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『モダンファミリー』シーズン6第22話では、卒業式を1週間後に控えたアレックスと、張り合ってきた同級生サンジェイが、そろって「卒業生総代」になったと知らされます。ところが二人とも、その結果に納得しません。
日本の高校ではあまりなじみのない valedictorian という存在と、それを決める GPA の考え方、さらに成績や学校生活にまつわる英語を、校長室でのやりとりと体育の成績の場面から順に見ていきます。
valedictorian と co-valedictorian
卒業式の1週間前、フィルとクレアはブラウン校長の部屋に呼ばれます。フィルは、アレックスが総代に選ばれる話ではないかと期待を口にし、クレアもアレックスを誇りに思っていると話します。総代に選ばれることが、家族にとっても晴れがましい出来事として受け止められている様子がうかがえます。
valedictorian は、卒業生の中で最も成績の優秀な生徒が選ばれることが多く、卒業式で告別のスピーチを任される役目です。語源はラテン語の vale(さようなら)とされ、「別れのあいさつをする人」という意味合いを持つと言われます。学校によっては、次席の生徒を salutatorian と呼び、開会のあいさつを任せることもあります。総代のスピーチそのものは valedictory speech や valedictory address と呼ばれます。
校長室で共同の総代だと告げられた直後、二人はこう反応します。
Sanjay: What do you mean, co-valedictorians?
(共同総代って、どういうこと?)Alex: Co” is the Latin prefix for “together.
(「co」はラテン語で「一緒に」って意味の接頭辞よ。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
co- は coworker(同僚)や co-pilot(副操縦士)と同じ「共に」を表す接頭辞です。サンジェイの問いに、アレックスは言葉の意味だけを答えています。意味は分かっていても受け入れられない、という二人の気持ちが、このすれ違った受け答えから伝わってきます。
GPA が「小数第3位まで同じ」
では、なぜ二人が並んだのか。ブラウン校長はこう説明します。
Principal Brown: No, I’m not trying to ruin your lives.
(いや、君たちの人生を台無しにしようってわけじゃないんだ。)Principal Brown: It’s just that your GPAs are tied to the thousandth of a decimal point.
(ただ、君たちの GPA が小数第3位まで同じなんだよ。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
GPA(grade point average)は、各科目の成績を点数に換算して平均した値で、アメリカの学校では成績を示す指標として広く使われています。上限を4.0とする計算が一般的ですが、難度の高い授業に加点する方式などもあり、計算方法は学校によって異なります。
be tied は「同点である」、the thousandth of a decimal point は「小数第3位」を指します。小数の位は tenth(第1位)、hundredth(第2位)、thousandth(第3位)と、序数で数えるのが英語の特徴です。そこまで同じだったという説明から、二人の成績がどれほど拮抗していたかが分かります。
同点を嫌うのは本人たちだけではありません。
Phil: What is it with these two?
(この二人、どうなってんだ?)Nina: I agree with them.
(私は二人に賛成よ。)Nina: Ties are un-American.
(引き分けなんてアメリカらしくないわ。)Nina: Would you be happy if the Super Bowl ended in a tie?
(スーパーボウルが引き分けで終わったら、うれしい?)Phil: Yes! There’d be twice as many parades.
(うれしいね! パレードが2倍になるじゃないか。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
名詞の tie は「引き分け・同点」で、end in a tie で「引き分けに終わる」となります。イギリス英語ではサッカーなどの引き分けを draw と言うことが多いとされます。un-American の un- は「〜でない」を表す接頭辞で、「アメリカらしくない」という意味です。
サンジェイの親として同席しているニーナは、全米が注目する試合を引き合いに出して同点を否定しますが、フィルはパレードが2倍になると答えます。白黒をはっきりさせたいニーナと、引き分けの得を数えるフィルの答えの対比が見どころです。
締め切られた成績と、残っていた体育
ヴィッシュが優劣を決める方法があるはずだと言うと、校長の答えは否定的です。
Vish: There must be some way to determine who the best student is.
(誰が一番の生徒か決める方法が何かあるはずだ。)Principal Brown: Unfortunately, all the final exams and the papers are in.
(あいにく、期末試験もレポートも全部出そろってるんです。)Principal Brown: Grades are closed.
(成績はもう締め切りました。)Alex: Not all the grades.
(全部じゃないわ。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
final exams は期末試験、papers は「紙」ではなく授業で提出するレポートや小論文を指します。are in は「提出されている」、Grades are closed. は「成績はもう確定した」という意味です。成績は締め切ったと説明する校長に対し、アレックスが目をつけたのは体育でした。体育教師のキャメロンは、二人の成績を確かめてこう告げます。
Cameron: Well, it looks like you both have the same gym grade but I do see here that neither of you have completed this semester’s mile run.
(さて、二人とも体育の成績は同じだな。でもここを見ると、どっちも今学期の1マイル走をやってないじゃないか。)Alex: We were at a debate tournament.
(ディベート大会に出てたの。)Sanjay: Which we won, thanks to me.
(僕のおかげで優勝したやつね。)Alex: Oh, please.
(よく言うわ。)Modern Family Season6 Episode22 (Patriot Games)
学校によっては、体育の授業で1マイル(約1.6キロ)を走るタイムを測ることがあります。semester は2学期制の「学期」です。
アレックスの言い訳に、サンジェイは Which we won, thanks to me. と付け足します。関係代名詞の which が直前の a debate tournament を受け、「その大会は僕のおかげで勝てた」と自分の手柄を差し込む形です。アレックスは Oh, please.(よく言うわ)と一蹴し、張り合いはここでも止まりません。総代の座は、最終的に陸上トラックでの決着に委ねられることになります。
まとめ|総代の決め方に見える成績の文化
valedictorian と co-valedictorian、成績を数字で示す GPA、同点を表す tie、確定を伝える Grades are closed. と、総代をめぐるやりとりには学校の文化と英語が詰まっています。成績へのこだわりの強さも、言葉から見えてきます。
『モダンファミリー』の学校の場面を観ながら、英語圏の学校生活にも目を向けていきましょう。
張り合う親たちの英語や、自信ありげに言い切る英語は、同じ回のほかのコラムで、場面ごとの表現はフレーズ記事で取り上げています。


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