海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン10 第7話から、嘘にまつわる英語の使い分けを取り上げます。エイミーは自分の部屋の工事が終わったことをシェルドンに伏せていて、その事情を知った友人たちのあいだで、話を合わせてかばうか、本人に打ち明けるかが分かれていきます。
同じひとつの嘘でも、lie toとcover forでは視線を向ける相手が変わります。場面の順に、違いを見ていきます。
「lie to」は嘘を聞かされる相手を示す
向かいの部屋では、ペニー、レナード、バーナデットの3人が話しています。エイミーの部屋の工事は早めに終わっていて、エイミーはシェルドンに工事が遅れていると伝えていました。バーナデットがそう明かすと、レナードとペニーの間でこんなやり取りが交わされます。
Leonard: So, she’s just been lying to him?
(じゃあ、彼女はずっと彼に嘘をついてたってこと?)Penny: Well, you’ve lied to Sheldon.
(まあ、あなたもシェルドンに嘘をついたことがあるでしょ。)Leonard: Yeah, but to make him leave, not to make him stay.
(そうだけど、それは追い出すためで、引き留めるためじゃないよ。)TBBT Season10 Episode07
lie to + 人 は「人に嘘をつく」で、toの後ろには嘘を聞かされる側が来ます。レナードの問いでもペニーの切り返しでも、toの後ろに立つのはシェルドンです。レナードは嘘の目的を to make him leave(出て行かせるため)と to make him stay(引き留めるため)で並べ、自分の嘘とは向きが違うと言い返しています。日常会話でも、I’d never lie to you.(君に嘘はつかないよ)のように、toの後ろに相手を置く形でそのまま使えます。
別の場面、カフェテリアでは、レナードから事情を聞いたシェルドンが、同じ出来事を硬い言葉で言い直します。
Sheldon: So, she’s deceiving me in order to spend more time with me?
(つまり、彼女は僕ともっと長く過ごすために、僕を欺いているというのか?)Leonard: Yes.
(そう。)TBBT Season10 Episode07
deceive + 人 は「人を欺く」という意味で、lie toよりも改まった響きを持ちます。lieが嘘を口にする行為そのものを指すのに対し、deceiveは相手に事実と違うことを信じ込ませる点に重心がある語と言えます。このあとシェルドンは、関係の中での deception(欺き)は許さないとまで言い切ります。名詞の形も押さえておくと、事の重さを言い分けやすくなります。lie toとdeceiveは、どちらも騙される側を後ろに置く点で共通しています。
「cover for」はかばわれる相手を示す
その前の場面で、エイミーは階段でペニーに黙っていてほしいと頼み、ペニーは言わないと約束していました。後の場面、シェルドンとレナードが話している部屋にペニーとエイミーが食事を持ってやって来ます。部屋のことを聞かれたエイミーがまだ工事中だと答えると、ペニーも話を合わせます。
Penny: Yeah, we swung by her apartment on the way to the restaurant, and they’re gonna be fixing it for a while.
(うん、お店に行く途中で彼女の部屋に寄ったんだけど、しばらくは修理が続くよ。)Sheldon: Wait, uh, you saw her apartment?
(待ってくれ、その、君は彼女の部屋を見たのか?)Penny: I did, still a mess.
(見たよ、まだめちゃくちゃだった。)TBBT Season10 Episode07
言い合いが続いたあと、エイミー自身が事情を打ち明けます。
Amy: Penny was just covering for me. My place has been ready for two weeks.
(ペニーは私をかばってくれていただけよ。私の部屋は2週間前から住める状態なの。)Sheldon: How could you lie to me?
(どうして僕に嘘をついたりできたんだ?)Penny: Uh, she’s enjoyed living with you. It’s called being in love.
(えっと、彼女はあなたと暮らすのが楽しかったの。それが恋してるってことよ。)TBBT Season10 Episode07
cover for + 人 は「人をかばう・人のために取り繕う」で、forの後ろにはかばわれる側が来ます。職場では、休んだ同僚の仕事を代わりに受け持つ意味で使われることもあります。ペニーの発言は、シェルドンから見れば自分に向けられた嘘で、エイミーから見れば自分を守るための取り繕いです。シェルドンの問いにペニーが代わりに答えているのも、騙された側とかばう側という立場の違いが表れたやり取りと読み取れます。
| 表現 | 後ろに来るもの | 意味 |
|---|---|---|
| lie to + 人 | 嘘を聞かされる人 | 人に嘘をつく |
| deceive + 人 | 欺かれる人 | 人を欺く(改まった響き) |
| cover for + 人 | かばわれる人 | 人をかばう・代わりに取り繕う |
| lie about + 事柄 | 嘘の中身 | 〜について嘘をつく |
このあとエイミーは、部屋のことで嘘をついたと lie about を使って謝っています。誰に向けた嘘か、誰をかばう嘘か、何についての嘘か。前置詞を替えるだけで、話の焦点を動かせるのが分かります。
まとめ|嘘の向きは前置詞で決まる
今回は、lie to、deceive、cover for、lie aboutを見てきました。前置詞の後ろに誰が来るかに注目すると、騙された側の話なのか、かばわれた側の話なのかを英語で言い分けられます。
ひとつの嘘が立場によって違って見える様子にも、『ビッグバン★セオリー』の会話の面白さが詰まっています。
この回のほかのコラムやフレーズ記事も、同じ騒動を別の角度から読み解く手がかりになります。


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