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『モダンファミリー』シーズン8第13話では、グロリアがジョーに投球を教えてもらうため、コーチ・ゲイリーを雇います。家のことまで次々と片付けていくゲイリーに、ジェイは張り合うような言葉を重ねていきます。
相手の行動の狙いを読み違えると、言葉のやり取りもこじれていきます。この回には、手助けを引き取る一言から強がり、相手の本心を知るまでの英語がそろっています。
「I got this」と手助けを引き取る
ジョーの投球練習の場で、ジェイはグロリアから事情を聞かされます。
Gloria: I hired Coach Gary.
(コーチ・ゲイリーを雇ったの。)Gloria: He’s gonna teach Joe how to throw.
(ジョーに投げ方を教えてくれるのよ。)Gloria: Joe is the worst in his team.
(ジョーはチームで一番下手なんだから。)Modern Family Season8 Episode13 (Do It Yourself)
teach 人 how to ~ は「人に〜のやり方を教える」という基本の形です。the worst in his team は「チームで一番下手」で、worst のあとに in + 集団 を置くと「その中で最も」という意味になります。
ジェイは、野球は子どもが父親から教わるものだとこぼし、ゲイリーにこう切り出します。
Jay: You seem like a nice guy and all, but, uh, I got this.
(あんたはいいやつそうだが、まあ、ここは俺がやる。)Modern Family Season8 Episode13 (Do It Yourself)
I got this. は「これは自分がやる」「任せておけ」と、手助けを断って役目を引き取る口語表現です。前置きの You seem like a nice guy and all, but は、相手を一応持ち上げてから本題の「だが」に入る組み立てで、and all は「〜とか何とか」とぼかす言い方になっています。角が立ちそうな断りを、前半で和らげている形と読み取れます。
そのあと、グロリアはジェイに Some boys have different gifts.(男の子にはそれぞれ違う才能があるの)と声をかけます。グロリアはこの少し前、ジョーの上達を見ながら同じ言い回しを口にしていました。同じ言葉が向けられる相手が入れ替わっているのが面白いところです。
「I was gonna fix that, anyway」と強がる
別の場面では、家の修理もゲイリーが済ませていたことが分かります。
Jay: I was gonna fix that, anyway.
(それ、どっちみち俺が直すつもりだったんだ。)Gloria: Ay.
(もう。)Gloria: Like you were going to clean the gutter? Coach Gary did it already.
(雨どいの掃除みたいに? あれもコーチ・ゲイリーがもうやってくれたわ。)Coach Gary: It really wasn’t a problem.
(本当に、なんてことなかったですよ。)Coach Gary: I’m not afraid of heights, and I’ve got big hands.
(高い所は平気だし、手も大きいんで。)Jay: Those are fun details.
(そりゃまた楽しい話だな。)Modern Family Season8 Episode13 (Do It Yourself)
I was gonna ~, anyway は「どうせ〜するつもりだった」と、先を越されたときの言い訳によく使われる形です。グロリアの Like you were going to ~? は「〜するつもりだったみたいに?」と、同じ言い訳がほかにもあったことを指摘する切り返しになっています。ゲイリーの I’m not afraid of heights は「高い所は怖くない」で、be afraid of heights は高い所が苦手なことを表すおなじみの形です。
ジェイの Those are fun details. は、聞きたくもない情報を「楽しい話だ」と言う皮肉の相づちです。ジェイはこのあと、ゲイリーを Big Hands と呼び、テレビの不調まで彼のせいではないかと口にします。
そのあと屋根の上にいるジェイに、グロリアが声をかけます。
Gloria: Are you stuck up there?
(そこから降りられないの?)Jay: Stuck? No! I can come down whenever I want to.
(降りられない? まさか! 降りたいときにいつでも降りられるさ。)Jay: I just have to dangle my body out over the edge and then reach blindly for that top rung of the ladder you’re not supposed to use.
(端から体をぶら下げて、乗っちゃいけないはしごの一番上の段を手探りでつかめばいいだけだ。)Jay: But I’ll be in in a little bit.
(まあ、もう少ししたら中に入る。)Modern Family Season8 Episode13 (Do It Yourself)
be stuck は「動けなくなる、身動きが取れない」。whenever I want to は「好きなときにいつでも」で、困っていないと言い張る強がりの決まった形です。ところが続く説明が具体的すぎて、かえって降りられない状況が伝わってくるのが見どころです。
「show you up」と「impress you」の違い
降りられないジェイに手を差し出したのは、ゲイリーでした。
Coach Gary: Give me your hand.
(つかまってください。)Jay: Why? So you can show me up again?
(なんでだ? また俺に恥をかかせるためか?)Coach Gary: What are you talking about?
(何の話です?)Modern Family Season8 Episode13 (Do It Yourself)
ジェイがなおも不満を並べたあと、ゲイリーはこう答えます。
Coach Gary: I’m not trying to show you up, Jay.
(あなたに恥をかかせようなんて思ってませんよ、ジェイ。)Coach Gary: I’m trying to impress you.
(あなたに認めてもらいたいんです。)Jay: Why the heck would you want to do that?
(いったいなんでそんなことを?)Modern Family Season8 Episode13 (Do It Yourself)
二つの動詞は、どちらも相手の目を意識した行動を表しますが、向きが正反対です。
| 表現 | 意味 | 相手への向き |
|---|---|---|
| show someone up | 相手より上手にやって見せ、相手に恥をかかせる | 相手を下げる |
| impress someone | 相手を感心させる、よい印象を与える | 相手に認めてもらう |
ジェイは、修理も投球も先回りするゲイリーの行動を show me up と受け取っていました。ゲイリーの返事は、同じ行動を impress のためだったと言い直すものです。
show up には「現れる」という意味もあるため、目的語の位置に注意が要ります。show someone up の形で人を挟むと「恥をかかせる」になり、My little brother always shows me up at tennis.(弟はテニスでいつも僕に恥をかかせる)のように使えます。一方の impress は I was trying to impress my new boss.(新しい上司によく思われたかった)のように、相手からの評価を求める場面に合います。
ジェイの Why the heck ~? の the heck は、疑問詞を強めて「いったいなぜ」と驚きを表すくだけた言い方です。
ゲイリーはこのあと、自分の事業を始めたいと打ち明け、ジェイに be my mentor(助言役になってほしい)と頼みます。扱いたいのは組み立て式のガゼボで、an outdoor closet(屋外のクローゼット)と言い表すゲイリーに、ジェイは You’re all right, Coach Gary.(お前、なかなかやるな)と返します。読み違いがほどけると呼び方の温度まで変わる、という流れが分かります。
まとめ|張り合いの裏にある本心の英語
I got this で役目を引き取る一言、I was gonna fix that, anyway の強がり、Are you stuck up there? への言い張り、そして show someone up と impress someone の対比。相手の行動をどう受け取るかで、言葉の選び方が変わることが見えてきます。
『モダンファミリー』を観ながら、登場人物が相手の言葉をどう受け止めているかにも耳を澄ませてみると発見があります。
修理を自分でやろうとするフィルの英語や、料理教室での感想をめぐる英語は同じ回のほかのコラムで、個々の表現の使い方はフレーズ記事で読めます。


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