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親戚の集まりで、家に昔から伝わる料理や品物の由来を聞かされて、「それは誰から誰へ渡ってきたの?」と気になったことはありませんか。
そんなときに使える「pass something down to someone」の受け身の形を、『モダンファミリー』シーズン7第6話の中盤、ソースのレシピの由来を語るグロリアの一言から、一緒に見ていきましょう。
「pass something down to someone」の意味とニュアンス
pass something down to someone
意味:(物・知識・伝統などを)(人)に代々伝える、受け継がせる
pass something down to someone は、上の世代が持っていたものを、下の世代へ受け渡していくことを表す表現です。pass は「渡す」、down は「上から下へ」という方向を示す語で、組み合わせると、世代を下って何かが渡っていくイメージになります。
渡されるものは、レシピや家宝のような形のある物にも、技術や昔話、習慣のような形のないものにも使えます。渡す側が誰で、受け取る側が誰なのかは、to のあとに続く人で示します。pass the recipe down to my daughter なら、「娘にレシピを伝える」という意味です。
このシーンでの実際の形は、見出しの形そのものではなく、the recipe passed down to me という形です。レシピを主語に置き、「レシピが私のところへ受け継がれた」という流れを表しています。見出しの pass something down to someone は、渡す人を主語にした能動の形で、同じ「代々伝える」という意味を、渡す側の視点から言い表したものです。
日本語にするときは、「伝える」「受け継がせる」「語り継ぐ」「お下がりとして譲る」のように、渡すものに合わせて選びます。
【ここがポイント!】
- 「pass down」の核は、上の世代から下の世代へ、ものが渡っていくイメージ
- 渡す人を主語にすれば能動、渡されるものを主語にすれば受け身の形になるのがコツ
- 渡す先は to で示し、「〜に伝わった」「〜に伝える」の両方に使える
『モダンファミリー』S07E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ソースをめぐる会話の中で、グロリアが自分のソースの由来を語り、キャメロンが軽口で応じる場面です。今回のフレーズは、レシピを受け継いだ経緯を説明するグロリアの言葉の末尾に出てきます。場面の最後は、ソースをもらいたいという短い一言で締めくくられます。
Gloria: It’s a secret recipe that has been in my family for generations.
(うちの家に何世代も伝わる、秘伝のレシピなのよ。)Cameron: Was your sauce buried in a local time capsule during the bicentennial? Because mine was.
(君のソースは、200周年のときに地元のタイムカプセルに埋められたのかい? だって、僕のはそうだったよ。)Gloria: My great-aunt Miranda was the only one that could make it, and because I was the oldest girl that didn’t marry a Peruvian, the recipe passed down to me.
(それを作れたのは大おばのミランダだけで、私はペルー人と結婚しなかった一番年上の女の子だったから、レシピが私に受け継がれたの。)— Sauce me.
(ソース、お願い。)Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)
シーン解説と心理考察
グロリアは、ソースのレシピを「何世代も家に伝わる秘伝のもの」と紹介します。a secret recipe that has been in my family for generations という言い方は、レシピが家の中で長く受け継がれてきたことを、先に大きな枠として示しています。この一言を受けて、あとの passed down to me が、その長い流れの中で自分に渡ってきたという個人の話に絞り込む役割を果たしています。
キャメロンは、地元のタイムカプセルに埋められたのか、と問い返し、自分のソースはそうだったと言い添えます。グロリアの「何世代も」という話に、時間の長さで張り合うような軽口が返されています。グロリアは続けて、自分のレシピの経路を具体的に説明していきます。
その説明では、レシピを作れたのは大おばのミランダだけだったこと、自分が家系の中で条件に当てはまる立場だったことが挙げられます。作れる人が限られていたレシピが、条件に合う自分に渡ってきた、という筋道です。「誰から」「誰へ」「なぜ」が、一つの文の中に順に並んでいます。
「Sauce me.」は、ソースをもらうことを頼む、ごく短い一言です。レシピの由来をめぐる話から、実際に味わう段階へと、会話が移っていく様子が表れています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
pass down は、階段を思い浮かべて覚えられます。上の段に立つ人が、手に持った一枚のレシピカードを、下の段の人へと渡す。受け取った人は、その段で次の人へ渡します。カードが一段ずつ下へ渡っていく動きが、「上から下へ」を表す down の感覚です。
グロリアの発言に出てきた「大おばのミランダ」から「自分」へという流れも、この階段の一段分にあたります。誰かが長く持っていたものを、あとから来た人が引き取る。その動きを頭の中で再生すると、「受け継がれた」という訳が自然に浮かびます。
レシピが主語の形で使うときは、カードのほうを主役に据えて、「カードが私のところへ下りてきた」と考えます。渡す人の視点と、渡されるものの視点。階段を上から眺めるか、カードを目で追うかで、能動と受け身が切り替わります。
例文で覚える「pass something down to someone」
世代を超えて何かを渡す場面で使う pass down を、3つの例文で確認していきましょう。
The watch was passed down to him from his grandfather.
(その腕時計は、祖父から彼へ受け継がれたものだ。)
家宝のような品物の由来を話す、日常の場面です。was passed down to という受け身の形で、渡された側を中心に語っています。
She wants to pass the family business down to her daughter someday.
(彼女はいつか、家業を娘に引き継がせたいと考えている。)
事業の承継を話す、ビジネスの場面です。渡す人が主語で、渡すものを pass と down のあいだに置く、能動の形になっています。
A: Is this your dad’s old jacket?
B: Yes, he passed it down to me when I turned eighteen.
(A:これ、お父さんの古いジャケット?)
(B:うん、18歳になったときにお下がりでくれたんだ。)
お下がりの由来を友人に話す会話です。渡すものが代名詞の it なので、passed it down と、it が pass と down のあいだに入ります。
あわせて覚えたい関連表現
hand down
((物・伝統などを)次の世代に譲る、伝える)
hand down も、世代を超えて渡すことを表す表現です。hand は「手」の意味を含み、手から手へ渡すイメージを持つ点で、pass down と語感が少し異なります。
pass on
((情報・物などを)次の人に伝える、回す)
pass on は、世代に限らず、人から人へ回すことを表す表現です。pass down が「上の世代から下の世代へ」という向きを持つのに対して、pass on は向きを問いません。
inherit
((財産・性質などを)受け継ぐ、相続する)
inherit は、受け取る側を主語にして、財産や性質を引き継ぐことを表します。pass down が渡す側・渡される流れのどちらの視点にも立てるのに対して、inherit は受け取る側の視点に固定されます。
Note|能動と受け身で姿が変わる pass down の形と、対象を置く位置
pass down は、誰を主語にするかによって、文の姿がはっきり変わる表現です。ここでは、グロリアの発言の the recipe passed down to me を手がかりに、形の違いを整理します。
渡す人を主語にする能動の形は、pass A down to B です。「A を B に伝える」という意味で、she passed the recipe down to me と書けば、渡した人が主役の文になります。一方、渡されるものを主語にする形は、A is passed down to B、または A was passed down to B と書き、「A が B に受け継がれる」という意味になります。今回のグロリアの the recipe passed down to me は、レシピを主語にして「私のところへ受け継がれた」と言う形です。
もう一つ見ておきたいのが、対象を置く位置です。pass down は句動詞なので、対象が名詞なら pass the recipe down と pass down the recipe のどちらの語順も取れます。対象が代名詞のときは、pass it down のように、it が pass と down のあいだに入ります。pass down it とは言いません。
同じ「代々伝える」でも、渡す人を前に出すのか、渡されるものを前に出すのかで、形は変わります。今回のシーンのように、レシピの由来を語るときは、レシピが主語の形が会話の流れに合っています。
まとめ|レシピの経路を、一文で語る
pass something down to someone は、上の世代から下の世代へ、物や知識や伝統を受け渡していくことを表す表現です。渡す人を主語にすれば能動、渡されるものを主語にすれば受け身の形になります。
グロリアは、作れる人が限られていたレシピが、大おばから自分に渡ってきた経路を、一文の中に収めていました。「誰から」「誰へ」を言葉にできる表現なので、家の話にも、仕事の承継の話にも、そのまま使える表現です。


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