海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン5第21話では、ミッチェルが、父のジェイや姉のクレアに自分のことを分かってもらえていないと口にする場面が、何度か出てきます。家族写真の撮影も描かれるこの回では、ミッチェルの短い台詞が積み重なっていきます。
身近な相手に「ちゃんと見てほしい」と伝えるのは、英語でもなかなか難しいものです。皮肉を交えた言い方から、そばにいることを知らせる一言まで、ミッチェルの台詞を場面の順に見ていきます。
「You’ve known me my whole life.」分かってもらえていないと伝える
物語の冒頭近くで、ミッチェルはジェイにこう問いかけます。
Mitchell: You honestly thought that I just became a piano virtuoso, dad? You’ve known me my whole life.
(僕がいきなりピアノの名手になったって、本気で思ったの、父さん? 僕のことは生まれたときから知ってるじゃないか。)Mitchell: Have you ever seen me take a lesson?
(僕がレッスンを受けてるところ、見たことある?)Jay: I thought maybe you were self-taught.
(独学したのかと思ったんだよ。)Mitchell: Oh, I’m sorry.
(ああ、ごめん。)Mitchell: You’re right.
(そうだよね。)Mitchell: Like when I taught myself to play the clarinet.
(クラリネットを独学したときみたいにね。)— Exactly.
(そのとおり。)Mitchell: I never played the clarinet.
(クラリネットなんて吹いたことないよ。)Modern Family Season5 Episode21 (Sleeper)
You’ve known me my whole life. は「僕が生まれてからずっと知っているでしょう」という意味です。現在完了形で、長い時間をかけて知っているはずだという前提を示し、それなのに分かっていないという不満を伝える言い方になっています。
Have you ever seen me ~? は「僕が〜するのを見たことがある?」と、相手の思い込みに根拠があるかを問いただす形です。ジェイの self-taught は「独学の」という意味で、ミッチェルがピアノを弾けると思っていたことが、この答えから分かります。ever を入れることで「一度でも」という強調が加わります。
続く Oh, I’m sorry. You’re right. は、いったん謝って同意してみせる言い方です。そこへ Like when I taught myself to ~ と架空の例を足し、相づちが返ったところで「吹いたことはない」と明かします。わざと相手に話を合わせさせてから、思い込みを示す皮肉の組み立てが見どころです。
「My own family doesn’t even know me.」own と even で強める
この話をクレアに聞かせたミッチェルは、こう続けます。
Mitchell: I don’t play the piano.
(僕はピアノなんて弾かない。)Mitchell: I’ve never taken a lesson.
(レッスンを受けたこともない。)Claire: Are you sure?
(本当に?)Mitchell: Oh, my God.
(なんてこった。)Mitchell: My own family doesn’t even know me.
(自分の家族にさえ、僕のことを分かってもらえてないなんて。)Modern Family Season5 Episode21 (Sleeper)
クレアの Are you sure? は「本当に?」と念を押す一言で、本人が弾かないと言っているのに聞き返す形になっているのが、この場面の笑いどころと読み取れます。
My own family doesn’t even know me. では、own が「ほかでもない自分の」、even が「〜でさえ」を表します。2語を重ねることで、いちばん分かっていてほしい相手にすら、という気持ちが強く出ます。my family doesn’t know me だけでも意味は通じますが、own と even の有無で響きが大きく変わる例です。
同じ形は、家族以外の相手にも応用できます。
- A: You thought I liked spicy food? My own best friend doesn’t even know me.
(私が辛い物好きだと思ってたの? 親友なのに、私のことを分かってないんだね。) - B: Sorry. I should have known.
(ごめん。分かっているべきだった。)
別の場面では、ミッチェルがキャメロンにこう話しています。
Mitchell: That’s why I’m looking for a photo of Lily in a hand-me-down to show Claire, but I-I can’t seem to find one.
(だからクレアに見せようと、お下がりを着たリリーの写真を探してるんだけど、一枚も見つからなくて。)Mitchell: By the way, I’m barely in any of these.
(ところで、僕はこの写真のどれにもほとんど写ってない。)Modern Family Season5 Episode21 (Sleeper)
By the way は話題を切り替える前置きで、barely は「ほとんど〜ない」を表します。本題の写真探しの途中で、自分がほとんど写っていないことに話がそれる一言です。
「I’m right here, dad.」そばにいることを知らせる
家族写真の集まりで、ジェイがキャメロンに、ミッチェルに電話して急かしてほしいと頼むと、ミッチェルがこう返します。
Mitchell: I’m right here, dad.
(ここにいるよ、父さん。)Jay: Oh.
(おう。)Jay: Good.
(よし。)Jay: I didn’t see you come in.
(入ってきたのに気づかなかった。)Mitchell: You opened the door for me.
(ドアを開けてくれたのは父さんだよ。)Mitchell: You thanked me for bringing a bottle of chardonnay.
(シャルドネを1本持ってきたら、お礼まで言ってくれた。)Jay: Doesn’t sound like me.
(俺らしくないな。)Modern Family Season5 Episode21 (Sleeper)
I’m right here. の right は「まさに」「すぐそこに」を強める語で、相手が自分に気づいていないときに使える一言です。I didn’t see you come in. は see 人 動詞の原形の形で「入ってくるのを見ていなかった」を表します。
ジェイの Doesn’t sound like me. は「俺らしくない」ととぼける返しで、主語の It が省かれた会話らしい形になっています。自分の振る舞いを指摘されて、照れ隠しにとぼけるときにも使えます。
- A: You were the one who said we should leave early.
(早く出ようって言ったの、あなたでしょ。) - B: Really? Doesn’t sound like me.
(そう? 僕らしくないな。)
後の場面では、クレアがある写真を見ながら、こう指摘します。
Claire: Uh, and I am quite sure that’s a reflection of Mitchell in the clothes he was wearing this morning.
(それに、これって絶対、今朝着てた服のミッチェルが映り込んでるでしょ。)Mitchell: Oh, yay, I finally made it into a picture.
(わあ、やっと写真に入れたよ。)Modern Family Season5 Episode21 (Sleeper)
make it into ~ は「〜に入り込む」「〜に載る」を表し、finally と組み合わせて「やっと」という気持ちを添えています。写真にほとんど写っていないと話していた先ほどの一言と、呼応して聞こえるとも読めます。
まとめ|気づいてほしいときの英語
You’ve known me my whole life. で思い込みを問い、My own family doesn’t even know me. で own と even を重ね、I’m right here. でそばにいることを知らせる。ミッチェルの台詞からは、身近な相手に気づいてほしいときの英語が見えてきます。
ミッチェルの言葉に耳を傾けながら観ると、この回の家族のやりとりがより身近に感じられます。
この回のフレーズ記事やほかのコラムでも、家族の会話から英語表現を紹介しています。


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