海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン7第6話では、ミッチェルが知り合いのサイモンから仕事の誘いを受け、その話がしばらく頭から離れなくなります。グロリアもソースを売ってみてはと勧められ、二人はやがて、それぞれのやり方で「やる」と言い切ります。
迷いを打ち明ける言い方から、見くびられたと感じて決意を口にする一言まで、気持ちの動きに沿って英語の表現を順に見ていきます。
「I was gonna call you」から始まる仕事の誘い
ファーマーズマーケットで、ミッチェルはサイモンに声をかけられます。サイモンの事務所が人を探しているという話です。
Simon: I’m actually glad you’re here.
(実は、ここで会えてよかったよ。)Simon: We’re looking for a new senior associate, and I was gonna call you.
(新しいシニア・アソシエイトを探していて、君に電話しようと思ってたんだ。)Mitchell: Call me what? A has-been?
(呼ぶって、何て? 落ち目の男とか?)Simon: Look, on a social level, I find you hopeless, but I always thought you were a good lawyer
(いいか、人付き合いの面では君はどうしようもないと思ってる。でも、弁護士としては優秀だとずっと思ってた)Simon: Maybe a great one at the right firm.
(合った事務所なら、すごく優秀かもしれない。)Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)
senior associate は、法律事務所などで経験を積んだ弁護士に使われることが多い肩書きです。We’re looking for ~ は「〜を探している」で、求人や募集を伝えるときの基本の形と言えます。
面白いのは call のすれ違いです。サイモンの I was gonna call you. は「電話するつもりだった」の意味ですが、ミッチェルは call を「〜と呼ぶ」の意味に取り、Call me what? と返します。続く A has-been? は「盛りを過ぎた人、落ち目の人」を表す名詞で、ミッチェル自身を指した自虐です。前のシーズンの終わりで職を失っていたミッチェルの立場が、この一言ににじんでいると読み取れます。
サイモンの返事は、前半で突き放し、but の後で持ち上げる組み立てです。at the right firm の right は「正しい」ではなく「その人に合った」という意味で、the right person(適任の人)や the right time(ちょうどいい時期)と同じ使い方です。
この誘いは、その日のうちにミッチェルの頭を占めていきます。
Mitchell: I needed the distraction.
(気晴らしが欲しかったんだ。)Mitchell: I had spent enough of my day obsessing over Simon’s job offer.
(サイモンの仕事の誘いのことで、今日はもう十分すぎるほど悩んでたから。)Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)
obsess over ~ は「〜のことばかり考えてしまう」で、頭から離れない状態を表します。spend + 時間 + ~ing に enough が加わると、「もう十分〜した」という、うんざりした気分が出ます。
「stressing me out」と打ち明けたときの返し
ジェイの動画づくりに付き合っている途中で、ミッチェルは仕事の悩みを口にします。
Mitchell: I got this whole work thing stressing me out.
(仕事のことでいろいろあって、ストレスがたまってるんだ。)Jay: It’s your lucky day.
(お前、運がいいな。)Jay: You have an audience with a Titan of Industry without having to buy the $15-a-plate dinner ticket.
(1皿15ドルのディナー券を買わなくても、産業界の巨人にお目通りがかなうんだからな。)Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)
this whole ~ thing は「〜にまつわるあれこれ」と、細かく説明せずに話題をひとまとめにする言い方です。stress someone out は「(人を)まいらせる、ストレスを与える」で、I’m stressed out. の形でもよく聞かれます。悩みの中身を言い切らないまま「いろいろあって」と切り出せるので、相談の切り出しに便利です。
ジェイの It’s your lucky day. は、本来は「今日はついてるね」という言葉です。続く have an audience with ~ は、王や要人に「謁見する」ときの改まった表現です。ジェイはこの回で「Titan Award」という表彰を受けることになっており、その名にかけて自分を a Titan of Industry(産業界の巨人)と呼んでいます。大げさな言い方で、話を聞く姿勢を示しているという場面です。
この後も仕事の話は続き、やがてグロリアとキャメロンもその場に加わります。
「Nobody can tell me what I can or cannot do」で言い切る
話の流れの中で、ミッチェルとグロリアは、それぞれの挑戦に否定的な言葉を向けられます。そこでミッチェルが口火を切り、二人の宣言が続きます。
Mitchell: He thinks that he’s the only business titan in this family.
(この人は、この家族でビジネスの大物は自分だけだと思ってるんだよ。)Gloria: Nobody can tell me what I can or cannot do.
(私に何ができて何ができないかなんて、誰にも決めさせないわ。)Gloria: I have some sauce to sell.
(私には売るソースがあるの。)Mitchell: And I’m gonna go register my new firm right now.
(それに僕も、今すぐ新しい事務所を登録しに行く。)Cameron: And I’m gonna storm out, too, even though both of those things actually make me very happy.
(じゃあ僕も怒って出ていくよ。二人のその決断、実はどっちもすごくうれしいんだけどね。)Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)
He thinks that he’s the only ~ は、見くびる相手の態度をそのまま言葉にして指摘する形です。ここでの he は、先に自分を「Titan of Industry」と呼んでいたジェイのことです。
Nobody can tell me what I can or cannot do. は「できる・できないを他人に決めさせない」という言い返しで、tell + 人 + what ~ の構文に can or cannot を並べた文です。続く I have some sauce to sell. は have + 名詞 + to do で「やるべきことがある」と示す形で、言い返しをそのまま行動の宣言につなげています。
ミッチェルの I’m gonna go register ~ right now. も、go + 動詞 と right now で「今すぐ動く」ことを強調する言い方です。キャメロンの storm out は「怒って飛び出す」ですが、even though 以下で本心はうれしいと添えているのが面白いところです。
ジェイ自身は、自分を動かしてきたものについてこう語ります。
Jay: You want to know what drove Jay Pritchett? People telling me I wasn’t good enough.
(ジェイ・プリチェットを突き動かしたものが何か、知りたいか? 俺じゃ力不足だと言ってくる連中だよ。)Jay: There’s something about a person telling you you can’t do something.
(人から「お前には無理だ」と言われることには、何かがあるんだ。)Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)
drive はここでは「(人を)突き動かす」の意味で、drove はその過去形です。There’s something about ~ は「〜には何か特別なものがある」と、理由を言い切らずに含みを残す言い方と言えます。
まとめ|見くびられたときの「やってやる」の英語
誘いを伝える I was gonna call you、悩みを打ち明ける stressing me out、言い返しの Nobody can tell me what I can or cannot do、行動を宣言する I’m gonna go ~ right now。迷いから決意までの言葉が、一つの回の中でつながっていることが分かります。
次回も『モダンファミリー』の家族の会話から、英語の言い回しを拾っていきましょう。
ジェイの動画の撮り直しの場面や、ファーマーズマーケットの屋台の英語は、同じ回のほかのコラムで、個々の表現の使い方はフレーズ記事で扱っています。


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