「jerk someone around」の意味と使い方|『モダンファミリー』S07E06で学ぶ英会話

「jerk someone around」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

返事や約束が二転三転して、気づけば自分だけが相手の都合に合わせ続けていた、という経験はありませんか。

そんなときに使える「jerk someone around」の受け身の形を、『モダンファミリー』シーズン7第6話の後半、車の中でのヘイリーとディランのやり取りから、一緒に見ていきましょう。

目次

「jerk someone around」の意味とニュアンス

jerk someone around
意味:(人)を振り回す、(人)をいいように扱う(態度や約束をころころ変えて、相手を翻弄する)

jerk someone around は、相手の都合を考えずに、態度や約束をころころ変えて、相手を翻弄することを表す口語表現です。jerk は「ぐいっと引く」、around は「あちこちに」という意味の語で、組み合わせると、人を物のように前へ後ろへ引っ張り回すイメージになります。

「振り回す」という訳が収まりやすい場面は、返事を曖昧にして待たせ続けたとき、約束や日程を何度も変えたとき、恋愛や仕事で気を持たせたときなどです。相手に実害が出ていることが前提になっていて、単なる冗談やからかいとは性格が異なります。

このシーンでの実際の形は I’m tired of being jerked around で、受け身の形です。見出しの jerk someone around は、振り回す側を主語にした能動の形で、同じ出来事を、振り回す側の視点から言い表します。受け身の being jerked around は、振り回された側を主語に置き、その人が受けた扱いを言葉にします。

be tired of ~ing の形と組み合わせると、「〜されるのにはもう疲れた」という訴えになります。

目的語は、jerk me around や jerk us around のように、jerk と around のあいだに入ります。日本語では、「振り回す」「いいようにあしらう」「もてあそぶ」のように、場面の重さに合わせて訳を選びます。

【ここがポイント!】

  • 「jerk someone around」の核は、人を前後左右へぐいっと引き回すイメージ
  • 振り回す側が主語なら能動、振り回された側が主語なら受け身になるのがコツ
  • 実際に相手が困っている状況で使う、疲れや不満を伴う表現

『モダンファミリー』S07E06のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

車の中で、ヘイリーとディランが話している場面です。ヘイリーが自分たちの状況を打ち明けると、ディランは車から降りたいと返し、その流れの中で今回のフレーズを口にします。ヘイリーに名前を呼ばれたディランが返す一言の中に、フレーズが出てきます。

Haley: I just I I feel like Andy and Beth and everyone in the world are moving forward, and we’re moving backward.
(私、ただ、その、アンディとベスも、世界中のみんなも前に進んでいるのに、私たちは後ろに進んでいる気がするの。)

Dylan: Actually, we’re stopping, because I want to get out of the car.
(実は、止まるよ。車から降りたいんだ。)

Haley: Dylan
(ディラン)

Dylan: Stop! I’m tired of being jerked around. Now I’m moving forward, too.
(やめてくれ! もう振り回されるのは疲れたよ。俺もこれで前に進む。)

Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)

シーン解説と心理考察

ヘイリーは、アンディとベスをはじめ、周りの人たちが前に進んでいるのに、自分たちは後ろに進んでいる気がすると話します。「I just I I feel like」と、言いよどみを重ねる形で始まっています。moving forward と moving backward という対の言葉で、二人の現在地を表現している点が特徴です。

ディランは、この比喩を受けて、「止まる」と告げ、車から降りたいと続けます。ヘイリーが名前を呼ぶと、ディランは「Stop!」と返し、自分が振り回されることに疲れたと言葉にします。being jerked around という受け身の形は、ディランが自分を、振り回される立場に置いて語っていることを示しています。

「Now I’m moving forward, too.」は、ヘイリーが最初に使った moving forward を、そのまま受け取って返した形です。ヘイリーの比喩の中の「前に進む」という言葉を、ディランが自分の側の言葉として言い返しています。同じ語を使いながら、向きを変えて返す運びが、この短い会話を締めくくっています。

この短い会話では、ヘイリーの打ち明け、ディランの宣言、名前の呼びかけ、疲れの訴えと、短い言葉が交代していきます。一つの比喩が、会話の中で二人の間を往復している様子が表れています。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

jerk someone around は、紐の先につけられたおもちゃを思い浮かべて覚えられます。紐をぐいっと引かれるたびに、おもちゃは右へ左へと跳ね回ります。おもちゃ自身は、どこへ動くかを決められません。

ディランの「being jerked around」は、紐の先のおもちゃの側から出てきた言葉です。引かれる側の疲れが、受け身の形にそのまま表れています。能動の形に戻せば、紐を引く側から見た「振り回す」になります。

引く側の視点なら jerk someone around、引かれる側の視点なら be jerked around と、紐の両端を思い浮かべると、能動と受け身の切り替えがつかみやすくなります。

また、おもちゃが跳ね回り続けて疲れていく様子を重ねると、be tired of being jerked around という形が、一続きの絵として記憶に残ります。

例文で覚える「jerk someone around」

相手に翻弄される場面で使う jerk someone around を、3つの例文で確認していきましょう。

I’m tired of being jerked around by this airline.
(この航空会社に振り回されるのは、もううんざりだ。)
対応の悪さへの不満を訴える、感情表現の場面です。by のあとに、振り回した側を示しています。

The company jerked us around for months before cancelling the order.
(その会社は、何か月も私たちを振り回したあげく、注文を取り消した。)
取引先の不誠実な対応を伝える、ビジネスの場面です。for months で、振り回された期間の長さを添えています。

A: Did the landlord fix it?
B: No, he keeps jerking me around.
(A:大家さんは直してくれた?)
(B:ううん、ずっとのらりくらりと振り回されてるよ。)
問題が解決しない状況を友人に話す、日常の会話です。keeps のあとに jerking me around を続けて、振り回しが続いていることを表しています。

あわせて覚えたい関連表現

string someone along
((気のない相手に)気を持たせて引きずる)
string someone along は、期待を持たせ続けて引きずることに重点があります。jerk someone around は、態度や約束をころころ変えて翻弄する点に重点があります。

yank someone’s chain
(人をからかう、振り回す)
yank someone’s chain は、軽くからかう場面にも使います。jerk someone around は、相手が実際に困るほど翻弄される場面に向いています。

push someone around
(人を乱暴に扱う、いばってこき使う)
push someone around は、力や立場を使って人を思いどおりに動かす言い方です。jerk someone around は、態度や約束の変更で相手を動かす点が異なります。

Note|振り回す、気を持たせる、からかう jerk around・string along・yank one’s chain の使い分け

「相手を思いどおりに動かして困らせる」ことを英語で言うとき、jerk someone around のほかにも、string someone along や yank someone’s chain といった言い方があります。ここでは3つを、相手にどんな影響を与えるのかという観点で整理します。

jerk someone around は、態度や約束をころころ変えることで、相手を翻弄することに焦点があります。ディランの I’m tired of being jerked around も、振り回されて疲れたという、受けた側の影響を訴える言い方です。相手が実際に困ったり、疲れたりしている状況に向いています。

string someone along は、期待を持たせたまま引きずることに焦点があります。振り回される相手は、いつか応えてもらえると思い続けるので、「待たされる」要素が前に出ます。yank someone’s chain は、相手をからかったり、冗談で引っかけたりする場面に使え、深刻さは場面によって幅があります。

3つの違いは、翻弄するのか、期待で引きずるのか、からかうのか、という働きかけ方の違いです。今回のシーンのように、疲れを正面から訴える場面では、jerk someone around の受け身の形が収まります。

まとめ|振り回された側から出る、一言

jerk someone around は、態度や約束をころころ変えて、相手を翻弄することを表す口語表現です。振り回す側を主語にすれば能動、振り回された側を主語にすれば受け身の形になります。

be tired of being jerked around の形にすれば、「振り回されるのには疲れた」という訴えとして、そのまま使えます。待たされ続けたとき、予定を何度も変えられたときなど、翻弄された状況を一言にまとめられます。受け身の形なら、振り回した相手を名指しせずに、自分が受けた扱いだけを伝えられる点も、この形の使いどころです。

ヘイリーの「後ろに進んでいる」という言葉と、ディランの「前に進む」という言い返しが向き合った場面でした。

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