ろに相手を置くと、誰に対する不安なのかがはっきりします。
A: How did your first tennis match go?
B: I lost, but I held my own against a much better player.
(A:初めての試合はどうだった?)
(B:負けたけど、ずっとうまい相手に食らいついたよ。)
試合を振り返る往復会話です。過去の話では held my own の形になり、負けても引けを取らなかったと語れるところが、この表現らしい使い方です。
あわせて覚えたい関連表現
keep up with
(〜についていく)
keep up with は、速さやレベルに遅れずついていく意味です。hold one’s own は、遅れないだけでなく、自分の立場を保って対等にやり合う点に重点があります。
stand one’s ground
(自分の立場・意見を譲らない)
stand one’s ground は、主張や立場を動かさないことに重点があります。hold one’s own は、相手と渡り合って引けを取らないことに重点があります。
be a match for
(〜に匹敵する)
be a match for は、相手と互角の力があるという評価の言い方です。hold one’s own は、実際にその場で持ちこたえている様子を語ります。
Note|「引けを取らない」を英語で言い分ける4つの表現
強い相手や難しい状況の前で踏みとどまることを表す英語は、hold one’s own のほかにもいくつかあります。似ていても焦点が少しずつ違うので、4つを並べて整理してみましょう。
hold one’s own は、実際にその場で持ちこたえ、引けを取らない状態を語る表現です。keep up with は、相手の速さや水準に遅れずについていくことを表し、走る、読む、学ぶといった動きにも使えます。stand one’s ground は、相手から押されても立場や意見を動かさないことを指し、態度や主張に焦点があります。be a match for は、相手と互角の力があるという評価を述べる言い方で、実際の行動よりも力量の比較に焦点があります。たとえば She can hold her own in a debate は「議論で持ちこたえられる」、She is a match for anyone in a debate は「議論なら誰にも匹敵する」という違いになります。
作中のキャメロンは、あの3人に引けを取らずにやっていけるか心配だ、と語っていました。ここで keep up with を使うと「遅れずついていけるか」、stand one’s ground なら「立場を動かさずにいられるか」という別の不安になります。hold one’s own を選んだことで、負けないところまでは踏みとどまりたい、という控えめな目標が伝わります。
同じ「引けを取らない」でも、遅れないのか、動かないのか、匹敵するのか、持ちこたえるのかで、選ぶ英語は変わります。
まとめ|負けないところまで踏みとどまる一言
hold one’s own は、強い相手や厳しい状況の前でも、自分の立場を保って引けを取らずにやっていく表現です。勝つことより、押し切られずに持ちこたえることに重心があるため、格上の相手に挑む場面や、自分の力量に不安がある場面で、控えめで頼もしい響きを持ちます。
with で相手、against で対戦相手、in で場面を示す形を覚えておけば、議論や試合、仕事や学びの場面まで、使える範囲が広がります。one’s が主語に合わせて変わる点も、あわせて確認しておきたいところです。
キャメロンは、不安を認めたうえで、知識をポケットに入れておくという備えを語っていました。引けを取らない自分でいるための小さな準備が、この一言に重なっている場面でした。表現の引き出しに加えてみてください。


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