海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
出費を抑えてほしいと家族に伝えたいのに、言い方ひとつで角が立ちそうで、切り出しにくいと感じたことはありませんか。
そんなときに役立つ「dial back」を、『モダンファミリー』シーズン8第13話の中盤、フィルに勧められて投資することにしたジェイが、グロリアに靴の買い物を控えるよう声をかける場面から、一緒に見ていきましょう。
「dial back」の意味とニュアンス
dial back
意味:(量や程度を)控える、減らす、抑える
dial back は、何かの量や強さ、活動の程度を、今より低い水準まで下げることを表す表現です。dial は「ダイヤル、つまみ」、back は「後ろへ、戻す」を表し、文字どおりには「つまみを元の側へ戻す」という意味になります。ゼロにするのではなく、つまみを少し戻して、ちょうどよい程度まで下げる、という組み立てです。
後ろに置く言葉で、下げる対象を示します。dial back on the shoe purchases のように on を使うと「〜を控える」になり、dial back the noise のように目的語を直接置くと「〜(の程度)を下げる」になります。対象には、出費や食べ物、仕事量のように量のあるものが並び、言葉づかいや態度のように、程度のあるものも置けます。
「cut back on」のように量をはっきり削る言い方と比べると、dial back は、少し調整して下げる、やわらかな響きを持っています。「やめる」ほど強くないぶん、頼みごとや提案の場面にも置きやすい動詞です。
訳語は、下げる対象で決まります。食べ物なら「控える」、予算なら「抑える」、計画なら「縮小する」と、対象に合う動詞を選びます。
【ここがポイント!】
- 「dial back」の核は、つまみを少し戻して、程度をほどよく下げる動き
- dial back on + 名詞と、dial back + 名詞の2つの形で使える
- 対象によって「控える」「抑える」「縮小する」と訳を選ぶのがコツ
『モダンファミリー』S08E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジェイが、フィルの勧めで投資することにしたと、グロリアに伝える場面です。ジェイの呼びかけにグロリアが「ちょっと待って」と返し、そのあと「何て言ったの」と聞き返します。ジェイの切り出しの一言に、フレーズが入っています。
Jay: Gloria? Phil got me to invest in a mini-mall, so you might want to dial back on the shoe purchases for a while.
(グロリア? フィルに勧められてミニモールに投資することになったから、しばらく靴の買い物は控えたほうがいいかもしれないぞ。)Gloria: One second, one second. “Place order.” What did you say, baby?
(ちょっと待って、ちょっと待って。「注文する」。何て言ったの、ねえ?)— Drawer’s fixed.
(引き出し、直ったから。)— What the hell?! Don’t sneak up on people like that.
(うわっ、何?! そんなふうに人に忍び寄らないで。)Modern Family Season8 Episode13 (Do It Yourself)
シーン解説と心理考察
ジェイの一言は、まず Gloria? という呼びかけから入ります。相手の注意を引いてから本題に進む形で、続く Phil got me to invest in a mini-mall が、その本題の理由にあたります。そのあとに so が付き、投資の話を理由として、靴の買い物を控えるよう伝える文になっています。
ここで注目したいのが、you might want to の部分です。「控えろ」と言い切らず、「控えたほうがいいかもしれない」と、選択肢を相手に残す形で伝えています。for a while が添えられているので、ずっと控えるのではなく、しばらくの間という期限つきの頼みです。強く言わずに、しかし言うべきことは伝える、という距離の取り方が表れています。
グロリアは One second, one second. と、同じ言葉を重ねて返します。同じ言葉を二度重ねた、待ってほしいという言い方です。そのあと What did you say, baby? と聞き返しているので、ジェイの忠告は、まだ内容が伝わりきっていない状態で止まっています。
末尾の二つの発言は、話題が変わって、引き出しの修理と驚きの声になります。ジェイの忠告をグロリアがどう受け止めたのかは、ここまでの会話ではまだ分かりません。
dial back という動詞は、ジェイの口から出たときに、命令ではなく調整の頼みとして聞こえています。you might want to という前置きと組み合わさることで、その印象が一段とやわらいでいる点が、この場面の読みどころです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
ラジオの音量つまみを、ほんの少し左へ回す動きを想像してみてください。音を消すのではなく、ちょうどよい大きさまで下げる、という動きです。dial(つまみ)を back(戻す側)へ回す、と読むと意味に結びつきます。
ジェイが頼んだ「靴の買い物を控える」も、買うのを全部やめるという話ではなく、つまみを少し戻して、今の量を下げる頼みごとでした。ゼロか百かではなく、目盛りを一つ二つ戻す、という感覚です。
自分の生活でつまみを戻したいものを一つ決めると、dial back on の後ろに置く言葉が自然に浮かびます。間食、残業、スマホの時間など、少し下げたい対象を思い浮かべながら覚えていきましょう。
例文で覚える「dial back」
dial back は、食べ物から仕事、会社の計画まで、対象を変えて使えます。日常とビジネスの場面を並べて、後ろの形に注目しながら見ていきましょう。
You should dial back on sugar if you want more energy.
(もっと元気でいたいなら、砂糖は控えたほうがいいですよ。)
食生活の助言をする日常の場面です。dial back on のあとに sugar を置く形で、「何を控えるのか」がはっきり伝わります。
The company decided to dial back its hiring plans this year.
(その会社は今年の採用計画を縮小することにしました。)
会社の方針を説明するビジネスの場面です。on を使わず、its hiring plans を直接置く形で、計画の規模を下げた、という意味になります。
A: I’m so tired of work.
B: Maybe dial back on the overtime for a while.
(A:仕事で本当に疲れた。)
(B:しばらく残業を減らしたらどう?)
疲れた友人に助言をする、往復の会話です。Maybe を頭に付け、for a while で期間を区切ると、押しつけにならない提案になります。
あわせて覚えたい関連表現
cut back on
(〜を減らす)
cut back on は、量をはっきり削る印象があります。dial back on は、程度を少し下げて調整する、やわらかな響きです。
scale back
(規模を縮小する)
scale back は、計画や事業の規模を小さくするときに使います。dial back は、規模に限らず、量や強さ、態度にも使えます。
tone down
(やわらげる、控えめにする)
tone down は、言葉づかいや色、調子を穏やかにする場面が中心です。dial back は、出費や活動量など、下げる対象が広い表現です。
Note|on を置くか、置かないか。dial back の形と、you might want to のやわらげ方
dial back の聞こえ方は、後ろの形と、前に置く言い方の2か所で変わります。今回のジェイの一言を手がかりに、この2つを順に見ていきます。
まず、後ろの形です。dial back on the shoe purchases のように on を置くと、「靴の購入について、控える」と、対象を on で示す形になります。一方、dial back the noise のように目的語を直接置くと、「騒音の程度を下げる」と、対象そのものを調整する形です。どちらも dial back が「程度を下げる」という中心の意味は変わりません。on のある形は「〜に関して控える」、ない形は「〜を下げる」と、日本語の助詞の違いに近い感覚で選べます。
次に、前の言い方です。ジェイは You might want to dial back … と言っています。might want to は、「〜したほうがいいかもしれない」と、助言をやわらげる形です。You should dial back … と言い切ると、助言ではなく指示に近くなります。同じ内容でも、should なら「控えるべきだ」、might want to なら「控えたほうがよさそうだ」と、強さが一段変わります。
今回の場面は、控えてほしい内容を、命令にせずに伝える形そのものを学べる一言です。dial back on が何を下げるかを示し、you might want to が言い方の強さを決めています。
形を選ぶことが、そのまま頼み方になります。
まとめ|強くなりすぎない、控えめの頼み方
dial back は、量や強さ、活動の程度を、つまみを戻すように少し下げることを表す表現です。on を置く形と置かない形があり、下げる対象を後ろに示します。
you might want to を前に置くと、控えてほしい頼みごとが、命令ではなく提案として伝わります。出費や食べ物、仕事量を見直したいときに、角を立てずに切り出す形として使えます。
ジェイの一言は、遠回しな忠告の形を借りて、程度を下げる行動をやわらかく伝える表現と言えます。


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